子供から高齢者まで幅広い患者さんが利用する眼科は、国内に8000か所以上ありますが、実にその8割が個人経営の眼科、つまり地域密着型のクリニックです。残り2割は、より重症度の高い病気や多岐に渡る疾患、入院治療を扱う総合病院・大学病院などの眼科となります。
独特で繊細な器官である「目」を治療対象とする眼科の看護師は、どのような仕事をしているのか、そのメリットやデメリット、求められるスキルなどをまとめます。
目次
眼科で働く看護師の仕事内容、給料は?
眼科で扱う症状として代表的なものでは、白内障や緑内障、ドライアイ、加齢黄斑変性、アレルギー性結膜炎やものもらい、近視、遠視、乱視、網膜剥離などが挙げられます。
眼球や視力に異常を感じた方の多くは、まずは地域の眼科(個人病院)を受診すると思いますが、そのほとんどが外来のみの施設です。
外来勤務の仕事
眼科外来における看護師の仕事には、受付~問診、検査、医師の診察介助などがあります。
看護師の仕事の主となるのは検査であり、視力検査、眼底検査、眼圧測定や視野検査、超音波検査などを必要に応じて行います。この検査結果をもとに医師が診療を行うため、より正確なデータを提出しなければなりません。
眼科で使用される検査機器は独特であるため、初めて眼科で働く方は正しい操作方法を覚える必要があります。ただし小規模の眼科施設では看護師が行う仕事ですが、大規模な施設や専門病院では、OMA(眼科診察補助者)やORT(視能訓練士)が多数在籍し、主に検査を担当しています。
メガネやコンタクトレンズを装用するための視力矯正治療の仕事も多くなります。患者に合った処方をし、診察後の経過をケアします。斜視・弱視といった子供の視力矯正では、また違った知識や経験が必要とされます。
医師の介助では、診療がスムーズに進むようサポートするほか、目の洗浄、点眼などの処置をしたり、患者さんからの質問や相談に対応します。
手術室勤務の仕事
小さなクリニックではそれほど扱われない手術も、大きな眼科や総合病院内では、1日に何件も行います。看護師は患者さんや家族への説明や手術時の介助、器具の滅菌・洗浄、術後ケアなどを担当します。
眼科の手術時間は少ないものが多く、その結果件数が多くなるのが特徴的です。最も多く扱う白内障・緑内障では、1回の手術が30分~1時間、長くても3時間程度です。そのため、1日に10件も手術をこなすこともあります。
手術は顕微鏡下で行われ、一般の外科手術とは感覚が異なる特殊なものです。医療機関によって扱う手術の傾向が異なるのも特徴的で、それぞれに看護師の介助内容やスキルが違ってきます。
病棟勤務の仕事
眼科病棟では、術前の準備や術後の処置、経過観察やケアを担当します。術後は視力が不安定になる場合が多く、転倒リスクなどに注意しながら、食事や排泄など日常生活の介助をします。
服薬指導や合併症の対応、他診療科との連携も必要になり、それらの知識・スキルが必要とされます。ただし容体の急変などは少ないため、残業は少なめとなっています。
眼科病棟では「視力を失うのでは」と不安を抱える患者さんの立場にたち、話を聞いたり、見守っていくのも看護師の大切な役割です。
眼科の看護師の給料はどのぐらい?
眼科全体での看護師給与を見てみると、地域のクリニックから大規模な病院の診療科までかなり異なる環境の職場が混在しているために給与額には幅があります。平均は月収26万円、年収420万円程度となっています。
個人クリニックでの年収は250~350万円、総合病院などでは350~450万円と、施設規模が大きくなる方が年収も高めになる傾向です。ただし小規模なクリニックであっても、レーシックを多く扱うところではより高めの年収を期待でき、450万円以上という求人も見られます。
眼科で働くメリットは?
