看護師の地域医療における役割とは?



看護師の職場は高度医療を取り扱う総合病院や大学病院ばかりではありません。医療施設の多くは地域密着型の診療所やクリニックであり、多くの方が「かかりつけ医」として利用しています。

診療所・クリニックのほかに地域に根づく医療関連施設として、老人介護施設や訪問看護ステーションなどがあります。そこで、「地域医療」とはどのようなものなのか、また地域医療において看護師はどのような役割をもつのかを確認しておきましょう。


地域医療とは



医師や看護師、薬剤師ほかの医療従事者が主体となり、地域住民の病気や怪我の治療はもとより、疾病予防、健康維持・増進のために活動することを「地域医療」と呼んでいます。

地域住民の健康を地域全体で支えていこうとするものであり、在宅医療、地域の高齢者・障がい者への支援活動、妊産婦への保健指導・相談、子育て支援なども含まれています。

医療現場の課題と地域医療

医師不足は長く続く社会問題ですが、医療従事者が都市部に集中することによる地方・地域における医師や看護師の不足も大きな問題です。医療への協力体制が自治体によって異なっていることや、医療機関の経営難、一部の病院への患者さんの集中もまた、課題となっています。

こういった課題を解決するために国は、病床や病棟の再編、職員配置数の変更などを目的に診療報酬の改定を行い、全体として、入院期間を長引かせずに在宅医療へとシフトさせるような方針をとっています。訪問介護や各種福祉施設など、地域医療のより一層の拡充が必要とされているのです。

地域医療で求められる看護師

看護師の働き先といえば半数以上が「病院」ですが、老人保健施設や訪問看護ステーションなど、地域医療に欠かせない施設で働く看護師数は増加傾向にあります。例えば訪問看護ステーションで働く看護師の数は平成8年の7,921人から平成24年には29,897人へと増加しています。

在宅医療では、介護士では難しい処置も、看護師ならその場で医師に指示を仰いで処置を開始することが可能です。これは、患者さんの健康状態だけでなくQOLの向上にも役立てられます。

では、地域医療において看護師がどのような役割を果たすのか、各フィールドごとに見ていきましょう。


看護師の地域医療における役割


病院

地域にも先端医療を必要とする患者さんが存在し、地域支援病院や特定機能病院などで希望する治療を受けることが可能です。なかでも特定機能病院は、専門看護師や認定看護師の活躍の場となっています。

これらの病院での看護師は、診療・検査介助をはじめ、他の看護師や院内スタッフとしっかり連携し、患者さんが理解しやすいような生活指導、疾病予防を行っていきます。

病棟では、シフト制の勤務でで24時間看護を継続し、患者さんの検査や処置、生活のサポートをするとともに、患者さんやその家族を心理面でも支えたり、理学療法士らとともに退院に向けたリハビリに関わっていきます。

診療所・クリニック

地域の方が一次診療としてまず受診するのが、診療所やクリニックです。診療所やクリニックには基本的に病床がなく、あったとしても19床以下で基本は外来です。「地域住民の身近なお医者さん」「かかりつけ医」として、地域医療に貢献しています。

夜間診療、訪問診療を行うところもあり、特に近隣に病院がない離島や過疎地では、診療科に関係なく地域住民の受診を受け入れるので、看護師にも広い知識や柔軟な対応が必要とされます。


診療所・クリニックの看護師は、患者応対、診療介助、採血、血圧測定、点滴などの基本的な看護業務を、少数のスタッフでこなしていきます。どんな症状・状態の患者さんが来院するか分からず、緊急時にも迅速・的確に対応できるよう準備します。

忙しい中でも患者さんをよく観察してコミュニケーションをとり、必要に応じて診察順序の変更などを判断するのも看護師の仕事です。患者さんに合わせた会話でリラックスしてもらい、健康面でのアドバイスを行っていきます。


高齢者向け施設



有料老人ホーム、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイサービスなどの老人介護施設は、超高齢化社会の日本では欠かせないサービスとなっています。看護師は、知識やスキルを活かして利用者のバイタルチェックや生活支援を中心に、緊急時の処置に対応します。

利用者それぞれの慢性疾患や既往歴、体質を把握し、健康管理計画を立てるのが理想です。その家族を含めて、利用者一人ひとりにじっくりと関われる点が魅力です。


訪問看護ステーション

先述のように在宅医療へのシフトが図られる現在、訪問看護ステーションのサービス拡充は欠かせない要素です。訪問看護での看護師は、担当医や介護ヘルパーらと連携しながら、定期的に利用者を訪問し必要な看護や生活介助をします。

血圧や体温など体調の観察から、清拭、褥瘡予防が欠かせません。使用する医療機器の管理や入浴・排泄の介助、リハビリ指導を行うこともあります。自宅や施設といったパーソナルスペースでの看護では、利用者の希望をしっかりと聞き、それに寄り添うことが大切です。

利用者の家族が看護疲れを起こしていることがあり、話し相手・相談相手となってケアするのは看護師の役割です。緊急時やトラブルの際には、看護師自身の判断で的確な対応をすることが求められ、看護師の力量を問われる仕事でもあります。


その他の地域医療の場

地元の保健所や学校の保健室、地元企業・工場の医務室などで、生徒や教師、社員らの怪我や発病の処置をしたり、健康維持のための活動や健康相談に応じることもまた、地域医療の一環となっています。

厚生労働省によって全ての私立認可保育園への看護師配置が進められ、ここでの看護師求人も見られます。

病院では「治療」が中心ですが、地域医療で中心となるのは住民の「生活」のサポートです。また、病院では医師、看護師他の医療スタッフがそれぞれの専門性を発揮しますが、地域医療で大切なのは患者さんをとりまく方々とのチーム連携であり、看護師は医療技術を活かしながら、チームのキーパーソンとして機能することが期待されています。

<看護師の地域医療における役割とは?・まとめ>

  • 地域住民の健康を地域全体で支えていくのが地域医療
  • 地域医療の拡充が医師不足や医療の集中の改善に役立つ
  • 地域住民の健康、QOLを支えられる看護師が求められている
  • 診療所では広い知識と柔軟な対応で患者さんを受け入れる
  • 利用者とじっくりと関わり、生活や意志を尊重した看護が大事
  • 医療チームのキーパーソンとしての機能を看護師が担う

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