正看護師・准看護師、給与と年収の違い



看護師と准看護師、いずれも患者さんにとっては同じ「看護師」ですが、その待遇には差が存在します。求人先の違いもありますが、同じく重要なのが給与そして年収の違いです。

仕事のやりがいは大事ですが、同じように報酬である「給料額」も大切ですよね。特に看護師と准看護師とでは仕事内容に差はないため、もらえる金額の差に不満を感じることがあると思います。

正看護師と准看護師、実際に給料・年収はどのぐらいでどれだけの差があるのか、准看護師の給与が正看護師よりも低くなる3つの理由と合わせて見ていきます。


正看護師と准看護師の給料と年収は?


給与・年収平均の差

平成24年に行われた厚生労働省の調査結果では、給与・年収のおおよその平均額は下記のようになっています。

給与 ボーナス 年収
正看護師 33万円 84万円 471万円
准看護師 28万円 66万円 402万円
差額 5万円 18万円 69万円

准看護師の収入は、正看護師に比べ月々5万円、ボーナスで18万円、年収では69万円低くなっています。毎月5万円がプラスされるかどうかは生活や貯蓄に大きく影響しますし、1年で約70万円違えば、10年働いたときには計700万円も収入の差が生まれます

労働時間では、正看護師と准看護師でほとんど差がないという結果があり、同じだけ働いているにも関わらずこれだけの収入差、待遇差があることが分かります。

年代別でみてみると・・・

下記の表は、女性正看護師、准看護師の年代別の年収をまとめています。

正看護師 准看護師
20代前半 377.7 283.3
20代後半 453.8 332.3
30代前半 461.4 350.3
30代後半 474.0 379.2
40代前半 497.6 396.3

(出典:平成26年賃金構造基本統計調査


平成26年のこのデータでは、いずれの年代でも准看護師の年収は正看護師よりも低く、20代前半では94.4万円、30代前半で111.1万円、40代前半で101.3万円の年収差が確認できます。

仕事のやりがいは収入がすべてではないですし、准看護師であっても優秀さがしっかり評価され、活躍している方はたくさんいます。40代前半女性で約400万円の年収は、他の業種と比較して決して悪い待遇ではありません。

しかし、同じ仕事内容・時間でありながら、准看護師は正看護師よりも給与、年収がかなり低めであるということは事実です。

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准看護師の給与が正看護師より低くなる理由



先ほどは、正看護師と准看護師の給与が、どの程度違うのか見てきました。ですが、現場で働く看護師の方ならお分かりと思いますが、両社の間で実際に仕事の違いはありません。なのに、なぜ給料が違うのか?以下で、その理由を見ていきます。

資格取得に必要な労力の差

厚生労働省認定の国家資格が看護師免許であり、これに対し准看護師免許は各都道府県知事が交付するものです。この認定の差は、合格のために修得すべき知識・スキルの差であり、免許の取りやすさの差とも言えます。

正看護師の試験を受けるためには、3年制の看護学校もしくは4年制大学の看護学部を修了する必要があります。これに対し准看護師の受験資格では、2年制の准看護学校もしくは高校の衛生看護課程を修了することとなっています。


准看護師の方がより早く、より安い学費で看護師の仕事に就けるため、「少しでも早く看護師の仕事をしたい」「看護師になりたいが学費はあまり用意できない」という方に選ばれています。


修学年数と目指すべき試験が違うため、正看護師の方がより学ぶ内容が多く、試験内容も相応となっています。資格を得るための時間やお金など費やされた労力の差が、就職後の待遇差として給料・年収に反映されています。

准看護師に対する偏見

持っている資格は違っても、医療現場において「この看護業務は准看護師にはできない」というものは存在しません。定義として、看護師は医師の指示のもと働き、准看護師は医師や看護師の指示のもと働くという違いがあるものの、仕事内容に変わりはないのです。

にもかかわらず、准看護師は正看護師よりも職位が低いと捉える医療機関が少なくありません。この傾向は病院規模が大きいほど強く見られ、病床の多い大学病院や総合病院のほとんどが正看護師のみの求人を行っています

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先の定義から准看護師には主体的な看護は出来ないと判断され、どんなに優秀な准看護師であっても、リーダー的な役割や師長などの管理職に就くことはありません。職位が上がらないことが、年収増加を抑えている面もあります。

ある意味偏見と言えるこのような見方が、准看護師の給与、年収の低さとして現れています。

病院経営に対するメリットの問題



もうひとつ、准看護師の収入が正看護師よりも低くなる理由は、求人を出す経営者、つまり病院側の事情にあります。

時代に合わせた医療体制の適正化は政府の大切な役割のひとつです。医療現場での問題を改善すべく、政府は政策で調整をしており、2年ごとの診療報酬改正によって治療費の見直しをしています。


近年の改正では、看護師の過重労働を和らげ患者さんにより手厚い医療を提供するために、「7:1看護制度」が推奨されました。7:1とは、患者さん7人に対し看護師1人を常勤として配置するというものです。

それまでの急性期病院の看護体制は、看護師数の多いところでも10:1でした。7:1体制になればより高い診療報酬設定ができる、つまり利益が増えるというメリットによって、この体制の促進を図ったのです。


ただしこの制度では正看護師のみがカウントされ、准看護師はカウントに含まれません。そもそも病床の無い個人病院やクリニックでは利益の無い改定です。

多くの大規模病院は、利益拡大のため正看護師求人を増加し、逆に准看護師は、7:1看護制度には関連しない小規模病院やクリニックなどで主に求人されるという傾向が強まりました

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正看護師を確保したい大規模病院からの求人では、元々の資金力もあり給与提示額が高めになります。一方小規模施設では資金力は少なく、その分准看護師給与が低めに設定されるようになっています。


以上、准看護師と正看護師の給与差、その理由について見てきましたが、いかがだったでしょうか?特に准看護師の方なら、ご自身の給料に不満の方もいるかもしれません。

平均相場より下という方は、転職することで年収アップにつながることもありますので、一度、看護師専門の転職支援会社に問い合わせみてもよいかもしれません。

<正看護師・准看護師、給与と年収の違い まとめ>

  • 准看護師は平均年収が約70万円低い
  • 30代、40代では100万円の年収差がある
  • 資格取得のための労力の差が給与に反映されている
  • 仕事内容は同じでも准看護師が下、という偏見がある
  • 7:1看護体制の推進によって給与差が大きくなっている


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