看護師の退職理由として多いのは?



近年、日本でも離職・転職は当たり前のものとなり、全業種を通して離職経験者の割合は増えてきています。中でも看護師の離職率・転職率は群を抜いて高く、看護師人生の中で一度も転職をしたことがないという人は少ないと言われています。

では、看護師の退縮理由として多いものはどういったものなのでしょうか



看護師の転職・離職データ



公益社団法人日本看護協会が実施した「2012年病院における看護職員需給状況調査」によると、看護師の離職率は常勤で10.9%、新卒で7.5%にものぼるとされています。この転職率は、他業種と比較してもかなり高めの数値です。

これだけ高い離職率ではありますが、実は数字的には常勤・新卒共に4年連続減少しています。これは、労働条件の改善や教育・研修体制の整備に配慮した病院や医療施設が増えていることが関係しているとみられています。


一方で、夜勤勤務が多い病院ほど離職率が高い傾向にあり、一ヶ月当たりの夜勤時間が「72時間超」となる看護師の割合が5割を超える病院では、常勤職員の離職率が12.9%にものぼります。

入院基本料の算定要件において、看護師1人当たりの夜勤時間や月平均72時間以内と定められていますが、この基準を超えた夜勤を看護師に求める病院は少なくなく「月72時間超」の夜勤を行う看護師の割合が高い勤務先ほど、離職率が高い傾向がみられます。


また「24年度都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査」によると、看護師の主な退職理由は「妊娠・出産」「身体的な健康状態」「精神的な健康状態」「時間外労働」などが上位に入っています。

特に注目したいのが心身の健康問題を理由に退職している方の割合が高いことです。健康問題で離職した方の割合は全体の約3割にも上り、看護師の働く環境の過酷さがうかがえます。


看護師の転職理由ランキング(本音)

誰しも転職のために退職する際、円滑にことが進められるよう過度が立たないよう言動や行動に心を配ります。そのため、上司に退職の意思を伝える際、本音を口にする方はまずいないといって良いでしょう。

では、看護師の皆さんが心に秘めることの多い、本音の転職理由にはどういったものが多いのでしょうか?ここで、本音の転職理由をランキング形式でご紹介したいと思います。

1.給与アップを狙いたい



年代を問わず転職理由として挙げられることが多いのが「給与をアップさせたい」というものです。看護師の平均年収は他業種と比較して高水準にあるのは確かです。しかし、その給与が看護師の過酷な労働や業務内容に十分見合っているかというと、そうは感じないという方が多いというのが実情です。

事実、基本給の部分だけ見れば看護師の給与は他業種とそう変わらず、夜勤や残業などの手当てが厚いからこそ、平均年収が高くなっているという現実があります。


また、仕事に誠実に一生懸命取り組んでもなかなか昇給に結びつかない、認定看護師や専門看護師などの認定を受けても給与に反映しないなど、頑張りが報われないという点も関係していると言えるでしょう。

現在の職場で自分の頑張りが給与という形で反映しないのであれば、もっと良い境遇の職場へ移りたいと考えるのは当然のことです。この数年で看護師の労働環境は少しずつ変化を見せ始め、看護師の待遇強化に努める病院なども増えてきています。そういった病院に転職することができれば、自分の病院への貢献が給与アップという形で返ってくることも期待できます。

2.人間関係が良い職場へ移りたい



看護師の働く現場は言わば「閉じた空間」にあるため、人間関係の風通しが悪く、一度関係がこじれてしまうと状況が悪化する一方という傾向があります。

人間関係の問題は、個人でどうにかできる部分が非常に少なく、悩んでいるが解決のための手が打てず、心身共に追い詰められ、最期には身体と心を壊してしまうというケースが後を絶ちません。


そのため、人間関係に悩んだ場合は転職して人間関係を一度リセットするのが一番の方法と考える方も多く、人間関係の問題は、常に看護師の離職・転職理由の上位にランクインします。

人間関係は職場の外からはなかなか実態をうかがえるものではありませんが、転職活動にあたっては、転職支援サイトのキャリアコンサルタントやアドバイザーに依頼することで、人間関係についての情報を手に入れられる場合があります。この情報は転職にとても有利にはたらくものですので、是非活用してみましょう。

3.勤務時間や労働条件が合わない



拘束時間が長すぎる、残業や夜勤が多いなどは、看護師の転職理由の代表的なものだと言えるでしょう。勤務形態に不満を抱く方は非常に多く、退職理由としては代表的なもののひとつです。

この数年で看護師の働き方にも幅が出てきており、夜勤なしの日勤のみ、夜勤専従、平日のみの勤務など、ライフスタイルや身体の状態などに合わせた働き方が選択できるようになってきました。この良い傾向も、看護師の転職を活発化させている一つの要因なのかもしれません。

