医療系資格である看護師は、数ある職業の中でも特に転職に強い仕事の一つです。
一般のサラリーマンやOLに較べれば転職に有利なのは間違いないですが、その一方で看護師の勤務先には過酷な職場も多く、看護師みんなが転職に成功している訳ではありません。
また、家庭とのバランス、お給料、転職活動の方法など、看護師の転職にまつわる悩みは色々です。
ここでは、看護師が転職で抱えがちな悩みや疑問について紹介します。
目次
転職活動で何を使う?
看護師が転職先の情報探しをする上で、よく使う方法は以下の4つです。
1.友人の紹介で入職する
2.看護師専門の転職支援会社を使う
3.ハローワーク(ナースバンク)を使う
4.自分で応募する
まず誤解のないように書きますと、どの方法が絶対に良い・どの方法が絶対に悪い、ということはありません。どの方法にも、メリット・デメリットがあります。一つずつ簡単に紹介します。
まず友人の紹介ですが、転職先の内部情報を知るには、一番手っ取り早い方法です。ネット上で調べられる内部情報は限りがありますが(そもそも間違いが多い)、中で働いてる方の情報なら確実です。
デメリットは、友人の紹介のため何かあっても簡単に辞められないことです。また、大病院のような大きな組織の場合、(部署が違うため)友人の情報がアテにならないこともあります。
転職支援会社は数多くの転職候補先を抱えているため、より多くの選択肢から選びたい場合に優れています。また、給与交渉や面接対策など、転職支援に一番優れています。
デメリットは、悪徳な業者もいるため、登録する支援会社を間違えるとブラックな職場を紹介されることもあります。
ハローワーク(やナースバンク)は、公的機関の職業紹介所だけに全国一律で同じサービスが受けられます。また、ここにしかない情報もあり、その点も重宝します。
デメリットとしては転職サポートがほとんどないこと、優良な求人先と悪質なものが同じように掲載されていて、見極めが難しいことです(内部の情報は教えてもらえないので)。
自分で応募する方法は、直接募集しかやっていない求人先もあるため、その点でメリットがあります。
デメリットは、誰からも転職サポートを受けられないこと、転職先が事前に聞いていた勤務条件とは違う条件で働かされても、泣き寝入りするしかないことです(こうしたトラブルは非常に多くあります)。
繰り返しになりますが、どの方法が一番かは人それぞれです。ただ強いて順位を付けるとすると、一番止めた方が良いのは4の「直接応募」です。転職後に「聞いていた条件と違う」というトラブルが非常に多いためです。
逆に1番良いのは転職支援会社です。ただしこれも、登録する会社をキチンと選ぶ必要があります。
ちなみに、2と3のメリット・デメリットを比較した「看護師転職サイトとハローワークのメリットを比較しました」という記事もありますので、よかったら参考にしてください。
<関連サイト>
・看護師の転職活動について
転職のタイミングは?
転職するタイミングはもちろん人それぞれですが、看護師にありがちな転職のタイミングというのは確かにあります。ここでは、どういうタイミングで転職をしているのか紹介します。
結婚・出産・転勤
女性看護師が転職を考えるキッカケとなるのが、結婚や出産・旦那の転勤が挙げられます。まず結婚ですが、結婚を機に退職される看護師もいます。
実際、一般女性に聞いたアンケートでも結婚後の専業主婦を希望される女性は増加傾向にあるので、結婚と同時に仕事を辞めたいと考える看護師もそれなりにいるはずです。
ですが現実問題として、サラリマーンの平均年収は下落傾向にあり、家計のためにも看護師を続けざる得ないというケースは非常に多いです。
結婚と同時に退職される看護師はかなり少数派と言えるでしょう。結婚自体をキッカケに転職を考える看護師も、それほど多くはありません。
それよりも多いのは、妊娠・出産を契機に一度退職し、育児が落ち着いてから転職活動を再開させるというパターンです。ここでの注意点は、妊娠中に働き過ぎないことです。
病院によっては妊婦の看護師にもギリギリまで働かせようとする所もあります。ですが、あまりに無理な勤務が続くと母体に影響死しますし、最悪流産ということにもなりかねません。妊娠中のお仕事は決して無理をしないようにしてください。
