未熟児や先天性疾患を持つ重症の新生児など、生まれたばかりの小さな命を集中的にケアするNICU=新生児集中治療室。ここで活躍するための知識やスキルが身についていると認定された看護師が、新生児集中ケア認定看護師です。
新生児集中ケア認定看護師とはどんな仕事と役割を持っているのか、認定を目指すためにはどうすればよいのかをまとめます。
新生児集中ケア認定看護師の仕事と役割
新生児集中ケア認定看護師とは
2005年から認定が開始された新生児集中ケア認定看護師は、日本看護協会による認定看護師・21分野のなかでも比較的新しい分野であり、全国で360名が認定・登録されています。
新生児集中ケア認定看護師は、急性期にあるハイリスク新生児に高い水準の看護を提供し、新生児だけでなくその家族も含めてQOL向上を目指すことができる人材です。看護の実践を通して他の看護職者に対しても指導を行い、相談に応える姿勢が求められます。
新生児集中ケアを実践している大学病院や公立病院、総合病院のNICU、ICU、CCU、病棟などが勤務先となります。
新生児集中ケア認定看護師の仕事
新生児集中ケア認定看護師は、新生児のなかでも低出生体重児、疾病新生児の看護を担当します。これらの新生児では、少しの変化が急変や症状の重篤化につながるため、変化を見逃さず、適切で素早い処置を施し生物学的安定を図ります。
また、できるかぎり障害のない成育のために、それぞれの赤ちゃんに適したケアを実践します。
新生児だけでなくその家族のサポートも重要な仕事です。生まれたばかりの我が子との面会を制限される家族には精神的に大きなストレスがかかりますし、母体もまた危険な状態であることがあります。
家族としっかりコミュニケーションをとり、ときには家族の決定を尊重し、看護にあたります。
他職種とのチームの一員としての役割を果たしながら、専門的知識・スキルを活用して指導したり相談にのります。新生児ケアについての勉強会を企画、開催するのも、認定看護師の仕事です。
新生児集中ケア認定看護師の役割
病院側が新生児集中ケア認定看護師を採用される動機として、「NICUにおいて他の看護職者に適切な指導をしてほしい」という声が多く聞かれます。細心の注意が必要な急性期の新生児ケアにおいてはちょっとした判断が命に関わるため、高い専門性と技術を発揮できる、指導できる人材が必要なのです。
医療技術の発達によって新生児死亡率は減少していますが、逆にハイリスク新生児の出生率は増加しています。こうしてNICUの必要性、重要性が高まる中、新生児科医は不足しており、その専門性を少しでも補える存在である認定看護師の役割が大きくなっています。
新生児集中ケア認定看護師を目指すには
修了すべき教育課程について
新生児集中ケア認定看護師になるための教育課程が設置されているのは、北里大学看護キャリア開発・研究センター認定看護師教育課程です。受講するには、看護師、保健師、助産師のいずれかの免許があること、実務経験5年以上、うち3年以上は新生児集中ケア分野での実務、という条件があります。
定員は少なく、筆記、小論文、面接の選抜試験を受けて、入学、受講することとなります。大学では、新生児集中ケアに関する600時間以上のカリキュラムが用意されており、通学は半年以上にわたります。
様々な分野の認定看護師を目指す学生とともに受講する、基本的な知識や技術を学ぶ共通科目が120時間、フィジカルアセスメントや新生児の臨床薬理、安全管理、親の理解などを学ぶ専門基礎科目が150時間、より専門的なハイリスク新生児の病態やケアを学ぶ専門科目が120時間、技術演習、プレゼンテーション、ディスカッションやケースレポートなどの演習が60時間、実際に医療機関で新生児集中ケアに携わる実習が180時間となっています。
最後に、学内全体で学んだことを共有する学内ケースレポート発表会があり、自分の振り返りや、他学科の発表からも多くを学ぶことができます。
全課程修了の後、筆記の認定試験に合格し登録することで、認定看護師として勤務することができるようになり、その後は5年ごとに審査を受けて更新されます。
認定看護師を目指すために必要な支援
全国どこに住んでいようとも、新生児集中ケア認定看護師を目指すためには、神奈川県にある大学の看護学部に半年間以上通わなければなりません。
これは、病院に在籍しながらそれだけの長期休暇がとれ、必要な費用を準備できなければ、クリアできない条件です。学習費用として約80~100万円、生活費として80万円以上が大まかな必要経費です。
認定への支援環境は各勤務先によって異なり、学習費用を無利子で貸してくれるところ、一部負担してくれるところや、全額負担するという施設もあります。
どうして看護師のステップアップにこれだけの費用を捻出してくれるのかといえば、看護師が高いスキルを学んで病院に復帰することで、より質の高い医療を提供できるようになること、他看護師への教育を任せられること、さらには患者さんに対して「認定看護師が在籍する病院」として、より安心で魅力的な施設であることをアピールできるためです。
新生児集中ケア認定看護師を目指すきっかけとして、病院の方から「認定看護師になってくれないだろうか」と声をかけられることもあり、そのような場合はある程度の支援が期待できますが、全ての施設でこのような支援環境があるわけではありません。
新生児集中ケアについてもっと学びたいと思ったときにいまの職場では難しい場合、支援環境のある病院への転職を考えたほうが良いでしょう。転職先を探すには、看護師専門の転職サイトを利用すると効率がいいです。
- 急性期のハイリスク新生児に質の高い看護を提供する
- 新生児の家族のサポートや、勉強会の開催などを担当する
- 高い専門知識で他看護職者を指導する役割
- 大学に入学し600時間以上、半年以上かけて学び、試験を受ける
- 認定を支援してくれる勤務先でないと実現が難しい
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