看護師の仕事、その魅力は？

看護師は3Kまたは7Kとも言われていたこともあり、過酷で厳しい職業の代表格とされることも少なくありません。

確かに夜勤や残業、休日出勤などが当然のようにある拘束時間が長い職種の上、人の命を預かる責任の重い仕事であるために精神的な負担も重大、行わなければならない業務は多岐にわたり日頃から多忙を極める・・・

こういったことを知れば知るほど、看護師という職業の厳しさに打ちのめされる想いがするという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし一方で、実際に医療現場の最前線で働く看護師の多くからは「看護師ほど魅力のある職業はない」という言葉も聞かれます。そこで今回は、そんな看護師の仕事の魅力について考えて行きたいと思います。

1 看護師という職業の魅力とは
2 看護師の仕事に魅力を感じた、そのきっかけとは？
- 2.1 体験談１　母の姿を追って看護師を目指しました
- 2.2 体験談２　看護体験に参加したことがきっかけ

看護師という職業の魅力とは

魅力その１　人間的な成長や人への貢献を実感できる

人の命を預かり守る看護は、責任が非常に大きく、業務中絶えず緊張やプレッシャーにさらされる、大変消耗度の高い仕事となっています。

しかし、医療現場の最前線で患者さんやその家族と接しながら働くことができるため、患者さん達と共に悩み、考え、お互い支え合うことができます。

そのため、自分の行った看護が患者さんのためになった時、良い結果に繋がった時に確かな手応えを感じることができ、大きなやりがいを実感できるという看護師の方は非常に多くいらっしゃいます。

また、患者さんとの対話や交流が人間的な成長に繋がったり、人と医療への貢献が実感できる機会が多い点にも、看護師の魅力を感じる方が多いようです。

加えて、同僚や上司、医師と共に医療チームを組んで仕事を行う中で、仕事を認められたり、上手くコミュニケーションをとり人間関係を円滑に回すことができたりした時に、達成感や仕事をする喜びなどを強く実感するというケースも少なくありません。

魅力その２　安定して働くことができる

看護師は慢性的な人不足にあることもあり、都市部・地方を問わず需要が大変高い職種です。全国各地、どのような場所であっても就職に困ることがないというのは、看護師の大きな特徴であると同時に強みでもあります。

また一般企業に勤める女性の場合、年収のピークは30代～40代に訪れ、ピークを過ぎると徐々に年収が下がってしまうという不安がありますが、看護師の場合は勤続年数に併せて年収が上昇し、50代以上でも上がり続けるというのが一般的です。

生涯にわたって年収の減少を心配する必要があまりないというのも、大きな魅力の一つと言えるでしょう。

加えて、看護師の場合は年齢よりも実績や経験、即戦力となるかどうかなどが重視されるため、年齢を理由に求人応募を断られたり、採用試験や面接で足きりをされないという特徴もあります。

魅力その３　給与水準や社会的な信用度が高い

看護師の基本給与は一般的な企業に勤務するOLの方々とそれほど差がないとされていますが、夜勤や残業、休日出勤などの手当が厚いため、給与水準は総じて高めとなっています。

さらに、キャリアアップやスキルアップのための転職を成功させやすい職種でもあるので、転職を機に給与の大幅アップを狙うことができるなど、収入アップのチャンスが多いというメリットもあります。

この給与面のメリットに大きな魅力を感じて看護師を続けているという方は、大変多いというのが実情です。

また、看護師は信用度もとても高く、クレジットカードや銀行ローン、住宅ローンなどの審査にも強いとされています。独身の方はもちろんのこと、配偶者がいる方であっても、この社会的な信用度の高さは生活をする上で大きなプラスになることは間違いありません。

魅力その４　生涯続けることができる職業である

看護師は国家資格、准看護師は都道府県知事免許を取得して就くことができる専門職のため、年齢性別を問わず、本人のやる気さえあれば生涯続けることができる職業です。

また、結婚や出産、子育てなどの家庭の事情で数年のブランクができてしまった場合でも、復帰支援プログラムなどを活用することで、上手く復帰することができるという点も魅力の一つです。

現実に、厚生労働省の調査では就業中の看護師のうち、55～59歳の看護師が占める割合は約6.0％、60～64歳までの看護師が約2.5％、65歳以上の看護師が約1.1％となっています。これほど中高年齢層の女性が活躍できている職種というのは、他にはないのではないでしょうか？

魅力その５　ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができる

かつて、看護師というと「正社員待遇、フルタイム、夜勤・残業あり」という働き方が基本で、その他の勤務体系を選ぶことは困難な状況にありました。

しかしながら、この数年で看護師の勤務体系も多彩となり、活躍の場もかなり広がりを見せるようになりました。その結果、日勤のみ・夜勤のみといった勤務時間を限定した勤務や、好きな時に好きな日数だけ働けるスポットアルバイト、正社員ではないパートや派遣といった働き方を選ぶことができるようになってきました。