メリット1.日勤で働けることが多い
病床のある病院ではもちろん夜勤がありますが、眼科のほとんどは病床を持たない外来であるため、日勤のみで働けます。基本的に日曜・祝日はお休みでき、家庭と仕事を両立したい方にとって大きなメリットです。
メリット2.心身の疲労が少なめ
内科、外科といった診療科と違うのは、眼科では「生死にかかわるような事態」はほとんど起こりません。緊急での治療も少なく、慌ただしさや患者さんの症状から受けるストレスは少なくなります。
術後の患者さんのケアでは生活の介助もありますが、ほとんどの患者さんは目以外健康であり、治療で体力を使うことが多い看護のハードさはありません。
チーム医療が多い看護師の職種では、人間関係でのストレスを感じる方が多いですが、眼科では一人一人の患者さんと向き合う時間が長く、スタッフや医師との連携はより少なくなります。そのため人間関係でのストレスが少なめなこともメリットです。
メリット3.専門知識・スキルを学べる
目の構造や機能、疾患の表れ方や、眼科独特の機器の操作など、眼科でしか学べない知識やスキルを身につけていくことができます。
眼科で働くデメリットは?
デメリット1.看護スキルが特殊
眼科では、例えば採血や手当、点滴や病状の観察など、ある程度普遍的な看護スキルを活かす機会がありません。
眼科で身につく知識や技術の特殊性は、メリットの反面デメリットともなり、眼科から他の診療科へ転職した際に活かすことは難しいほか、転職してきた際には覚えること、学ぶことが多いことを負担に感じる看護師もいます。
デメリット2.忙しさ
眼科は一人一人の患者と向き合い、ゆっくりと働けるイメージがあるかもしれません。もちろんそのようなクリニックもありますが、ほとんどの場合外来には患者さんがあふれ常に忙しい職場となります。
手術を多く扱う眼科になると、先述のように1日に10件もの手術を行うこともあり、当然看護師の仕事も慌ただしくなります。想像以上の忙しさをデメリットと感じることもあるかもしれません。
眼科で働く看護師に求められるスキル
先述のような忙しさをこなすには、一人一人の受診や手術をよりスムーズに進める必要があり、そのためには看護師がテキパキと効率よく業務を行うスキルが求められます。
眼科クリニックでの看護師になるのに看護師免許以外の特別な資格は必要ありませんが、基本的な看護処置ができ、特殊な機械の扱いにも挑戦できるという意味で、臨床経験が1~3年程度はあった方が良いと考えられます。
眼科で働きたいなら、転職ではここに注意!
高齢化社会の進行は、加齢による目の疾患の患者数を増やし、またスマホやタブレットの普及によりドライアイ患者が増加するなど、眼科の受診機会はより増える傾向にあります。処置や手術により視力が回復したり不快感を取り除けるなど、患者さんの回復を看護師も確認できることは、やりがいにもつながります。
眼科への転職を考えるときに注意したいのは、勤務先の規模や扱う診療によって、看護師が重点を置く仕事や身につくスキルがかなり違ってくるという点です。
地域のクリニックで検査や介助を中心に働きたいのか、手術を多くこなしてスキルを身につけたいのか、病棟で看護スキルを活かしながら患者さんの回復をケアしていきたいのか、目的や希望を明確にしておいたほうが良いでしょう。
その求人先で自分の希望通りに働けるだろうか・・・という不安がある場合、看護師の転職支援サイトのコンサルタントに相談することで、転職のプロからのアドバイスや情報提供を受けることができます。
- 検査を主とし、診療介助や受付、患者応対を行う
- 眼科手術は必要時間が短いため、こなす件数が多い
- 施設により幅が大きいものの、平均年収は420万円程度
- 日勤のみで心身のストレス少なく働ける可能性
- 眼科の特殊な知識・スキルはメリットにもデメリットにもなる
- どんな仕事やスキルに重点を置きたいのか考えておこう
看護師の転職サイト、おすすめは?
看護roo!
※九州・四国はサービス対象外です
無料登録はコチラ
マイナビ看護師
無料登録はコチラ
コメントを残す