いったん退職した後に、元の職場に再就職することを「出戻り」と言います。看護師でなくても出戻りする方はいると思いますが、看護師では特にこのような方が少なくない傾向があります。
看護師が出戻りする理由とその背景や、出戻りのメリット・デメリット、出戻りを検討するうえで確認しておきたいことを紹介します。出戻りを考える方はもちろん、そうでない方もぜひ知っておいてください。
目次
出戻りする看護師が多いのはなぜ?
転職してみて、前の職場の良さに気が付く
「うちの病院は出戻りが多い。1年ぐらいで戻ってきた看護師が7~8人いる」「わずか3ヶ月で出戻ったり、盛大な送別会の数か月後には戻ってきたり、三回出戻りした看護師がいる」といった話があります。
多く聞かれるのは「転職してみたら、前の職場の方が良かった」という理由で、出戻りをするケースです。
転職することで勤務条件が良くなったりスキルアップできれば理想的ですが、そうはいかない場合もあります。具体的には、転職前に聞いていた条件と違った、これならば前職の方が良かった、転職してみて初めて、前の職場が目指す看護の質の高さが分かった、というような体験です。
職場から離れてみて、他の医療機関と客観的に比較することで初めて前の勤務先の良い面が見えてきて「やっぱり戻りたい」と思うわけですね。
前の職場に歓迎される居心地の良さ
「出戻りをして受け入れてもらえなかったらどうしよう」という不安はあると思います。退職の仕方や理由にもよりますが、多くの場合、前の職場のスタッフはそれほど気にすることもなく、受け入れてもらえることが多いといいます。
病院側としてはむしろ、出戻りの看護師を歓迎する傾向があります。出戻りに対しては、採用のコストや手間がかかりません。オリエンテーションや教育もほぼ必要なく即戦力が得られるのですから、人手が不足しがちな医療現場としては、メリットが大きいのです。
出戻りがほかの看護師にもたらす影響もまた、病院側にとっての利点です。出戻りをしたということはつまり「その病院がほかの職場よりも働きやすいなど、より魅力的である」というアピールに繋がります。
これは、転職を考える他の看護師に対する抑止力となることが期待できます。このような受け入れ側の姿勢もまた、看護師の出戻りを増やしている要因のひとつでしょう。
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看護師の出戻り、メリットは?
メリット1. 病院のことを既によく知っている
一般的な転職では、新しい職場や仕事にまずは慣れたり、学んだりすることがたくさんあります。診察室や病棟、処置室の場所やそこで働くスタッフの顔、名前、担当する仕事の内容やスケジュール、シフトの組み方や勤務条件など、様々なことです。
医師や看護師、患者に自分のことを知ってもらい、人間関係を一から築いていくのも大変な労力です。しかし出戻りであれば、これらは既に知っている情報であって、新たに覚えたりする必要がありません。
退職していた間に看護師や医師らの入れ替わりもあるでしょうから、全く同じスタッフと働くというわけにはいきませんが、それでも苦労は少なくなります。
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メリット2. 客観的な視点を持てる
以前働いていたときには当事者としての視点しか持てなかったことも、いったんその場所を離れて改めて出戻ることで、客観的な目で見つめ直すことができます。
以前は「仕方ない」と見て見ぬふりをしていたような課題も、出戻り後は「それはおかしいからこうしよう」と前向きに発言できるようになった、という体験談があります。
出戻りという体験によって「自分で働きやすい環境にしよう」という気持ちを持てることがあるのです。
看護師の出戻り、デメリットは?
デメリット1. 以前と同じとは限らない
出戻り後も同じ部署に配属されるとは限りません。同じ病院でも他部署に入れば、改めて覚えることや人間関係の構築にもパワーが必要になります。
例え同じ部署に再配属されたとしても、前と全く同じ環境ということは少ないでしょう。以前とは使用する機器やカルテが変わっていたり、仕事のルールが変更されていることもあります。
スタッフによっても職場は変わります。親しかった方が辞めて知らない看護師が多かったり、上司の交代とともに職場の雰囲気や方針が変わっている、という可能性もあります。
ただし以前の辞職理由が人間関係であった場合には、ある程度知った職場で、新しく人間関係を築き直せる、いい機会と捉えることもできます。
デメリット2. 気まずさ
「ありがとうございました」とかつて去った職場に、再び「またお願いします」と戻るのは、どうしても気まずいものです。
介護のため、育児のためなどやむを得ない理由で退職をした場合であれば、出戻りを迎える側も歓迎しやすいですが、人間関係や心身の疲弊など自己都合で辞めた場合や、辞め方が円満ではなかった場合には、気まずさもさらに大きくなります。
なかには同僚や上司も素直に歓迎する気持ちになれない、というケースもあることでしょう。
出戻り前にチェックしておくポイント
出戻りで問題は解決するか?
「馴染みのある職場だし、上司も『帰っておいで』と言っているから」と、その時の感情ですぐに決めてしまうのではなく、いったん落ち着いて、冷静に考えてみることが大切です。
前の職場を辞めたときの原因をよく考え、今回の出戻りでそれが解決できるのかどうかを判断しましょう。例えば、体力的なしんどさに耐えられなくなり辞めた場合、同条件で出戻りしても、やはり体力の負担が減少することはないでしょう。
問題が解決されずに再び退職することになっては、出戻る意味がありません。
事前に同僚や上司と話をして、辞職時の問題を解決できるかどうかを探ったり、それが難しい場合には、看護師専門の転職サイトで、コンサルタントに相談に乗ってもらうのもひとつの手です。
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勝手知ったる職場でも謙虚な気持ちで
仕事も病院のことも全て分かっているからと、緊張感なく出戻ってしまうのは危険です。自分が辞めた後には、欠員分の仕事を分担して大変だったスタッフもいることでしょう。
辞めている間に、職場のシステムや方針、人員が変わっていることもよくあります。「自分は仕事ができる」とおごることなく、新人として謙虚な気持ちで、できることに取り組む姿勢が大切です。
出戻った看護師だからこそ「このぐらいできるだろう」といきなり責任ある仕事を任されることがあります。「なぜ自分だけ」と思わずに、前向きに取り組むようにします。
やりづらい交渉はプロに任せる
前回退職時の問題点を解決したいときに病院側に勤務条件を変更してもらうなど、交渉ごとが必要になる可能性があります。
きちんと話し合いができればいいですが、顔見知り同士なだけに、ついなぁなぁになり結果として希望を通せなかった、ということも考えられます。
そんなときには、先述の転職サイトに任せてみましょう。コンサルタントは転職交渉のプロです。自分の希望通りの出戻りが適う確率を高めてくれることでしょう。
- 転職してみたら前の職場の方が良かった、という理由で出戻る
- 採用のコスト、手間がかからないので、出戻りは歓迎される
- 一から職場を知る必要がなく、客観的な視点で取り組めるのがメリット
- 依然と全く同じ環境とはいかず、気まずさもデメリットに
- 前回退職時の問題をクリアできるのかを、まずは確認
- 知っている職場でも、新人のような謙虚さが大切
- 出戻り時の条件交渉は、転職サイトのプロに依頼すると安心
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