4.キャリアアップ・スキルアップしたい



キャリアアップやスキルアップを望む看護師は非常に多く存在しますが、研修や勉強会が活発な病院とそうでない病院の差が激しいという問題があります。そのため、看護師教育に力を入れている病院に勤めたい!という前向きな理由方転職を志す方も少なくありません。

先にご紹介した「2012年病院における看護職員需給状況調査」でも、教育研修体制の整備された病院の増加が看護師の離職率低下に関係していると明記されており、勉強会や研修などの教育体制の充実を望む看護師の割合が高いことがうかがえます。

また、認定看護師や専門看護師を志す場合、教育機関で勉強する期間については同僚や職場の協力と理解が必要となります。そういった部分に寛容な職場を求め、転職を希望する方も多いと考えられます。

5.通勤に便利な場所で働きたい



看護師は女性が大半を占めるため、ライフステージによって生活環境が大きく変わるという特徴があります。結婚をして転居したら通勤が大変になった、夫の転勤についていくことになったなど、家庭の事情などで現在の職場に通うことが困難になるケースは少なくありません。

そのため、少しでも通勤時間を短縮するために、自宅から近い病院へ転職したいと考える看護師は意外に多いのです。この理由は、女性の多い看護師ならではのものだと言えるでしょう。


実際に転職した看護師たちの転職理由



看護師の転職理由として代表的なものには「夜勤・残業がつらい」「人間関係の問題」「給与の不満」などがありますが、実態はどのようになっているのでしょうか?

ここでは、転職を実現した看護師の皆さんの生の声をいくつかご紹介していきましょう。

ケース1.希望病棟への移動が叶わなかった

小児科病棟勤務をずっと希望していたのですが、なかなか機会に恵まれず、上司に相談したところ移動が5年待ちと言われてしまい、迷いましたが退職しました。

元々、小児科病棟への勤務を希望して入職したのですが、5年もの間待たされるとは思っておらず、希望の仕事ができる現在の職場へ転職をはたしました。

ケース2.パワハラが日常茶飯事だった

給与や福利厚生は良く、直属の上司にも恵まれたのですが、院長が昔気質のワンマンで、あからさまな労働基準法違反をおかしていたり、パワハラなども堂々とやっていて、ここでは働き続けられないと感じて退職しました。

私自身がパワハラの標的になっていた訳ではありませんが、一緒に働く同僚やお世話になっている方々がパワハラを受けるのを見続けるのは、とても精神的に堪えました

ケース3.人間関係をリセットしたかった

新卒で総合病院勤務となりましたが、教育担当の上司主導の集団いじめにあい退職しました。1年間働きましたが、辞めるころには喘息や腰痛などが悪化してしまい、退職後半年ほど療養が必要となりました。大元の原因である人間関係がリセットされたことで、現在は健康を取り戻しました。

いかがですか?ご紹介したのはごく一例ですが、看護師であれば「分かる分かる!」と同調するものばかりではないでしょうか。この他にも、子育てに専念したい、上位資格を取りたい、もっと大きな病院で経験を積みたいなど、人それぞれの離職・退職理由が見られました。


職場には何て伝えた?看護師の退職理由(建前)



退職時に無理な引き留めにあったり嫌な思いをしないよう、自分の本当の気持ちはグッと心に秘め、建前の退職理由を上司に伝えるのは当然のことです。

建前の退職理由として使用されることが多いのは、次のようなものです。

  • 結婚、出産
  • 子育てに専念したい
  • 親の介護
  • 転居、単身赴任に随行する
  • スキルアップのため
  • 体調不調、病気

これらの理由が選ばれるのは、やはり誰にも不快感を与えないため角が立たず、引き留めにあいづらいことによります。医療の現場は常に人不足のため、曖昧な退職理由を告げてしまうと「対処するから残って欲しい」などと言われ、なかなか退職願いを受け取ってもらえないなんてことも少なくありません。

その点、先に挙げた退職理由は誰でも納得ができ、引き留めづらい内容となっているため、建前としてはとても優秀なものばかりだと言えるでしょう。


とはいえ、これらの理由を告げてもなかなか退職させてもらえない、過度の引き留めにあうといったケースもあります。そんな時は、転職のプロである看護師の転職支援サイトのコンサルタントやアドバイザーを利用してみて下さい。

転職支援サイトには、円滑な退職を実現するためのノウハウもしっかりと蓄積されているため、相談することで問題解決の糸口が見るかることも少なくありません。転職支援サイトの利用は無料ですので、悩んだら相談窓口のような気軽さで利用してみると良いでしょう。

この記事のまとめ

  • 看護師の離職率は低下傾向にあるが、今なお常勤で10.9%、新卒で7.5%と高い水準にある
  • 転職理由には「本音」と「建前」があり、引き留めなどにあわないために上司には「建前」を告げる看護師が大多数
  • なかなか退職ができない場合は、転職支援サイトに相談するという方法もある



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