看護師転職の失敗例を紹介します



職業によって「就職のしやすさ」は変わってきます。医療現場では常に人手が不足していること、国家資格であることから、看護師は求人倍率(求人数/求職者数)が常に高い職業のひとつです。

厚生労働省の資料では、平成25年度の平均求人倍率1.37倍に対し、看護師(保健師、助産師含む)の倍率は3.46倍と、一人の求職者に対し約3.5件の求人があります。これは、27種類に分けられた職業のなかでも6番目の高倍率です。

それだけたくさんの求人があればより良い転職先を探すことができるだろう、と考えますが、転職の失敗談が少なからず聞かれます。なかでも多い失敗例を4つ挙げ、その対策とともに確認します。


ケース1:求人内容と現実が違う


体験談(1)

総合病院に勤務しているうちに外科に興味を持つようになり、スキルアップを目指したい気持ちも強くなりました。

転職先を探したところ、地元の病院で外科の募集があり、求人情報の「スキルアップを応援します」という言葉にも惹かれて応募、無事採用されました。

しかし働いてみると配属先は外科ではなかったうえ、夜勤も残業もハードで、スキルアップどころか勉強時間も全く確保できず、毎日クタクタになっています。

体験談(2)

自宅近くの大きめの病院へ転職。面接で希望の配属先を伝え、そこでレベルアップしたいとアピールしたときに「希望は通ります」と言われていました。

しかし希望は全くかなわず、よりによって苦手な診療科に配属。しかも、夜勤は外来当直のポケベル持ち当番があり、翌日はオンコールがあって休みではなく、普通に日勤です。15分以内でこられないため仮眠室への泊りになります。オンコールの件は聞いておらず、困っています。

<ケース1の対策>

働いてみたら求人募集に書かれた内容と違っていた、というパターンは、看護師の転職失敗談で最も多く聞かれます。

失敗を避けるためには、求人募集の内容や勤務条件について「こんなことは聞けない」と遠慮せず、就業前に念を入れて確認しておくことです。特に夜勤やシフトなど、看護師の勤務体制は施設によって違うため、詳しく聞いておく必要があります。


ケース2:人間関係が悪い


体験談(1)

急性期病院でのハードな仕事に疲れ、もっとじっくりと患者さんに向き合いたいと思い、慢性期病棟へ転職しました。

仕事内容は問題なかったのですが、職場の人間関係が最悪でどうしてもなじむことができずに、とうとう頭痛や吐き気、不眠などが起こるように。体調不良は結局治らず、退職することになってしまいました。

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体験談(2)

総合病院の手術室に転職したところ、電子カルテでなく苦労するばかりか、人間関係が良くないので頼れる人がいません。28人のスタッフがいるものの仲良くできそうな人は見つからず、同期の看護師は個人主義な感じで話しづらい状態です。

覚えることもあまりにも多く、気が休まる時間がなく夜もよく眠れません。

体験談(3)

デイケアに転職したところ、誰も仕事を教えてくれません。質問しても鼻で笑われ、出勤しても自分が何をすればいいのか分からない状態です。いちいち前のナースと比較されたり、「2日目なのにまだ分からないの」などと理不尽に馬鹿にされ、悔しくてなりません。

<ケース2の対策>

たくさんのスタッフがいる場合には、なんとか頑張って続けていれば気の合う看護師が見つかる可能性もあります。ただし、①のように体調不良まで起こしてしまったり、③のように意味もなくいじめがあるなど、無理に我慢する必要がないケースもあります。


職場の人間関係は求人情報や面接では分からない部分です。転職前に、職場内の人間関係を100%把握するのは不可能ですが、事前に職場見学をさせてもらうと、ある程度職場内の雰囲気が分かる場合があります

自分が気になる勤務先は、必ず職場見学をさせてもらいましょう。逆に、職場見学を断られるような職場は、入職を見送った方がよいでしょう。


ケース3:収入・待遇が悪い


体験談(1)

転職では給与額を重視していて、現職よりもずっと条件のいい市立総合病院を選びました。しかし勤めてみると、求人で「○万円以上」と書かれていたのは基本給でなく、ハードな残業や夜勤をめいいっぱいこなし、さらに全ての手当が含まれた金額でした。

