看護師の道を志す人、そしてすでに看護師として働く人の多くがぶつかる悩みや不安に「自分は本当に看護師に向いているのだろうか」というものがあります。
看護師という人の命を預かる責任の重い仕事をする上で、自分に適正があるのか、必要とされる能力や資質が備わっているのかどうかという点は、非常に気になるだけでなく、働き続ける上で心乱す要因ともなります。
看護師に向いていないかも……という悩みを持つ方は多い
看護師として働いている中で「自分は看護師に向いていないのではないか?」という悩みを抱く方は少なくありません。
仕事が思ったほど上手くいかない、先輩や患者さんから面と向かって「あなたは看護師に向いていない」と言われたなど、看護師として生きていくことに疑問や不安を感じる出来事は多々あると思います。
ここで「看護師に向いていないかも」と悩む看護師の声をいくつかご紹介したいと思います。
悩みその1 小さなミスを連発してしまう
私は現在40歳、今年の春に准看護師の資格を取得し救急病院に入職しました。一念発起して看護師となりましたが、私はとてもおっちょこちょいで、大きな医療ミスはまだ起こしていませんが、毎日小さなミスを重ねてしまい自己嫌悪に陥っています。
あまりに小さな間違いが多く、確認不足から周囲の人たちに迷惑をかけてしまうことも多々あります。そういった原因や反省点が自分でも理解できているのに、それをなかなか改善できない自分が恥ずかしいです。
こんな私なのに、先輩や同僚、上司の皆さんはとても優しくご指導して下さり、そのことも「申し訳なくもったいない」と感じてしまい萎縮してしまいます。今はただ、理由が分かりながらもおかしてしまうミスや間違いがとても怖いです。
悩みその2 職場の雰囲気になじめない
私は高校卒業後にクリニックで働きながら准看護師の資格を取り、そのままそのクリニックで5年間勤務しました。その後、進学して今年正看護師となり、今の整形外科病院へ転職しましたが、想像以上に女性主体の職場環境が独特で、いまだに職場に馴染めず、業務内容も覚えられずでかなりまいっています。
看護師として働いていく以上、周囲とコミュニケーションを取りながら業務を円滑に進めていくことが重要とは分かっているのですが、どうしても今の職場の同僚や上司に心をひらく気になれないのです。
以前のクリニックがスタッフ数も少なくアットホームな雰囲気だっただけに、今のギスギスしたような独特の雰囲気や人間関係に違和感を持ってしまいます。職場のカラーや雰囲気に馴染めない私は、協調性のない看護師として適さない人間なのでしょうか?
悩みその3 自己嫌悪に陥ってしまう
4月に入職した新卒の看護師です。私はとても要領が悪く、先輩に丁寧に指導してもらっているにもかかわらず、なかなか仕事が覚えられず周囲に迷惑をかけてしまいます。
そして、その迷惑をかけている自分を省みて自己嫌悪に陥ってしまい、萎縮したり緊張したりして、余計にミスを連発したり、周囲と上手くコミュニケーションがとれなくなったりしてしまいます。
こういった性格・性質をしている私は、看護師に向いていないのではないかと、最近毎日悩んでいます。
では、看護師に必要な能力や資質にはどういったものがあるのでしょうか?
看護師に求められる能力や資質とは?
看護師は人の命を預かる重要な仕事なだけに、責任が非常に重く、プレッシャーの強い職種でもあります。しっかりと諦めずに努力を続ければ、誰でも看護師になることができると言われますが、やはり求められる資質はあります。
以下に看護師に必要と考えられる資質をまとめましたので、是非一度チェックしてみて下さい。
1.過酷な医療現場で働き続けられる体力気力を持つ
看護師は非常に仕事量が多い上、夜勤や残業が多い分拘束時間が長く、とにかく体力気力を消耗します。
真夜中に出勤して朝まで休みなく働き続けなければならないケースも珍しくありません。さらに業務を行っている時間にも周囲に常に気を配り、患者さんの急変などにも迅速に対応する必要があるため気を緩める暇もありません。
そういった過酷な労働環境で、人の命を守る責任が非常に重い仕事をミスなく続けなければならないとなると、ハードワークに耐えうる体力・気力が不可欠となります。
2.医療チームで仕事に取り組む協調性を持つ
看護師は、医師や薬剤師、理学療法士や放射線技師などと医療チームを組んで仕事にあたることが多い職種です。そのため、同僚や直属の上司といった看護師同士だけでなく、他業種の人たちともしっかりと意思疎通を図り、業務を円滑に進める配慮ができる人材が求められます。
また、看護師としての実務経験を積むことで昇進し、看護師長や主任といったポストに就く可能性があります。管理職ともなると、自分自身の管理だけでなく、部下への指導や教育などが必要となり、マネジメント能力も発揮しなければなりません。
そのため、周囲の人から協力を得るために、色々な人たちと無理なく付き合うことができる協調性を持つことが重要となります。
3.理解力と行動力を兼ね備える
看護師は当然自分の意思で行動することもありますが、基本的に医師の指示の下で業務にあたります。そのため、医師の出した指示を的確に把握し、その判断にそった行動を迅速にとれる人材が求められます。
また、看護師が一日にこなさなければならない業務は非常に多く、仕事をする上でスピード感は非常に大切だとされています。このスピードを実現するためには、医師の指示をすぐに理解するのと同時に、基本に縛られず効率を考えた応用性を持つことも重要となります。
4.最新医療を学ぶ意欲が強い
医療技術は日進月歩という言葉では足りないほど、日々凄い早さで進歩を続けています。そのため、その速度に合わせて自分の知識量やスキルも向上させる必要があります。そのために、学習意欲が強い勤勉なタイプの方には、看護師の資質があると言えるでしょう。
看護学校や養成所で学んだ知識は、今のこのご時世、数年で古いものとなってしまいます。そのため常に向上心をもって自発的に勉強を続けられる方でなければ、医療現場の最前線で働くことは難しいというのが実情です。
看護師に向いている人の特徴とは?
