現代はストレス社会といわれています。医療の現場で働く看護師にとっても、ストレスは無縁のものではありません。ストレスが人間に与える影響は多岐にわたり、ときにはメンタルのみならず身体の重篤な疾患にまでつながることもあります。
ここではストレスが与える影響と、看護師にもできるストレス対処法について詳しく説明します。
ストレスが与える影響
みなさんはストレスという言葉から何を思い浮かべるでしょうか。「イライラする」「腹が立つ」「胸が苦しい」「心が弱ってくる」等々、人によってイメージはさまざまだと思います。
ストレスはもともと機械工学用語で、物体に負荷を加えたときに内部に生じる『ひずみ』を指していました。まさにストレスとは人間の心や体の内部に生じる『ひずみ』といえるのかもしれません。次にストレスが心身に与える影響を見ていきましょう。
心に与える影響
ストレスは人間の心に大きな影響を与えます。ほんの小さなことでも繰り返し続くと気分が低下し、「もうイヤだ」「何をやってもダメだ」などと考えるようになります。
このような状態になると仕事や家事をする意欲も低下し、不安に苛まれて人間関係も上手くいかなくなる場合があります。
一般的な症状:不安感、危機感、やる気のなさ、怒りっぽさ、判断力の低下 ほか
悪化した場合:うつ病、パニック障害、睡眠障害、過食症(拒食症)、PTSD ほか
身体に与える影響
ストレスは心だけでなく身体にも影響を与えます。強いストレスが掛かると血圧が上昇したり、免疫力が低下して風邪をひきやすくなったりします。女性の場合は月経不順が起こるなどの状況になることもあります。
一般的な症状:頭痛、肩こり、目の疲労、脱毛、腰痛、腹痛、便秘、下痢 ほか
悪化した場合:神経痛、高血圧症、狭心症、過換気症候群、胃潰瘍、過敏性腸症候群 ほか
仕事に与える影響
ストレスによる心身の不調は仕事にも影響を与えます。働く意欲の低下で遅刻や欠勤が続いたり、集中力や判断力がなくなってミスを繰り返すという結果になることもあります。職場環境がストレスの原因なら異動や転職なども考えてみましょう。
一般的な症状:集中力や協調性の低下、倦怠感、モチベーションの低下、遅刻、欠勤 ほか
悪化した場合:胃炎、アレルギー、生活習慣病、睡眠障害、うつ病、パニック障害 ほか
生活に与える影響
心身にストレスの影響が出ると、家庭生活や家族との人間関係にも問題が発生します。睡眠不足や疲労感で家事に影響が出たり、意欲の低下で育児ができなくなる場合もあります。親子・夫婦関係などに破綻をきたすような状況なら専門医の診療を受けてください。
一般的な症状:不眠、疲労感、倦怠感、食欲不振、飲酒や喫煙、ギャンブル ほか
悪化した場合:家事放棄、育児放棄、家族との不和、別居や離婚 ほか
妊娠に与える影響
ストレスは生理痛や月経困難症、不妊、妊娠中の体調不良や病気、胎児の栄養不足などの原因になります。強いストレスを受けると血管収縮が起こり血流量が低下します。
これはストレスを感じるとアドレナリンが放出され、負荷と戦おうとするために血液が脳や心臓に優先的に送られるからです。
そこから生理不順や妊娠しにくい状況が生まれたり、妊婦さんの体調不良、お腹のなかの赤ちゃんの栄養不足といった状況が発生することがあります。
また人間がストレスを感じたときに放出されるコルチゾールというホルモンは、胎児の神経系の発達に影響を及ぼすとされていますので注意が必要です。
簡単にできるストレス度チェック
ストレスの特徴は「自覚症状がなくても心身にダメージがある」という点です。自分がストレスを感じていると分かっていれば対処法もありますが、まったくの無自覚ではダメージが蓄積していく一方になります。
次に簡単なストレスチェックをご紹介しますので、一度トライしてみてください。
- 朝起きるのがつらい
- 頭痛や肩こりが続いている
- 職場に行くのが億劫だ
- 夜、寝付きが悪い、眠れない
- 周囲の人の目や言葉が気になる
- 良く胃が痛む、下痢をする
- 失敗すると自分ばかりを責める
- ちょっとしたことで動揺する
- 緊張を強いられるのが苦しい
- 自分は何をやってもダメだと思う
- 毎日憂うつで楽しくない
- 突然、不安に襲われることがある
以上の項目のうち、当てはまるものの個数でストレス度がチェックできます。
0~3個:大きなストレスはありません。
4~6個:自覚はないものの軽いストレスがあります。
7~9個:ストレスが溜まりつつあります、要注意!
