リエゾンナースになるには？

看護師、なかでも精神科に関わった方であれば「リエゾンナース」という言葉を耳にしたことがあると思います。実際にリエゾンナースのサポートを受けたことがある、という看護師もいるかもしれませんね。

精神科看護のプロフェッショナルであるリエゾンナースとはどのような看護師を指すのか、またリエゾンナースに求められるものについてまとめます。

リエゾンナースとは？

精神科看護のプロフェッショナル

「リエゾン」とは、フランス語で「橋渡し」「仲介」という意味を持つ言葉です。精神看護の高い専門知識・スキルで質の高い看護を提供するだけでなく、リーダーとしての役割を果たし、他診療科と連携したり、看護師や医療スタッフに対するカウンセリングも行います。

特に決まりはありませんが、多くの場合、精神看護領域の認定看護師、専門看護師がリエゾンナースと呼ばれています。以下にそれぞれの認定資格について大まかに紹介していきます。

ただし特に資格がなくても、現場を任せられる看護師をリエゾンナースと呼ぶこともあります。病院やクリニックなどの医療機関で、独自にリエゾンナースになるための決まりを設定しているような場合です。

精神科認定看護師

一般社団法人・日本精神科看護協会が1995年に創設した認定制度で、精神科看護領域において優れた看護知識・能力を持つと認めるものです。質の高い精神看護の実践に加え、精神科看護に関して相談に応じ、指導を行います。

認定看護師を目指すためには、精神科看護師の経験が5年以上あることが条件です。受講資格審査に合格したうえで精神科認定看護師教育課程を修了し所定の単位を修めると、小論文・筆記・面接・口頭試問からなる認定試験を受けることができます。合格・登録後は5年ごとに認定を更新していきます。

従来の教育課程では、うつ病看護、退院調整、精神科身体合併症看護などの10の専門領域に渡って学習することとしていましたが、平成27年度の制度改正において10の領域をひとつに統合し、より網羅的・統合的な学習を目指すこととなっています。

精神看護専門看護師

認定看護師と同じ1995年に、日本看護協会において特定が開始された認定制度です。精神看護専門看護師には、精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供し、精神科の枠を超えて一般病院においても心のケアを行う役割があります。

通算5年以上の看護実務を経験し、そのうち3年以上は精神科看護の実務であることを条件に、看護系大学大学院において規定の教育課程を修めることで、認定試験の受験資格を得ることができます。

書類審査と筆記試験の認定試験に合格し登録することで、精神看護専門看護師として活動することができます。

リエゾンナースに求められるもの

専門性を究める向上心

患者さんや医療スタッフの心理面のケアを担当するリエゾンナースは、精神科看護のプロフェッショナルであらねばなりません。心理ケアはマニュアル通りにやればいいものではなくケースバイケースで対処していく必要があり、そのためにも豊富で幅広い知識や経験、スキルが必要になります。

リエゾンナースになるため、認定看護師や専門看護師となるために、数年の実務経験や教育研修を積むのは、十分な知識やスキルを身につけるためでもあります。看護師として働きながらそのような知識や情報を常に求めていく向上心が欠かせません。

リーダーシップ、カウンセリング能力

リエゾンナースの役割として、看護以外に指導、相談があります。精神科の現場をリードしていくリーダーシップとともに、カウンセリング能力も求められています。

そのため、もともと人に教えることが好きという方や、面倒見がいいと言われる方は、リエゾンナースに向いていると言えるでしょう。

病気や怪我、入院生活で強いストレスを受けている患者さん、職場環境や仕事で心身が疲れやすい看護師など、リエゾンナースのケアを必要とする方は精神科に限らず、院内や地域にたくさんいます。

心のケアをした方が回復していくのはリエゾンナースの大きなやりがいであり、専門性をさらに高めていくことで活躍の場は広がり、自信をもって仕事に取り組むことができます。

実際に、看護師2年目で看護の仕事が精神的に辛くなったとき、院内のリエゾンナースのカウンセリングを受けることでリフレッシュでき、休職期間を経て病院の仕事に戻ることができた、という感謝の体験談も見られます。

認定看護師、専門看護師となることで資格手当がつくなど、収入がアップするのも嬉しい点です。転職の際にはより良い待遇を期待できるでしょう。