育児中の転職先としては、家庭と両立しやすい勤務先が良いでしょう。勤務先の上司・同僚が育児に対する理解がある、託児所があるなどが望ましい条件です。
夫の仕事の転勤でやむなく退職し、転勤先に勤務地に転職するというのもよくあるパターンです。この場合、転勤後にすぐに働き始めたい場合は事前に準備しておく必要があります。
転職先の求人動向を知るには転職支援会社の活用が一番ですが、地方の場合はハローワークの方が役に立つこともあります。
3~5年目
看護師が最初に転職を考えるタイミングとして多いのが、3年目から5年目です。この時期に転職が多いのは、理由が2つあります。
一つは、ちょうどこの時期から即戦力として期待される経験年数になるためです。単に転職するだけでなく、年収アップを前提とした転職を希望する看護師が多くいます。
この時重要になってくるのが、即戦力としての経験年数です。実際、臨床経験3年以上を転職の条件として挙げる病院もあるほどです。年収アップが見込めるこのタイミングで転職を希望する看護師が多いのです。
理由の2つ目は、ちょうどこの時期に看護学校時代の奨学金が返済し終わる看護師が多いためです。また、3年系列の病院に勤務すれば返済を免除する、という看護学校もあります。
いわゆる「お礼奉公」ですね。これが3年で終わることが多いため、この時期から転職を考える看護師が多いのです。
4月、9月
看護師が転職する時期として最も多いのが4月、次いで9月です。
4月が新しい年度初めという病院や施設が多く、このタイミングで人の入れ替わりがしやすいということが影響しているようです。実際、この時期に看護師の求人数も大幅に増えます。
次に多いのが9月です。これは、4月を1年の始めと区切った時にちょうどその半分に当たるためです。この時期も比較的求人数が多くなります。これ以外に転職が多い月としては、ボーナスシーズンである6月・12月も比較的転職が多いです。
退職を切り出すタイミングは?
看護師が転職をする上で難しいのは、転職自体よりもむしろ「退職」です。勤務先の病院なり施設がギリギリの人数で回していることが多く、転職(退職)を上司に引き止められることはよくあります。
ここで弱気な態度で臨むと、いつまで経っても退職できませんので、ある程度強気で行きましょう。
とはいえ、退職することである程度は勤務先に迷惑をかけることも事実ですし、勤務先の実情を無視した退職をすると、勤務先との間でしこりを残すことになります。
もしその勤務先が、たとえば3月が一番忙しいということが分かっているなら、その時期は避けた方が無難です。
また退職を切り出す際には、すでに転職先を決めてから退職を上司に切り出す方が無難です。すでに次の転職が決まっていれば、上司としても無理に引き止めができなくなるからです。退職の1か月以上前には切り出した方がいいでしょう。
転職での年齢による有利・不利
看護師は転職に強い職種ですが、それでも年齢による影響はそれなりにあります。まず一番有利なのは、なんといっても20代です。
雇用する側からすれば、ほかの年代よりも安いお給料ですむこともありますが、夜勤を一番頼みやすいのも20代からです。先ほども書いた通り、経験年数がそれなりにあれば、年収アップでの転職も可能です。
次に転職に有利なのは30代です。ですが、30代になると夜勤勤務も段々とカラダにこたえてくるはずですので、夜勤勤務のない転職となると少し難易度が上がります。また、経験による年収アップが期待できるのもこの年代までです。
40代以降になると、病院への転職は厳しいでしょう。あるとしても、夜勤勤務のないパートでの求人でしょう。ただし、介護施設や老人ホーム、クリニックといった転職先なら、十分に求人はあります。
夜勤がない分、病棟勤務時代に較べて年収が落ちるかもしれませんが、転職自体はそれほど難しくありません。
年収を中心に転職を考えるのは危険?
看護師が転職を考えるにあたって、重視する要素は人それぞれだと思います。転職先でどんなスキルを磨けるか、勤務地は自宅から近いか、人間関係はどうか、福利厚生はどうか、キャリアアップの支援制度はあるか、等です。
もちろん、お給料はいくらかも最重要なチェック項目です。
ですが、看護師の転職相談を数多く手掛ける転職エージェントがある程度口をそろえて言うのが、「年収を中心に転職活動を行うと、失敗することが多い」という意見です。これは一体どういうことでしょうか?