勤務先も医療機関だけでなく、医薬品メーカーや医療機器メーカー、保健所などの行政機関、一般企業、小中学校や大学などの教育機関、高齢者福祉施設など選択肢が大きく広がったため、自分の適性を見極めてより自分に合った職場を見つけやすくもなってきています。

働く先の選択肢が多いというのも、看護師の新しい魅力の一つだと言えるでしょう。

看護師の仕事に魅力を感じた、そのきっかけとは？

看護師の魅力を考える場合、参考となるのが現役看護師さんの語る「看護師になりたいと思ったきっかけ」です。

ここで、実際に医療現場で働く看護師さんの体験談をいくつかご紹介しますので、是非生の声から看護師の魅力を感じ取ってみて下さい。

体験談１　母の姿を追って看護師を目指しました

私が看護師を目指したきっかけは、なんといっても母にあります。私の母も看護師をしており、小さな頃から母の職場について行ったり、迎えに行ったりして母の看護師としての姿を目に焼き付けていました。

そういったこともあって、幼稚園の頃には看護師になりたい！と言っていて、高校の進路選択の時も、息をするような自然さで「看護学校進学」と用紙に記入していました。

看護専門学校に進学後は、カリキュラムが厳しく寝る時間もろくに確保できない日々が続きました。常に多くの課題をこなし、実習を行い、グループワークなどで自分を見つめ直すといった毎日だったため、若い私は心身共に追い詰められ、辞めてしまおうかと本気で考えたこともありました。

しかし、そんな中で人との関わりを持ち、相手が喜び笑顔になってくれる瞬間に立ち会うことの素晴らしさ、人の役に立っていると実感する幸福感を知り、辛さよりも大きな喜びを実感できるようにもなっていました。

この経験ができただけでも、私の人生には意味があったと感じられるほどです。専門学校を卒業し、晴れて看護師として働くことができるようになった今も、学生時代の経験を常に心の奥に置いて仕事に励んでいます。

患者さんの一番近くで共に語らい歩みながら、その人の病状や生活にあった看護ケアを提供し、他のスタッフと共に協働できることの素晴らしさを実感できることは、看護師の醍醐味であると考えています。

10代の頃は、いつも時間に追われて忙しく働き通し、休みもろくに取れない母の姿を見て「何が楽しくて看護師をしているのだろうか＿」と感じることもありました。

ですが、いまはその「何が」の部分が自分でもしっかりと実感でき、母の想いや看護師という職業への情熱なども共有できているように感じています。

大変なことも勿論たくさんありますが、患者さんやそのご家族が喜んで下さったり、笑顔でいて下さったりすることが何より嬉しく、看護師として働くことができて幸せだと心から思いながら、日々看護に励んでいます。

体験談２　看護体験に参加したことがきっかけ

私が看護師を目指したきっかけは、看護体験への参加でした。私は高校２年生まで希望する進路というものがイメージできず「このままでは、進学するにせよ就職するにせよ手遅れになってしまう」と焦っていました。

そんな中、看護師を目指す友人から「高校生を対象にした看護体験があるから、一緒に行ってみない？」と誘われ、なんとなく友人について行くことになりました。

私は小さな頃から看護師に憧れたことなどはなく、健康優良児だったため病院などにも縁があまりなく、看護体験に参加する前は「看護師ってどんな仕事をするのか分からないなあ」程度の軽い気持ちしか持っていませんでした。

しかし、いざ体験当日となると全く知らない職場を訪問するということで緊張してしまい、ガチガチの状態で病院を訪れることになってしまいました。そんな私を担当の看護師さんは優しく出迎えて下さり、

「今日は参加して本当にありがとう！分からないことや不安なことはなんでも聞いて下さいね」

と満面の笑顔で話しかけてくれました。その時の看護師さんの心が温かくなるような明るい表情は、今でも忘れることができません。看護師となった今でも、ああいった表情ができるようになりたい！と思っているほどです。

その担当の看護師さんに引率されて向かったのは、患者さんの足湯でした。体験室まで向かう廊下では、看護師さんがバタバタと忙しく立ち回っていて、本当に忙しく大変な仕事なのだなとひどく感心したものです。

足湯の準備が整い患者さんの元に就いたのですが、実際に看護師さんの指導通りに足湯をしようとしても、手が震えてなかなか上手くいきませんでした。

しかし、看護師さんが根気よく丁寧に教えて下さって、苦労しながらもなんとか最期までやり遂げることができました。患者さんは90歳を超える高齢の方でしたが、私を気遣って「とっても気持ち良かったよ、本当にありがとうね」と心を込めて褒めて下さいました。

この言葉に私は自然に涙がこぼれ、それまでの人生で感じたことのないような心の温かさ、充実感を感じました。そして「看護師って、こんなにもやりがいと感動が得られる職業なんだ」と感動し、看護師を目指す決心をしました。