看護師求人は売り手市場であり転職しようと思えばさほど難しい業種ではない、というイメージがあります。実際に看護師の離職率は11%と高く、転職をする方が少なくないのです。
とはいえ、新卒の時と同じように活動していれば希望通りの職に就けるかと言えば、そう甘いものではないようです。
ステップアップのための転職は決して悪いことではありません。その転職をしっかり成功させるためにも、新卒と比較して、中途採用の転職ではどのような心構えで取り組むべきなのか、その理由も含めて紹介します。
目次
新卒看護師と中途採用(転職)看護師の違い
新卒と中途採用では求められるものが違う
看護学生だった方が初めて看護師として就職する「新卒」と、看護師として既に働いていた方が職場を変える「中途採用(転職)」。その違いは単純な境遇だけではありません。
病院側からすれば、新卒採用では「将来性」を、中途採用では「即戦力」を求めています。そんなことは当たり前と思うかもしれませんが、転職活動に取り組んでいると「ポテンシャル重視」「未経験OK」などと求人にかかれているせいもあって、つい忘れがちなポイントなのです。
看護師目線で考えれば、転職は「いちから新しい職場で頑張る」という意識かもしれません。が、病院が中途採用をするのは、その職場で看護師の欠員が出ているためであり、欲しいのは欠員を補う即戦力です。
転職応募者には、ただ「頑張る」という意識だけでなく、即戦力となるスキルや経験が求められています。
新卒でも中途採用でも、面接での質問内容はさほど変わらず、自分がどんな人物で何が出来るのか、病院で何をやりたいのか、そして志望動機について聞かれます。
このとき新卒であれば、求められているのはポテンシャルですから、自己分析やPRがしっかりできていて、やる気をアピールできれば、採用の可能性が高くなります。
しかし中途採用の場合にはやる気だけあっても即戦力とはみなされず、不足しているスキルを補うために、実際にどのような行動をしているのかを問われます。例えば関連資格を取った、もしくは取るために行動している、という実績などです。
新卒は研修や教育によって育てられる立場ですが、中途採用は自主的に問題点を見つけ、計画的に行動を起こすことを期待されています。転職活動時には、この視点を忘れないようにしましょう。
中途採用を目指す看護師が注意すべきことは?
前職での問題点がクリアできるかどうか
多くの医療機関で看護師が不足しているため、漠然と中途採用求人を探してみると選択肢がたくさんあります。しかし、なんとなく気になった求人に応募し、採用されたところへ転職していては、この先も何度も転職を繰り返してしまう恐れがあります。
まず前職を辞めた理由は何なのかを改めて自己分析し、書きだしてみましょう。体力的にきつ過ぎた、給料が少なかった、キャリアアップが望めなかった、といった項目です。複数ある場合には、最優先で解決したい項目を決めておきます。
気になる求人があったら、その求人先ならば前職での辞職理由を解決できるのかどうか、しっかり確認しましょう。求人情報に記載がなければ、看護師専門の転職サイトに無料登録して、コンサルタントに確認してもらうという方法がありますよ。
雇用側の不安をクリアにできるような応答を
採用には手間とコストがかかるものです。したがって病院側は、一度いい人材を採用したら、できるだけ長く勤続してほしいと考えます。「採用してもすぐに辞めてしまうことはないか」「ほかの看護師とうまくやっていけるか」という視点を重視しています。
そのため面接で「何年ぐらい働けますか」「過去に人間関係で問題を抱えたことはありますか」といった質問を受けることもあるでしょう。
新たな職場では長く働きたいことや、協調性があり親しみやすい性質であることなどをしっかり伝えることで、雇用側の先のような不安をクリアにすることができます。
中途採用が難しい職場も・・・
看護師求人数は多いとはいえ、どんな転職先も均等に選べるというわけではなく、なかには中途採用での転職が難しいところもあります。そのひとつが、大学病院の看護師です。
最先端医療を扱う大学病院では看護スキルアップを期待でき、給料水準も比較的高い傾向にあることから、人気の求人先です。しかしその中途採用枠は民間病院のものよりも少なく、なかには新卒は100名採用するが中途採用は全くない、という大学病院も見られます。
大学病院の中途採用枠が少ない理由
「大学病院の中途採用は離職率が高くなる」という点が、その採用自体が控えられている理由のひとつです。最先端の治療を受けるため、その病院でなければ治療が出来ない疾患のために、大学病院には遠方からもたくさんの患者さんが訪れます。
入退院のペースや重症度も民間病院とはかなり異なり、当然看護師の業務内容もよりシビアでハードなものとなります。そのため、一度民間病院で働いた看護師が大学病院に転職すると、心身ともハードさについていけずに、結局は退職してしまうわけです。
新卒で大学病院に入れば、いくらキツくても「看護師はこういうものか」と思えますが、一度務めた民間病院のときと比較してしまうと、やはり辛く感じられるのですね。
「看護師数が多いため個別の研修対応が難しい」という理由もまた、中途採用枠を少なくしています。多くの診療科と病床を抱える大学病院では、中途採用も新卒と同じ4月入職とし、研修は一括で行われるのが一般的です。
やむを得ず4月以外で中途採用する場合にはまずは契約社員として雇用し、研修のある4月から正社員登用というところもあるほどです。看護師側の事情として、転職先として大学病院はハードルが高いと考え、興味はあるものの応募はしないという方が多いことも、中途採用枠を狭めます。
「年齢的にチャレンジするのが難しいのではないか」「大学病院の忙しさについていけるだろうか」という不安から、つい敬遠してしまうようです。
大学病院への中途採用を成功させるには?
少ない採用枠でもぜひ大学病院へ転職したい、と考える場合には、下記の2つのポイントを忘れないようにしましょう。
・急性期や総合病院での経験をアピールする
・大学病院の方針に沿った看護観
急性期病院や総合病院での勤務経験があれば、ぜひアピールしましょう。病院側が、採用後にどのように即戦化できるかをイメージしやすくなります。その大学病院が力を入れる分野・診療科目につながる経験があれば、なお強力なアピールポイントとなります。
大学病院の採用選考で重視されるのは「看護観」です。面接時に聞かれたり、小論文テストでまとめる場合もあります。病院のホームページなどを参考にしてあらかじめ内容をまとめておき、病院の方針に沿って看護する意志があることを伝えましょう。
希望によってはこのように限られた中途採用求人をいち早く、もれなくキャッチするのにも、看護師専門の転職サイトが活用できます。転職のプロに採用のためのコツを教えてもらうこともできますよ。
- 新卒が将来性を期待されるのに対し、中途採用で求められるのは即戦力
- 前職での問題点を解決できる求人かどうか見極める
- 中途採用者に対する病院側の不安をクリアにする応答
- 大学病院の中途採用枠は少ない
- 大学病院への転職では、関連する経験をアピールし看護観をまとめておく
- 限られた求人をキャッチし、求人先の内情を知るのに転職サイトが有効
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