超高齢化社会が進行する日本では高齢者介護が大きな課題であり、そこには看護師の存在が欠かせません。介護施設からのたくさんの看護師求人のなかでも、民間企業が経営する有料老人ホームからの求人数が、特に増加傾向にあります。
有料老人ホームとはどのような施設であり、そこで働く看護師はどんな仕事をするのか、勤務するメリット・デメリット、転職時の注意点についてまとめます。
目次
有料老人ホームとは
介護施設は大きく3種類に分けられ、それぞれの利用者層に合わせた施設内容、サービス内容となっています。サービスの違いは、看護師の仕事内容にも大きく影響しています。
介護度の高い方が入居する「介護老人保健施設」「特別養護老人ホーム」は都道府県によって運営されますが、自立して生活できる方が中心となる「有料老人ホーム」は民間企業により運営されます。
年齢や健康状態のほかさまざまな入居条件があり、これは各ホームによって異なりますが、年齢は60歳もしくは65歳以上とするのが一般的です。要介護の方向けの施設もあるものの、多くの施設は自立して生活できる高齢者向けであり、一部の居室を要介護用としている場合もあります。
特徴は、バリアフリーや緊急時通報など、高齢者が安心して暮らせるよう配慮されていること、食事や洗濯、掃除などの家事、健康管理、必要に応じた介護などのサービスが付いた住まいであるという点です。
有料老人ホームでは、入居者30名につき看護師1名を配置するルールとなっています。ちなみに特別養護老人ホームでは100名につき3名、介護老人保健施設では100名につき9名の配置です。
有料老人ホームで働く看護師の仕事
民間企業に雇用される、有料老人ホームでの看護師の仕事は「入居者へのサービスの提供」です。
具体的には、毎日の健康チェック、服薬管理、注射や胃ろうなどの一部の医療処置、提携医やリハビリスタッフとの連携・打合せが中心となります。食事や生活の介助は介護士が中心に行いますが、看護師もサポートしていきます。
健康に大きな問題は抱えていない方、病院での治療を終えた方もいれば、ある程度の介護が必要な方もいます。入居者が希望する生活をサポートするのが有料老人ホームの役目であり、看護師は一人一人と向き合い、丁寧に看護を行うことになります。
日勤のみの求人が多いですが、施設によってオンコールや夜勤専従の条件もあるので、求人内容をよく確認する必要があります。
給与は施設や立地によってもさまざまですが、決して低いものではなく病院勤務と同程度の収入を望むことが可能です。
有料老人ホームのメリット・デメリット
メリット
患者さんに向き合う看護ができる
看護対象となる入居者数が多めであれば多少の忙しさがありますが、急性期病院のような慌ただしさはありません。
入居者は、体調を崩しての入院・転居といったことがなければ長く施設で暮らすことになるため、看護師は毎日入居者と向き合い、一人一人の事情や希望を聞きながらじっくりと看護していくことができます。
医療行為がほとんどない
インシュリン注射や胃ろうといった処置が必要な方を除けば、日々の健康観察が主であり、生死に関わるような医療行為はほとんど行いません。看護師の資格は活かしつつゆっくりと働きたい方にとってメリットになります。
時間、心身の余裕ができる
多くの求人は日勤です。夜勤がないというメリットに惹かれ、有料老人ホームへの転職を選ぶ方は多いでしょう。
病院のような過酷な残業はなく、決まった時間に帰宅したい育児中の方、自宅での介護中の方にとって嬉しい条件です。ブランク明けの看護師にも向いています。
急な休み、引越しでも安心
全国展開するホームが多く、急に休まなければならないときには近隣の施設からヘルプに来てもらって対応できたり、引越しになっても転居先での系列ホームで働くことができるので仕事を辞めなくてもいい、という点もメリットとして挙げられます。
デメリット
看護師としてのやりがいのなさ
時間や心身にゆとりをもって働ける反面、看護としてのスキルアップ、キャリアアップを望むことは出来ません。この点をやりがいがない、物足りないと感じる方もいます。
緊急時に一人で対応することも
医師は常駐せず、あくまで提携としているホームがたくさんあります。入居者の発作、発症、怪我などの緊急時は、看護師が主体となって対応することになり、施設によっては自分一人で適切な処置をしなければならないというシーンが珍しくありません。
有料老人ホームで「病棟勤務3~5年以上が望ましい」という求人が多いのは、このようなことがあるためです。緊急時の判断や処置に自信が無い場合、どの程度のスキルが必要かを事前に確認しておきましょう。
正社員求人が少ない
有料老人ホームでは正社員での看護師募集が少なく、パートや派遣が多めです。時給制のパートや派遣では、正社員に比べ月々の給与額が抑えられ、ボーナスがもらえないため年収が下がってしまうデメリットがあります。
オンコール制度
オンコールがある施設の場合、入居者に何かあったときには、休日や勤務時間外でも出勤しなければならないことがあります。
施設によって、オンコールでも医師や介護士と電話で話すだけで出勤しなくても良いところもあれば、臨時の出勤が多いところもあります。後者の場合には、日勤のみで働けるメリットが十分に感じられなくなってしまいます。オンコールの頻度や対応内容について、忘れずに確認しておきましょう。
転勤がある施設も
全国展開のホームの場合、他施設で看護師がいなくなったときに転勤を求められることがあります。半年で3回も転勤があり、通勤に片道2時間もかかるところへの異動を命じられた、という体験談もあり、転勤の有無や頻度を聞いておく必要があるでしょう。
有料老人ホームへの転職、注意点は?
事前に環境のチェックを
有料老人ホームでは日々の生活の介助・サポートが主なサービスですが、これらは介護士の仕事です。そのため施設によっては看護師の声を充分に取りいれてもらえなかったり、介護士との人間関係がうまくいかずに悩む、という声が聞かれます。
そのほか残業代がつかない、24時間看護のホームで人手が少なすぎて日々時間に追われているなど、ブラック企業と受け取れるような労働環境が見られます。
有料老人ホームへの転職時には、人間関係や業務環境、介護度や離職率など、求人要項に記載のないことも十分に確認しておく必要があります。
そんなときに助かるのが、看護師専門の転職サイトの存在です。面と向かって求人先には聞きにくい情報や実際の職場環境について、エージェントを通して確認することができるので、転職失敗のリスクを減らすことが可能です。
オンコールの状況や転勤の有無、残業手当などについても忘れずにチェックし、できれば職場見学をして、希望通りに働ける環境を探してみましょう。
- 主に自立して生活できる高齢者が住まう、民間経営の施設である
- 健康チェック、簡単な処置を中心に個人の希望に沿ったサービスを提供
- ゆとりをもって入居者に向き合う看護ができるメリット
- 正社員求人が少なめ、オンコールでの時間外出勤などのデメリットがある
- 人間関係や勤務条件の事前チェックが不可欠
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