看護師の勤務先のひとつとして、検診(健診)機関があります。地域の検診センターや企業検診などを請け負う施設、巡回検診車などを勤務先とし、病気の早期発見や健康づくりのサポートを目的として、検診業務に就きます。
検診にも、一般的な採血や身体測定などから、人間ドッグやPET検診、内視鏡といったより重点的な検査まで、さまざまな仕事があります。検診機関での看護師の仕事や給料、メリットやデメリット、必要なスキルをまとめていきます。
目次
検診機関の看護師、仕事内容は?
検診機関での看護師の主な仕事
検診機関で扱う健康診断では、問診から身体・腹囲測定、検尿、採血、血圧測定、視力・聴力検査、胸部X線検査のほか、心電図、胃カメラ、内視鏡、エコー、PET健診、人間ドッグなどが扱われています。
看護師は各種検査を行うほか、医師や検査技師の介助につきます。受付や検査の説明、案内、会計や検査結果の入力、郵送手配などもまた、看護師の仕事です。その場で健康状態や病気について質問をしてくる方もいるので、検査データの見方などある程度の知識を必要とします。
どこまでの業務を看護師が担当するかは、検診機関によって異なります。大きな施設では担当が分かれますが、スタッフ数が少なく施設規模が小さくなるほど、看護師は担当分けなく、各自で補い合いつつ検診を進めることになります。
検診は午前中に行われることがほとんどです。準備を整えるため看護師の朝は早く、午前中は受診者の対応で忙しく過ぎていきます。午後には比較的落ち着き、片付け、翌日の準備、検診結果の整理に当たります。
検診車・出張検診
検診車で契約先の企業や地域に移動し、車内で健康診断を行うサービスもあります。特に春先の4~6月は繁忙期となり、常勤看護師だけでなくパートや派遣の看護師を採用して多くの受診先・受診者の対応に当たります。
検診内容は採血、血圧測定、心電図、レントゲン撮影などとなり、検診機関での仕事とほとんど変わりません。ただし移動時間が長くなることもあり、出勤がさらに早まったり、定時までに移動が終わらずに残業になることもあります。
内視鏡、胃カメラ、PET検診、人間ドッグ
モニターで胃や大腸を視診することで病気の有無を確認できる内視鏡検査や、胃カメラ検査では、検査を行う医師を介助します。大きな施設になると1日に20件ほども対応することもあり、看護師もテキパキと、かつ正確に仕事をする必要があります。
早期のがん発見を目指すPET検診では、検査の流れの説明や放射性薬剤の投与、検査介助を行います。
これらの検査に不安を感じる方は多いものであり、受診者の不安を出来るだけ減らせるようフォローするのもまた、看護師の大切な仕事です。
またPET検診では、看護師自身も被ばくが気になるかと思いますが、各自線量計をつけて計測しており、手順に従って業務をしていれば心配はありません。とはいえ出来るだけ避けたい場合には、面接時にきちんと伝えておくようにしましょう。
半日~1泊2日などゆったりと時間をかけて全身の精密検査を行う人間ドッグは、保険適用外の自由診療です。受付~検査介助、事務処理まですべての過程をサポートする看護師には、サービス業としてのより高い接遇マナーが求められます。
検診機関での看護師、給料はどのぐらい?
検診機関では夜勤がなく、残業もほとんどありません。手当てがつかない分給料はやや低めの傾向にあり、350~450万円程となっています。
常勤ではボーナスや昇給の機会もあり、福利厚生も十分なので、働きやすい職場であることに変わりはありません。PET検査では危険手当が支給されるところもあります。
派遣やパート勤務では1,500~2,000円が時給の相場であり、なかには2,500円といった高条件も見られます。
検診機関の看護師として働くメリット・デメリット
メリット:勤務体制、心身のゆとり
夜勤がなく、残業はあったとしても少なめでであること、週休2日で日曜に休むことができるのは、検診機関で働く大きなメリットです。子育て中や介護中など家庭との両立を重視する方や、自分の時間を確保したいという方は助かります。
多くの検診を限られた時間内で終えなければならず、慌ただしさはありますが、業務内容は決まっていて、手順を考えて仕事を進められます。病院での勤務と比較すれば、心身共にゆとりを持って仕事ができるでしょう。
デメリット:スキルアップは難しい、クレームが多い
それぞれの作業手順をブラッシュアップしたり、ベテラン看護師のスキルを見て勉強できる機会はあります。とはいえ、看護技術のスキルアップやキャリアアップを望む方にとっては、物足りない環境になります。
受診者は健康な方々であるために「時間を割いて受診している」という意識があります。そのため、待ち時間が長かったり受診がスムーズでないと、クレームを受けることも多くなります。これに対応するのは看護師であり、「努力しているのに」と辛く感じるシーンもあるかもしれません。
検診機関の看護師に求められるスキル
業務を効率的に、正確に処理する能力
検診のほとんどは集団で行われます。各検査はしっかりと正確に行う必要がありますが、なおかつ効率的でスピード感を求められます。担当業務をスムーズにこなすことはもちろんのこと、状況によって担当が変わってもすぐに対応できる瞬発力も必要です。
採血のスキル
検診機関の面接では必ず「採血は得意ですか?」と聞かれます。採血は1日に何十人もこなすのが普通であり、出張検診時には1時間で30~50人の採血を一人でやらなければならないこともあります。
スキルが高い方でも、かなりの集中力を要する状況です。受診者の方も何度も針を刺されたくはないですから、「一発で採血してください」と念を押してくる方もいます。
採血スキルを高めておくことが重要ですが、「できない」と感じた場合には、無理をしないで交代してもらうことも大切です。採血中に気分が悪くなるという方もいるので、冷静に対応できるようにしておきましょう。
丁寧な接遇
スピードが重視される一方で、接遇スキルもおろそかにはできません。検診では企業との契約が多くなります。クレームが悪化すれば契約解消につながる可能性もあり、クリニックとしてはかなりの痛手です。大きな施設ほど接遇面の研修が徹底されていますが、自身でも接遇マナーを身につけるようにしましょう。
検診機関への転職を考えるなら
ある程度決まった勤務時間で心身のゆとりを持って働けることから、主婦の方、子育て中の方、介護中の方のほか、臨床で疲れてしまったという方や、転職のつなぎとして働く方、ブランクからの復帰の第一歩として検診機関を選ぶ方もいます。
基本的な看護技術があれば転職は可能ですが、どんな求人でも条件は同じ、というわけではありません。検診車での移動時間や、勉強会に参加しなければならず残業が意外に多くなったり、日曜は休めるものの土曜はフル出勤だったりもします。
立地や規模でもそれぞれに職場の雰囲気が異なってきます。看護師専門の転職サイトでは、コンサルタントに職場の雰囲気や勤務状況も尋ねることができます。検診機関の求人選びの強い味方になりますよ。
- 検診機関の看護師は、各種検査、介助のほか受付、案内や事務作業も行う
- 出張検診、内視鏡やPET検診、人間ドッグなどのメニューがある場合も
- 施設によって規模や扱う検査が異なる
- 夜勤、残業手当がない分年収は多少低め
- 日勤であることや心身にゆとりを持てるメリット
- 看護スキルアップは難しく、クレームも多い
- 業務のスピード感のほか、採血スキルや接遇マナーが必要
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