まず誤解のないように書いておきたいのは、「転職を考える上で年収のことを考えるな」という意味ではありません。誰だって、仕事を選ぶ上でお給料は非常に重要な要素です。
ですが、こんな例を考えてみてください。ある看護師が勤務先の病院の人間関係に嫌気がさして、転職を考えるようになります。転職先に求める第一条件は人間関係のよいところ、ということで求人活動を始めます。
ところが、看護師の転職候補先が思いのほか多く、この看護師さんは舞い上がってしまいます。
候補先の中に、一つかなり提示給与の高い求人先がありました。人間関係はイマイチの職場のようですが、この頃になるとこの看護師は、当初の希望条件(人間関係のよい職場が第一)をすっかり忘れてしまっています。
そして、いざ転職してその人間関係の悪さに気がつき、結局その職場は長く続かず、退職してしまいました。
これは一例ですが、目先の条件にまどわされて当初の転職理由を忘れてしまい、転職に失敗してしまうという看護師は非常に多いのです。
転職活動を本格的に始める前に、「なぜ、自分は転職したいと思ったのか」をある程度突き詰めて考えてみることをオススメします。
家庭とのバランスを考えた転職をしたい
看護師としてバリバリ働きたいと考える方がいる一方、家庭や育児とのバランスを考えてもう少しゆったり働きたいと考える方もいます。もしゆったりと働きたいと考えているなら、大学病院や大病院の病棟勤務は向いていないでしょう。
オススメなのは、クリニックや介護施設、老人ホーム、訪問介護ステーションなどです。夜勤がない分年収は落ちますが、定時に上がれる職場も多く、家庭とのバランスがとりやすいのが特徴です。
注意点としては、やはり職場によって休みの取りやすさが大きく違いますので、転職時にじっくり検討することをオススメします。特にクリニックの場合、少ない人数で回しているため休みを取りづらい職場であることも珍しくありません。
逆に、意外に思われるかもしれませんが、中堅の総合病院の方が休みを取りやすいという場合もありますので、転職支援会社とよく相談することをオススメします。
<関連サイト>
・看護師の子育て・育児との両立について
転職先の人間関係が心配
勤務先の人間関係は、職場の雰囲気を大きく左右する要素です。誰だって人間関係の良い職場で働きたいものですが、転職をする前にその勤務先の内情を知る情報はないでしょうか?
まず一番確実なのは、その勤務先に友人からいる場合です。その友人からの情報が一番確実でしょう。ですが、そう都合の良い条件はありません。
次に活用したいのが、転職支援会社のエージェントです。ある程度の規模の勤務先なら人間関係についても知ってる場合が多いです。
また、以前この勤務先に紹介した看護師が、どの程度の期間働いたかも確認しましょう。あまりに短い期間だと危険信号です。
あと、オススメしたいのは内定前の職場見学です。職場見学でギスギスした空気を感じたら、転職は見合わせた方がいいでしょう。職場見学を拒否されたら、転職は止めるべきです。
転職の繰り返しはマズイ?
何度も書いてる通り、看護師は転職に有利です。ですが、もちろん無制限に強い訳ではありません。看護師の転職活動で望ましくないとされていることもあります。そのうちの一つが転職の繰り返しです。
あまりに多くの転職を繰り返していると、雇用主に対してよい印象を与えません。では、具体的に何回転職していればNGなんでしょうか?
これは勤務した期間によって変わってきます。目安となるのは、一つの勤務先で3年です。ですので、看護師の勤務年数が12年の方が4回転職を経験していたとしても、雇用主からマイナス評価を受けることはありません。
ですが、看護師としての勤務年数が2年ですでに3回転職しているようなら、転職市場においては評価されません。
では、転職の繰り返しによるマイナス評価が付くと、転職においてどんな不利があるのでしょうか?それは、人気の転職先に採用されづらくなることです。
条件の良い求人先(給料が良い、福利厚生がしっかりしている、休暇を取りやすい等)には、当然ですが競争相手もそれなりにいます。
この時、他の候補者と同じ程度の実力なら、転職回数がマイナス評価を受け採用されません。
もちろん、誰も見向きもしないようなブラックな(つまり勤務条件が最悪な)職場であれば採用されるかもしれませんが、そんな職場ではすぐに辞めてしまうかもしれません。
もちろん、今までの退職・転職にもそれなりの事情があったかもしれません。それでも、転職回数を短期間で増やすことはそれなりにリスクであることは覚えておいて損はないでしょう。
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いざ、転職しようと思ったら・・・
上でも書いた通り、転職情報を収集する手段は色々ありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
とはいえ、総合評価で見て一番使い勝手が良いのは、やはり転職支援会社でしょう。ただし、登録する支援会社を間違えるとかえって面倒というのも上で書いた通りです。
「じゃあ、どこの転職支援会社がいいの?」という方もいると思いますので、以下でオススメの転職支援会社を紹介しています。時間のある方はハローワークと一緒に使う形で、時間のない方は転職支援会社を使って転職活動をするとよいでしょう。
よかったら参考にしてください。
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