看護師の求人先は病院やクリニックばかりではありません。最近では保護者のいない児童を養育する児童養護施設の仕事も注目されています。
児童養護施設とはどんな所なのか、看護師の仕事内容や給料・勤務条件はどうなのか、どんな看護師が求められているか等を詳しく紹介します。
目次
児童養護施設とは
児童養護施設は保護者のいない児童や虐待されている児童などを受け入れて養育する施設です。児童の健やかな出生や育成、生活を保障する「児童福祉法」という法律に基づいて設立される施設のひとつです。
施設で養育される児童
児童養護施設で養育されているのは次のような児童です。
- 原則として1歳以上~18歳未満までの児童
- 父母が病気や死亡で児童の養育がむずかしい
- 父母からの児童に対して虐待や酷使がある
- 父母が児童の育児や養育を放棄している
- 児童の家庭環境が不良である (父母が行方不明、離婚、不和、再婚、拘禁、心身障害など)
1歳未満の乳幼児は乳児院で養育されるため、原則として児童養護施設では養育されていません。ただし、特に必要性があると判断された場合は乳児を養育する場合もあります。児童が18歳を超えると施設での養育はされなくなりますが、事情によっては20歳までの延長が可能です。
児童養護施設の規模と数
児童養護施設の数は全国で約595か所、定員3万4000人に対して現員は2万9000人程度というのが現状です。施設は規模別に大舎・中舎・小舎の3種類があり、大舎制では1舎に付き児童20人以上、中舎は13~19人、小舎は12人までという構成となっています。
2008年(平成20)以前は大舎制が7割を占めていましたが、現在では家庭的な養護を目的とした小規模化が進められています。
規模ごとの施設数は大舎制を行なっているところが280カ所(約51%)、中舎147カ所(約27%)、小舎226カ所(約41%)、ユニットケア312カ所(約57%)となっています。この数字が全体数より多いのは、1施設で複数の形態を持つケースがあるためです。
(出所:厚生労働省、平成24年)
児童養護施設で働く看護師の仕事や給料・勤務条件
仕事内容は?
児童養護施設の看護師の主な仕事は、児童の急病やケガの応急処置、健康管理、感染症の予防などが挙げられます。加えて施設職員への保健知識普及なども看護師の仕事のひとつです。児童に対してだけでなく、職員に対するケアや施設全体の保健管理も看護師の仕事と考えていいでしょう。
次に児童養護施設の看護師の主な仕事をまとめています。
児童・職員に対して
(1) 急病・ケガの応急的な処置
(2) 感染症や疾病の予防、対応
(3) 健康管理、健康相談への対応
(4) 保健知識の普及や伝達
(5) 健康状態の把握 など
児童に対して
(1) 一時的な受診判断と付添い
(2) 予防接種の管理
(3) 慢性疾患のある児童のケア
(4) 発育・発達の把握と記録
(5) 定期的な服薬管理と医療ケア
(6) 病欠児童や早退児童への対応
(7) 病院、児童相談所、幼稚園、学校、家庭等との連携 など
ほかにも虐待されていた児童のメンタルケアや、一定の年齢の児童に対する性教育なども看護師の仕事に含まれる場合があります。このように聞くと少し重荷に感じる人もいるかもしれません。しかし、すべてを看護師ひとりの責任で行なうわけではいので大きな不安を感じる必要はないでしょう。
給料や年収、勤務条件は?
児童養護施設の看護師の給料は、基本給が18~22万円程度が標準的な金額です。この金額に加えて住宅手当などの諸手当プラス交通費が支給されます。諸手当を含めた月収は23~28万円程度となるため平均的な年収は350~440万円程度です。看護師に支給される諸手当としては、住宅手当(持家手当)、当直手当、特殊勤務手当、保育手当などが挙げられます。
ちなみに看護師全体の平均月収は約32万円、平均年収は約470万円という統計が出ていますが、これは勤続年数の長い看護師を含めた数字です。一般的な病院の日勤専従の看護師の給料は約18~23万円、夜勤あり看護師の給料は約28~32万円程度となっています。児童養護施設の看護師の月収・年収は一般看護師と同様に、都市部では高め、地方では低めの金額というのが現状です。
児童養護施設の勤務条件で主流なのが、夜間当直ありのシフト制というスタイルです。当直というのは病院でいうところの夜勤で、交代制のシフトが組まれています。例えば基本が8~17時までの勤務、早出が7~15時まで、遅出が11~19時まで、当直が17~9時までの勤務などです。
施設によっては看護師の当直はなく職員が夜勤をしている場合もあります。当直なし・残業なしという求人もありますので、日勤のみを希望する場合は転職サイトの担当者に相談すれば自分の条件に合った求人先を見つけることができるはずです。
児童養護施設で求められる看護師とは?
基本的には児童養護施設の仕事も、病院やクリニックの仕事も、対象となる人の健康的な生活をサポートするという意味では大きな違いはありません。ただし、児童養護施設では病気の患者を主な対象としているわけではなく、施設内の児童や職員の健康をサポートするという点に違いがあります。
次に児童養護施設で求められる看護師について詳しく見ていきます。
健康や保健の知識がある
施設内では成人の職員と、18歳以下の児童が多数生活しています。そのため、看護師は一人ひとりの心身の健康つくりをケアすると同時に、施設全体の健康維持のための保健知識や疾病・感染症の予防などの知識が求められてきます。健康や保険の知識を職員や児童に普及し、施設内全体の健康をキープしていく指導力や管理力も必要です。
児童の健康に関する知識がある
児童養護施設の求人のなかには「小児科経験があれば尚可」という項目がよく見られます。小児科経験は必須ではないものの、児童の発達段階に応じた看護知識があればより良いという意味です。乳幼児から10代の少年少女までが入所している施設のため、児童の健康や疾患に関する知識があると仕事に役立つでしょう。
児童のメンタルケアができる
昨今の世相を反映して、施設にはメンタルの問題を抱える児童が増えています。親からの虐待などでトラウマを持つ児童の割合が高い施設もあります。精神的な問題以外にも障害のある児童がいる施設もあり、看護師の立場からのメンタルケアは重要な仕事のひとつといえます。看護師は職員とともに児童の自立を支援する役割が求められます。
児童養護施設の看護師の仕事は、病院やクリニックとは少し異なるむずかしさがあるかもしれません。しかし、対象者の心身の健康をサポートするという意味では根本的に同じと言い換えることもできます。
児童を相手にする施設の仕事で、「日々成長していく子供を支援できるという喜びを感じる」「自分自身も学ぶことが多い」という先輩看護師もたくさんいます。やりがいの大きい仕事であると同時に、児童養護施設で学んだことを将来に活かせるという意味でも看護師として魅力を感じられる仕事といえるのではないでしょうか。
児童養護施設の看護師の求人は多数ありますが、地域や施設によって勤務条件や給与などに違いがあります。自分の条件にマッチした求人先を見つけたい場合は、求人数が豊富で経験あるリクルーターのいる転職サイトを活用することをオススメします。
- 保護者のいない児童を養育するのが児童養護施設
- 養育する児童は1歳以上から18歳未満まで
- 看護師の主な仕事は急病やケガの応急処置
- 施設内職員や児童の健康管理や指導も行なう
- シフト制の職場、日勤のみの職場もある
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