看護師免許があることで、一般的な病院以外にも、地域のクリニックや高齢者向けの各種施設・サービス、企業医務室やイベントナースなど様々な場所で活躍することができますが、その活躍の場のひとつに「自衛隊」があることを知っていますか?
国防を担う自衛隊は常に厳しい訓練を行っているだけでなく、災害発生時にはいち早く駆けつけ人命救助を行います。看護師は衛生部門に所属し、自衛隊員の健康維持に努めます。
ここでは自衛隊看護師はどのような職業なのか、業務に就くメリット・デメリットや、自衛隊看護師になるにはどうしたらよいのかについて紹介します。
自衛隊看護師とは?
自衛隊看護師
陸上自衛隊の前身組織である保安隊に、昭和27年に初めて女性隊員が入隊したわけですが、これは看護に携わる婦人自衛官としての入隊でした。自衛隊看護師は、女性自衛官のパイオニア的存在だったと言えます。
自衛隊看護師は防衛相の職員として、自衛隊の活動を医療面・健康面で支えています。勤務地は、各部隊の衛生隊や陸上自衛隊衛生学校のほか、災害派遣やPKO活動時の救援活動拠点となります。
さらに自衛隊中央病院、全国各地の自衛隊地区病院も、自衛隊看護師の勤務先のひとつです。自衛隊員や防衛省職員とその家族への診療を中心に、周辺地域の一般患者さんの診察も行っています。
自衛隊看護師の仕事
病院での自衛隊看護師の仕事内容は、診療対象が多少異なるだけで、一般病院勤務の看護師とほぼ同じです。診療補助や入院患者さんの生活介助、処置などを中心に、病棟での夜勤もあります。
自衛隊員達の健康管理や衛生環境の整備等も自衛隊看護師の仕事です。 被災地における救援活動では、上記の仕事に加えて、避難所生活を送る人たちの診療や健康管理も行います。医療施設の無い場所では、最新の医療機器を搭載した手術車両で救護に当たることもあり、その際にはオペ看護師としてサポートします。
自衛隊看護師は、看護師であると同時に自衛官です。看護師免許を持っていれば責務を果たせるわけではなく、自衛官として国防のため、被災地や紛争地などの過酷な環境で任務を果たすときのため、定期的に専門訓練を受ける必要があります。
看護業務の合間に、各教育機関に入校して自衛隊に関する知識や技能を習得し、様々な訓練を受けます。具体的には、30kgの荷物を背負って山道を数十キロ歩行する訓練、泥沼でのほふく前進、射撃訓練やテントでの野営生活、護身術の習得やパラシュートでの降下訓練が課せられることもあります。
生半可な気持ちで受けられる訓練ではなく、「看護師として困っている人たちの役に立ちたい」という強い意志がないと難しい仕事といえるでしょう。看護スキルだけでなく、自衛隊としての心身の鍛錬が欠かせません。
自衛隊看護師の給料
自衛隊看護師になると特別職国家公務員という社会身分になり、階級が決められ、規定に沿って階級に該当する給料=俸給が支給されるようになります。
収入の目安は月給20~35万円程度、年収300~350万円と言われますが、階級が上がったり勤務年数が伸びるごとに収入は増えていき、年収500万円以上という看護師も珍しくありません。
自衛隊看護師になるメリット・デメリット
メリット
国防に携わるやりがい
自衛隊看護師を目指す理由に「人の役に立ちたい」「海外支援に携わりたい」という思いを挙げる方は多いでしょう。国内外で災害や紛争で困ったり怪我をしている方を看護すること、最前線で国防や救助活動をする自衛隊員を看護すること、病院の業務でサポートすることで、通常の看護にプラスしたやりがいや使命感を感じることができます。
安定した職業
公務員という身分によって、安定した職業、身分を得ることができます。先に挙げた年収の安定のほか、同じ職場の自衛官と結婚することで生活の安定を得る女性もたくさんいます。
人間関係の悩みが軽減
女性が多い看護師の職場では、気を遣って人間関係に悩んだりトラブルに遭う方は多いですが、男性職員が多く職位や仕事がはっきりしている自衛隊看護師では、人間関係で悩む機会が減るようです。
デメリット
自衛隊病院では救急患者を受け付けていないことが多く、高度医療を扱う機会も少なくなります。そのため、難しい症例を学んだり最先端の医療に触れることが少なく、看護師としてのスキルアップを重視する方には物足りなく感じられるかもしれません。
自衛隊看護師になるには?
自衛隊看護師の養成学校に入学
教育機関として自衛隊中央病院高等看護学校があり、これまで58年間自衛隊看護師を送り出してきましたが、こちらは平成28年3月に閉校しています。現在入学が可能なのは、防衛医科大学校看護師養成課程です。
高校卒業(見込を含む)~21歳未満で応募でき、筆記・口述試験、身体検査を受けて合格すれば、自衛官候補看護学生として4年間、看護師免許取得のための教育を受けます。
免許を取った後は陸・海・空軍の幹部候補生学校へと入校し、今度は幹部自衛官に必要な知識と技能を身につけます。その後自衛隊看護師となって、全国の病院や衛生科部隊等で働くことになります。
自衛隊看護師の募集に応募
陸上、海上、航空自衛隊において自衛隊看護師を募集していることがあり、これに応募し採用されれば自衛隊看護師として働くことができます。日本国籍を持ち36歳未満で、看護師・保健師・助産師の免許を持っていることが応募条件です。小論文や口述試験のほか、健康面や体力面を審査されます。
自衛隊関連病院での求人に応募
防衛省が運営する病院には、世田谷区の自衛隊中央病院、埼玉県の防衛科大学校病院のほかに、北は北海道から南は沖縄まで、16の自衛隊地区病院があります。
それぞれ陸上・海上・航空自衛隊の各幕僚長が指揮監督者となって運営されていて、看護師の欠員があれば新規看護師の募集を行っています。
各地区病院や防衛省の窓口に問合せをしてみても良いですが、看護師専門の転職サイトを利用するのもおすすめです。自衛隊看護師の求人の有無を確認する以外にも、自衛隊看護師に関する情報を集めたり、分からないことを専任コンサルタントに相談することができます。
- 防衛省職員として自衛隊員やその家族の健康を支える
- 病院での勤務は一般病院と同じで夜勤もある
- 勤務の合間に自衛官としての教育や訓練を受ける
- 給料は階級で上がり、年収500万円以上も目指せる
- やりがいが大きく職業が安定するがスキルアップは難しい
- 養成学校へ入学するほか、各隊、病院からの看護師求人がある
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