看護師と言う職業上、人との触れ合いも重要な仕事のひとつとなっています。
意外なことかもしれませんが、医療というサービスを提供する中でも「もてなす」という意識を持つことはとても大切なことで、こうした患者さんへの接し方を接遇(せつぐう)と呼びます。
患者さんが安心して治療に専念できるよう、看護師も「おもてなし」の心を大事にしたいものですよね。ここでは、看護師が心得ておくべき接遇について考えていきたいと思います。
目次
看護師の接遇で大切なポイント
患者さんに接する際に、どのようなことを注意すればよいのか、看護師の接遇で大切な4つのポイントを紹介いたします。
ポイント1!患者さんとの「コミュニケーション」
単に、医療行為・看護行為さえしっかりできていれば問題がない、と考えがちですが、実際に患者さんが回復していくためには、看護師としっかりとコミュニケーションが取れていることが重要です。
これは、コミュニケーションが取れていると患者さんが安心するなど、精神的なケアが増すということもありますが、一番大切なのは患者さんの病状を正しく把握できることにつながるからです。
ちょっとした異変であっても、常にコミュニケーションできていればそれを見逃さない、あるいは、患者さんのほうから「少しおかしいんだよね」と話してくれることがあるかもしれません。
患者さんのリスクを減らしていく意味でも、コミュニケーションを取ろうとすることが大切です。
ポイント2!患者さんへの「共感」を持つこと
コミュニケーションが大切だと言っても、具体的にどのようにすれば良いのか、なかなか難しいですよね。そのための方法の1つとして患者さんへの「共感」があります。
病院を訪れる患者さんは、症状の重い、軽いはありますが、やはり不安を持っているものです。不安を持っている患者さんに対して、安心を与えるような接し方が接遇として望まれています。
それでは、どのようにして安心を与えるのか、それが「共感」になります。共感は単に患者さんのことを全て受け入れるということではありません。話を聞いてあげることも大切ですし、場合によっては優しく慰めてあげることも必要かもしれません。
患者さんが「この病院で心配はない、きっと大丈夫だ!」と思ってもらうようにすることが、高い接遇になります。
具体的には以下のことに気を付けてください。
- 1:相手のことをよく見て対応する
2:相手の話にきちんと耳を傾ける
3:心を込めて自分の気持ちを伝える
4:看護師として外部から常に見られているという意識を持つ
こうすることで、患者さんが共感しやすくなります。最終的には、お互いに心が通じ合い、信頼しあえる状態を作り出すのが理想的です。これを、ビジネスや教育の場面で言及される「ラポールの共有」といい、心理学的にも効果があると証明されている原理になります。
ポイント3!普段とのギャップをなくすこと
常に「接客モード」であることは確かに精神的にも疲れます。しかし、有名テーマパークのスタッフがそうであるように、素の自分の姿を見せてしまうと、お客様の満足度は大きく下がってしまいます。
非常に大変ではありますが、患者さんと接するときは、接遇しているという意識を忘れないようにしましょう。鏡を見て、自分の表情を確認しておくということも効果的です。病院はテーマパークではないので、常に笑顔でということは難しいかもしれませんし、緊迫した場面でニコニコしろということでもありません。
患者さんに違和感を与えないように、接遇する際の表情やしぐさを一定のレベルに保つ、ということが重要です。
また、接遇する際はどんな人に対しても同じように接しましょう。人によって態度を変えることは良くありません。人間ですので苦手な人、話しやすい人色々いるでしょうが、公平に接することで、全ての患者さんから信頼される存在になり、良い接遇となります。
ポイント4!顧客意識とサービスの向上
ここまでくると、病院ではなくサービス業のような話になりますが、現在は病院においても、顧客=患者さんが「心地よい」と思われるレベルのサービスを行うことが求められる傾向になります。
病院間で過当競争に陥っている地域も存在します。誰でも「近くにあるから」という理由で、そこの病院へ行くという時代ではなくなってきています。
「難病を治す名医がいる」という病院ならば別なのかもしれませんが、多くの患者さんは風邪などの軽い病気やけがなどで通院しますので、受ける治療はそれほど差がありません。そうすると、同じお金を支払うのであれば、よりサービスが良く心地良いところ、ということになります。
そうした競争の時代が病院にも来ていて、差をつけるのは接遇の質だということになります。なかなか、このラインに到達するのは大変ですが、接遇の評価が高い人は、病院内でも評価され、結果的にご自身の待遇へリターンがあるのだと思います。
接遇に対する看護師の不満、悩み
このように看護師に求められる接遇のポイントについて見てきましたが、看護師の立場からすると「そんなこと求められても・・・」と思うのも正直なところです。ただでさえ激務なのが看護師の仕事です。
看護師としてのスキルが最も大切なのは言うまでもありません。それを維持しながら高い接遇を行うのは、決して簡単なことではありませんよね。
その為、中には看護師に求められる接遇について不満を口にする方も少なくありません。以下では、看護師の側から見た接遇に対する不満や悩みを見ていきます。
激務の中で接遇を求められても・・・
配属される科にもよりますが、看護師は座る暇もないくらい多忙な日々を送っています。1分1秒を争う世界ですから、常に「おもてなし」の心を持つことは難しいものがあります。
そのため「看護師は看護に専念して、接遇に関することは他の人材にやってほしい」と考えている看護師もいるようです。
マニュアルされた接遇には反対・・・
「入職した際、接遇について研修を受けたけど、現場に入ると実際にそれを実行するのは難しいと感じました。そして、マニュアル化された対応よりもその時その場所にあった臨機応変な対応が求められるのではないか?と感じるようになりました。」
接遇の意識については賛成だけど、現場で働く者に押し付けるような意識の植え付けには反対だと考えている声も目立ちます。
問題のある患者さんには逆効果・・・
「「接遇」ばかりが注目されてしまい、これを良いことに我儘や自己主張をするクレーマー患者さんが増えてきているように思えます。病院等における接遇は、患者さんによっては逆効果となることもあり得るのではないでしょうか。」
クレーマー患者の出現は、看護師にとって是が非でも避けたい問題のひとつですよね。良かれと思って行う看護師の接遇が、このような形で現れたらショックも大きいはずです。
接遇意識のない看護師の存在
ジェネレーションギャップといいますか、若い人、ベテランどちらが接遇意識が少ないということは言い切れませんが、中には明らかに接遇ができない人がいます。
患者さんに対して敬語ではなく「ため口」である、看護師間でコミュニケーションが取れないなど、接し方について「どうなの?」という看護師が存在します。
孤高の存在でやっていけるケースは少なく、チームとして看護をしなければなりません。こうした人の存在で、連携がうまくいかないこともありますし、1人そういう人がいるとその病院全体の評価が下がってしまうということもあり得ます。
接遇を重視した看護師の働き方は、まだまだ発展途上であり、試行錯誤をしながらやっていくしかないのかもしれません。病院にもよりますが、そうした接遇に力を入れていて、なおかつしっかりとした研修制度があるところのほうが、トータルで看護師として評価も高くなるでしょう。
接遇についての考え方はまちまちですが、看護師として働くうえで身に着けておきたいスキルでもありますので、日々こうした心がけを持つことは大切です。
接遇について学びたいと考えている方は、研修等が整っている職場への転職を考えても良いかもしれませんね。
- 看護師にも「接遇」というサービス向上のための意識が必要である
- 段階を踏んで接遇スキルを高めていく必要がある
- 突き詰めると、患者さんと共感、信頼しあえる環境づくりが大切
- 看護師の業務自体が激務であり、そこまで意識されていないのが現実
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