体験談(2)

急性期病院の激務に疲れ転職。今度は余裕をもって仕事ができる美容外科で、求人にも「高収入」とあったので期待していました。しかし実際は営業ノルマがきつく、結局前の職場よりも収入が低下してしまいました。

体験談(3)

求人募集は必要最低限の情報しか書かれていないものです。「給料○万円~」とあっても、その内訳に基準はなく採用担当者の裁量に任されています。基本給はいくらなのか事前に確認することで、手当の割合も確認できます。

ただし、面接時に口頭で説明してくれたことと、実際に勤務してから勤務条件が異なるということもあり得ます。これを防ぐ意味でも、内定時に「採用内定通知書」などの勤務条件が明記された書類を提出してもらうとよいでしょう

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ケース4:職場間のギャップ


体験談(1)

公立病院の非常勤から、日勤常勤を希望して地元の病院に転職しました。前の職場と比べ病院規模が小さいのでそれほど期待はしていませんでしたが、あまりの勝手の違いに驚いています。

電子カルテではなく使用する器具は旧式、ドクターや技師がやるようなCT撮影なども平気でナースがやっています。他のスタッフは当然のようにそうしていて、ショックを隠せません。


人間関係は悪くないし、やっと見つけ出した日勤常勤なんだから妥協するべき、という気持ちと、このままでいいのか、転職するべきでなかったのでは、という気持ちが戦っています。

体験談(2)

総合病院でバリバリ働くことに疲れてしまい、ゆっくりとお年寄りをケアしてみたいと考えて特養へ転職しました。が、働いてみて設備の不備や衛生観念など、病院とのあまりのギャップに驚きました。

看護師としての意見をベテランの看護師に提案してみても相手にしてもらえません。職場間のギャップ、理想と現実とのギャップに日々苦しんでいます。

体験談(3)

自宅に近いという理由で個人クリニックに転職してびっくり。タオルは共同で使いまわし、患者さんのエコーの後にもそのタオルを使います。

何から何まで仕事を任され、検査や処置が詰まっているのに、事務の人から「トイレが汚れているのですぐに掃除してください」と。急かされてカルテを探していても手伝ってももらえず、結局自分が怒られ、もう嫌になってしまいます。

ケース4の対策

病院からクリニックへ、公立病院から民間病院へ、病院から介護施設へ、など異なる職場環境へ転職した方は、それまでの「常識」が全く通じずに混乱することが少なくありません。

場合によっては、そのギャップが大きすぎてストレスになり、退職に追い込まれるケースもあります。


こうしたトラブルを防ぐためにも、転職先の職場について事前に勉強しておくこと、職場見学をすること、同じ種類の職場で働いたことのある友人に聞いてみること、転職エージェントに相談すること、など心がけるとよいでしょう。

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看護師が転職を失敗に終わらせないために



誰でも転職は成功させたいもの。「こんなはずではなかった」という事態を避けるために、転職前の情報収集・整理が肝心です。

どの職場にも自分にとっての長所と短所があります。まずは転職理由を整理し、何を職場に求めるのか優先事項をはっきりさせて、求人を選ぶときにも転職後の仕事のなかでも、常に優先項目を意識してみましょう。


職場のタイプごとの特色を知っておくことも大切です。理想と現実があり、大きな病院と小さなクリニックでは設備も仕事の進め方も役割分担も違います。メリット・デメリットを事前に知っておき、そのうえで求人先を選ぶことが重要です。


上で挙げた対策を自分一人のチカラで行うことも可能ですが、やはり転職エージェントに頼った方がより確実です。転職エージェントを活用しつつ、職場見学など自分の目でしっかり確かめることで、転職活動を是非成功させてください。

<看護師の失敗例を紹介します・まとめ>

  • 求人情報の掲載内容と現実の勤務条件が全く違うケースもあり
  • 体調まで崩したり我慢しづらいほどに人間関係が悪い職場がある
  • 内定時には、書面で勤務条件の確認をしよう
  • 職場見学をすれば、職場内の雰囲気はある程度分かる
  • 転職エージェントも活用して、転職先の情報はたくさん集めること



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