看護師の転職体験談(15):大学病院から整形外科クリニックへの転職


(写真はイメージです)

(岩手県 42歳 女性)

転職前の仕事

東北地方の大学病院に勤務していました。新人で入ったところは血液内科病棟でした。骨髄移植も行っていたため、無菌室が3部屋ありました。無菌室に勤務するのは2年目からということで、1年目は看護師の仕事の基礎を学び、業務に馴れるというのが目標でした。

いくら憧れの職業であったとしても、現実は厳しいものです。学校ですべてを習えるものだと思っていたのですが、後から思えば学校では「基本中の基本」のみで、実際に現場でやることすべてが初めてで戸惑いました。


重症部屋をみるとなんとなく戦場のようにもみえたり。始めの1年は3勤交代をするだけで疲れました。休憩時間が削られるほど忙しい部署でした。

血液の癌患者が集まっており、内科なので点滴治療がメインで、一人4~5本の抗がん剤や抗生剤を使うので点滴揃えて中身を作り、時間毎に交換に行きます。急変が多くて死ぬ患者さんが多かったです。


無菌室では独特の技術や操作を覚え、精神的に不安定になりやすい患者さんの心のケアはとても難しいものがありましたが会話をすることが楽しかったです。

自分の空いた時間はたくさんの患者さんとお話しがしたいし、元気づけてあげたいなどという憧れはことごとく打ち破られ「話しをする暇があったら忙しいチームを手伝いなさい」という具合で、理想と現実は違いすぎるということにショックを受けました。


きっと大学病院だから忙しすぎるのだと考え、先端医療の大まかな知識や技術が覚えられたらゆっくり患者さんと向き合える職場に転職しようと思っていました。

なぜ転職をしようと思ったか、なぜ復帰しようと思ったか

結婚と出産で、一度家庭に入ることにしました。大学病院の仕事が大変だったので、仕事と家庭の両立は自分には無理だとわかっていました。子供は双子だったので育児が大変でした。

子供が保育園に入る年齢になったころ、せっかく取った資格だし、ずっと一日中子供と家の中で過ごすよりも子供と少しの時間でも離れて仕事をすることで子供との関係も新鮮になるのではないかとか、仕事にブランクが空けば空くほど注射のひとつもできなくなってしまう恐怖がでてきたので再び仕事をすることに決めました。


また以前の大学病院に戻ることも可能でしたが、大学病院は高度なので忙しすぎた嫌な思い出があったし、時短や夜勤免除は2~3年程度で、あとはフルタイムになるので、私は子供が小学生のうちはパートでいたかったという理由もあったので、時間の融通が利くクリニックに転職することにしました。

どんな転職活動をしたか、どうやって見つけたか

ハローワークと地元の看護協会に登録して、インターネットで求人を調べたり、看護協会のほうからおすすめの求人の連絡をいただいたりしました。また、ネットの看護師求人サイトを利用しました。

たくさんのサイトがあり、見るだけで時間がかかりました。東北地区の、とある県の市町村だけに指定すると意外と絞られてきました。


自分が希望する地区の求人件数が多いサイトを数件選びました。就職お祝い金が出るサイトもありましたので、それも魅力だったのでそこも登録しました。サイトの会社は首都圏にあるものばかりなので、直接あって話をするということはできませんでした。

その変わり、「ナースコンシェルジュ」という会社は面接方式をとっていて、事前に看護感とか自分ができる看護技術は何かとか、苦手な診療科はどこかなどあらかじめ書類に記入しなければなりませんでした。


首都圏にお住まいの人は直接サイトの人と面接をしているそうです。私のように遠い人は電話での面接になりました。送った資料に沿ってさらに詳しく聞かれ、私の人柄みたいなところを把握したいということでした。対応は丁寧でよかったです。しかし、ネットで簡単に就職活動できるかと思ったのに意外と面倒だとも思いました。

どうやって複数の機関と比較したか

人出不足の医療機関はどこの会社からも紹介されました。ハローワークや看護協会は、医療機関の問題点などは教えてくれませんが、サイトの人は知りえた事情はある程度教えてくれました。前の職場を辞めた理由などのデータも取っているのかもしれません。


「ナース人材バンク」という会社は、ここは基本給のベースアップがない病院だとか、中堅どころがやたらに辞める職場だとか教えてくれました。夜勤手当の金額も詳しく教えくれましたし、福利厚生も調べていました。サイトのほうが情報量が多くて感心しました。そのため比べる機関がたくさんありました。

選んだ理由と面接

ハローワークと看護協会の求人に登録して、まず、1つ、整形外科のクリニックを選びました。基本給が22万円で他よりは高めだったことや、クリニックだとあまり忙しくないのかもしれないという漠然とした思いや、整形外科ならあまり命の重さと向き合わなくてもいいのではないかという安易な気持ちもありました。

面接を受ける時になって、びっくりしたのは、私が大学病院に新人で入ったときの先輩がその整形クリニックの婦長さんだったのです。知らない間柄ではなかったので話はトントン拍子に進み、始めから採用する方向で話が進んだ内容の面接でした。


服のサイズや業務内容など、すでに面接のときに話し合われたのです。院長は男性で、「婦長さんがいいならいい」という調子でした。

実際の職場では

子供を保育園に預けながら10時から17時までのパートタイムの仕事でした。師長さんが面倒見のいい人だったので私にとっては楽しく仕事ができました。整形外科なのでレントゲン撮影があるのですが、技師さんがやめてしまったので看護師で撮影することになって勉強会をしながらスキルを身に着けて覚えました。

それは免許を持った技師ではないので看護師が被爆バッチも着けずにレントゲン撮影をするのは違法なのですが、クリニックはそういうところがいい加減なんだと思いました。大学病院と違い、スタッフの人数が少ないので、人間関係の構築は大切になります。


ここで師長とうまくやつていけない人は退職していきました。診療科の特徴柄、命の緊急性はないのでそのあたりは気持ち的に楽でした。冬は通勤時間の渋滞や駐車場の雪かきが大変なクリニックでした。

まとめ 転職活動を通じて感じたこと学んだこと

毎日通う職場なので交通の便が良いことや、雪が降る地域は出勤前の雪かきの有無や手当などは意外と大事になってきます。

ビル診療や民間の駐車場を借りているクリニックならいいですが、自前の広い駐車場を持っていると、昼休みも雪かきをするところもあるし、冬は1日中交代で雪かきをするなど疲れ損をするのでそのあたりの下調べは大事です。


人間関係は、知っている人がいるなら聞いておけば助かると思いますが、実際は、入ってやってみなければわからないものです。自分のほうが年上であっても後から来た自分は一番下なので謙虚な気持ちを持ちながら人よりも機敏に動くことが良い人間関係を作れるスタートになります。


求人票に載る回数が多い医療機関は、やはり何かしらの問題があります。ハローワークではその情報を知っていたとしても教えてはくれません。

ネットの看護師求人サイトに登録して担当者と話をすると、人気がない理由や裏事情をある程度教えてくれます。また、勤務内容も詳しく調べてくれたり、就職お祝い金がでる会社もあるので、サイトを利用するのもいいと思いました。             

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