10~12個:かなりストレスが溜まっています。
これは簡単なテストですので、結果がすべての人に当てはまっているとは限りません。しかしテスト項目が7個以上当てはまっていたり、ストレスの自覚がある場合は早めに対処を行ないましょう。
看護師のストレス対処法
ストレス解消のためによく使われるのが「お酒を飲む」や「買い物をする」「スポーツをする」などの方法です。どれもストレスの対処法として効果が期待できるものですが、これだけでは「私にはあまり向いていない」という場合もあるでしょう。
次に看護師のみなさんにオススメのストレス対処法を紹介していきます。
【少し真面目なストレス対処法】
ストレスの原因を考える
「ストレスの原因は分かっている」「つらくて原因を追及するなんて無理」と感じる人もいるかもしれません。しかし、何となくモヤモヤしていたり、理由も分からず苦しんでいるようなら、ストレスの原因を突き止めてみるのもひとつの方法です。
たとえば職場に行くと気持ちが沈んだり体調不良になるというような場合、何が問題なのかを考えてみましょう。仕事内容が合わないのか、看護技術や知識が不足なのか、給料や待遇に不満を感じているのか、職場の人間関係でトラブルがあるのか等、ストレスの原因が明確になると対処法も見えてきます。
事実を再検証してみる
「いつも先輩に嫌みを言われる」「また嫌な仕事を押し付けられた」など、ストレスが起こる原因のひとつに「いつも○○」や「また○○」という繰り返しがあります。
一度だけなら気にならない問題でも、何度も繰り返されることによってストレッサー(ストレスを引き起こす刺激要因)になり得るからです。
こうしたストレスに対しては、事実を再検証してみるという対処法が有効です。実際には「いつも」ではなく「何回かに一回」、「また」ではなく「他の看護師もやらされている」という事実が分かることもあります。自分だけの思い込みや決め付けではなく、もう一度冷静な目で見直してみてください。
視点の角度を変えてみる
「私は何をやっても失敗ばかり…」「私は誰にも期待されていない…」など、社会人なら誰でも経験するのが「私は○○」という気持ちです。このような思いは強いストレスにつながってきますが、元にあるのは「本当は何をやっても上手くやれるようにしたい」「みんなに高く評価される存在になりたい」という気持ちです。
こうした完璧主義はストレスの原因になります。少し視点を変えて「Aという業務は苦手だけど、Bなら得意だし上手くできる」「○○さんには期待されていないけど、△△さんは私を評価してくれている」というように、自分の良い点に目を向けるようにするとストレスが軽減されます。
【リラックスできるストレス対処法】
新たな趣味に挑戦してみる
今まで経験したことがない新たな趣味にチャレンジしてみましょう。仕事の余暇でも手軽にトライできるのがフラワーアレンジメントやお菓子作り、パッチワークなどの手先を使う趣味です。初めは面倒くさいと思っても、実際にやり始めたら楽しくなるでしょう。
始めたからには途中で止めてはいけないと思い込まず、興味を持てる趣味が見つかるまでいろいろ試してみるというのも良い方法です。
手軽なリラクゼーションをする
夜寝る前や休日の短い時間でもできる手軽なリラクゼーションを行なってみましょう。室内でもできるものとしてはヨガやストレッチ、アロマテラピー、お香などがあります。
無理しない程度に体を動かしたり、脳に直接働き掛ける匂いには意外にリラックス効果が期待できます。本格的に取り組むというより、ほんの余暇の楽しみという軽い気分でトライするのが上手くいくコツです。
ゆったりとした入浴を楽しむ
入浴は血行を良くして身体を温めることができるため、リラックス効果や睡眠を促す効果があります。できれば40度前後のお湯に20~30分間くらい入ると、副交感神経が活性化してゆったりした気分になれるという効能が期待できます。
好みの香りのバスソルトやバスボム、アロマオイルを使用するのもオススメです。
【番外編!おもしろストレス解消法】
ちょっと面白いストレス解消法で楽しみながらリラックスしましょう。
自己流ボクササイズにトライ!
室内の鴨居やハンガー掛けなどにタオルを吊るし、簡易サンドバッグに見立ててボクササイズに挑戦しましょう。タオルにパンチを当てるだけですから手も痛くなりませんし、「ワンツー、パンチ!」「アッパー!!」など大声を出して身体を動かすだけでもストレス解消になります。
アイドル気分でダンスを楽しむ!
無料のアイドル動画などを利用し、人気アイドルになったつもりでダンスを楽しみましょう。歌を歌いながらアイドル気分で手を振ったり、架空のファンに向かってウインクしてみても構いません。いつもと違う自分になりきるとストレス解消できます。
野菜を大量に刻みまくる!
スーパーなどで購入したセール品の野菜を千切りやみじん切りに刻んでみましょう。タマネギやキャベツ、長ネギなど、しゃきしゃきした音が出る野菜がオススメです。無心になって大量の野菜を刻んでいるうちに、いつの間にかストレスを忘れられます(刻んだ野菜は冷凍保存できます)。
- ストレスは心や身体の不調の原因になる
- 状態が悪化すると神経系や内臓疾患につながる
- 自覚症状がなくてもストレスのダメージは現われる
- ストレスチェックで自分の状態を知ろう
- 対処法を知ってストレス解消を図ろう
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