看護師はミスが許されない仕事であるため、冷静かつ的確に業務を進める冷静さと緻密さが求められます。その一方、患者さんをはじめとした人との触れ合いといった部分も非常に重要なため、人間性や内面の豊かさも必要不可欠です。
ここでは、看護師の向いている人を性格や気質の面から見ていきましょう。
1.向いている人の性格「慈しみの心が強く他人に共感できる」
看護師は患者さんに対して冷静に対応することも重要ですが、その人の抱く大きな不安を十分に理解し分かち合う心の豊かさも同時に必要です。
誰かの役に立ちたい。困っている人を助けたい。悩みや不安を抱く人の負担を少しでも軽くするお手伝いがしたい。こういった思いや考えを、誰から教わるでもなく持った人は、看護師に大変向いていると言えるでしょう。
2.向いている人の気質「主体性と協調性を併せ持つ」
看護師には、緊急時などに自分の意思と判断で的確な行動ができる主体性と、チーム単位で業務を滞りなくこなしていく協調性が必要です。
どんな状況に直面しても自らの判断を信じて行動できるという気質は、看護師として仕事を続けていく上で大きな武器となります。また、看護師同士はもちろんのこと、医師や医療スタッフと協調し、円滑に業務を遂行できるという協調性のある人材は、医療現場では大変高い評価を受けます。
主体性と協調性を併せもつ看護師というのは想像以上に少なく、この二つを兼ね備えた方は看護師として活躍すると考えられます。
3.向いている人の傾向「前向きで勤勉」
看護師の仕事は非常にハードなため、ちょっとしたきっかけでどんどん気持ちが落ち込んでしまい、ついには仕事が続けられなくなるというケースもみられます。
そのため、過酷な労働環境にあっても常に前向きで希望をもち、小さなことでクヨクヨ思い悩まないタイプの方は看護師に適していると考えられます。
また、看護師の仕事は看護のスキルや知識さえ持っていれば良いというものではなく、日進月歩の進化を続ける医療や看護分野に遅れを取らないよう、常に自分をアップデートすることが重要となります。
忙しい毎日の中でも勉強をする努力を惜しまず、自分自身を高める勉強を続けられる勤勉な方は、看護師として活躍できる適正を持っていると言えるでしょう。
看護師に必要な能力・資質・適性、まとめ
「自分は今の仕事に向いていないのではないか……」と思い悩みながら働き続けると、心身にじわじわとダメージが蓄積していってしまいます。不安や悩みが解消できない状態で働き続けると、ある日突然倒れてしまったり、身体と心に深刻なダメージを受けて看護師として働き続けられなくなったりする危険性があります。
そういったことにならないためにも、悩みや不安が強まり、身体や心に少しでも違和感を感じるようになった時点で、何かしらの対策を行うことを強くおすすめします。
対策の代表的なものとして挙げられるのは、やはり転職です。看護師に適正がないと悩んでいた方の多くが、他業種へ転職したことで活気と明るさを取り戻し、活き活きとした毎日をおくっているという例は枚挙にいとまありません。
また。最近は医療現場に限らず看護師の資格を活かして働くことができる職場がとても増えているので、医療現場以外で新しい仕事を試してみることで、悩みや不安の解決の糸口が掴めるかもしれません。
看護師として働くことに不安や悩みを持っているが、資格を活かした仕事がしたいという場合は、是非専門の転職支援サイトを活用してみて下さい。医療現場に限らず、看護師資格を持つ方が活躍できる職場をきっと紹介してもらえるはずですよ。
- 看護師の資格は努力によって誰でも取得することができるが、必要となる資質や性格、傾向といったものが存在する
- 自分は看護師に向いていないのではないか、と思い悩みながら働き続けるのは、想像以上に辛いことである
- 自分に合った道を見つけるために転職するのもアリ
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