看護師求人を見てみると、正規雇用である正社員と、非正規雇用である派遣やパート、アルバイトのほかに「契約社員」という募集が見られます。
契約社員とはどのような雇用形態なのか、正社員や派遣看護師との違いやメリット、デメリットを確認するとともに、契約社員への転職時にはどのような点に注意が必要なのかを確認します。
目次
契約社員とは?
契約社員とは ~正社員との比較から~
契約社員とは、病院やクリニック、その他施設などの雇用主と、被雇用者である看護師とが直接契約を結ぶ雇用形態です。
正社員との大きな違いは、「詳細な契約書の存在」と「雇用期間の限定」です。正社員も雇用契約を結んではいますが特に契約書が存在するわけではなく、勤務条件は事前に聞かされていたり、就業規則に沿って決められます。
一方で契約社員は、採用時に詳細な契約書が作成され、雇用主と看護師との同意に基づいて契約が行われます。契約書には勤務条件などの詳細が記載され、これに沿って就業することになります。
正社員は、いったん雇用されればよほどの事情や倒産などがない限り解雇されるということはなく、雇用が安定します。これに対し契約社員の契約書では、雇用期間が定められます。契約はあくまでその期日までであり、もちろん更新される場合もありますが、更新されるという保証はありません。
契約社員として働いてみて「いい職場だから長く働きたい」と希望しても、企業側の都合によって希望がかなわない可能性があり、その場合も文句が言えないということです。なかには契約社員から正社員への雇用変更を希望し、これが受け入れられるケースもあります。
契約社員のメリット・デメリット
契約社員になるメリットは、企業側のコストが少なくて済むために採用されやすいこと、契約によって勤務条件が明確にされていること、実力次第では好条件も望めることです。
契約書の存在によって、夜勤や残業の内容などを事前にしっかり確認しておけ、働き始めてから「聞いていたのと違う」というリスクがありません。契約内容と勤務環境が違えば改善を求めることができます。
また職場によっては、勤務中に実績を残すことで契約更新時に昇給があったり、より責任のある仕事を任せられるといったケースもあります。
契約社員のデメリットとしては、将来の雇用の保証がないこと、待遇が正社員よりも低めであることが挙げられます。
契約満了を迎えて更新がなければ翌日からは無職になってしまいますし、給料は時給制がほとんどでボーナスや退職金は望めません。福利厚生面は企業によりますが、正社員ほど充実しないことは確かです。
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契約社員看護師への転職、注意点は?
希望する求人先が契約社員の募集しか出していなかったり、事情で夜勤に入れなくなったためにやむを得ず正社員から契約社員になる、という看護師もいます。そんな転職時に注意しておきたい点を挙げてみます。
契約は看護師自身が行う
派遣社員との違いでもありますが、契約社員の契約は、全て看護師本人が行うという決まりがあります。契約に立ち会うというだけでなく、その交渉も含めてすべてということです。
派遣看護師では、賃金や労働時間、勤務条件の交渉は派遣会社が代行しますが、契約社員の場合、契約内容の確認、交渉から契約そのものまで、全て看護師本人が行います。
求人募集を見てみると、契約社員の募集は正社員募集とともに記載されていることが多く、給与条件や勤務時間、夜勤回数や福利厚生など、契約社員の場合と分けて書かれているわけではありません。
「契約書をきちんと読めば大丈夫」と思うかもしれませんが、ほとんどの看護師は法律や契約行為についての知識は持ち合わせていません。いざ専門的な用語で書面にされると正確には理解出来ない点があったり、見落としがあったりするものです。
契約社員の勤務条件は、厳密に契約書の内容に左右されます。極端なたとえ話をすれば、契約書で「残業代、夜勤手当なし」という内容のまま契約してしまえば、労働基準法に反しているものの契約内容通りの待遇をされ、大きなトラブルに発展してしまいます。
契約社員として雇用契約を結ぶにはどうすればよいのか、看護師専門の転職サイトを頼ってみましょう。転職のプロであるエージェントから、契約時の注意点など具体的にアドバイスをもらうことで、トラブルのリスクを避けることができます。
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待遇の違いから悩みも
正社員として働いていた看護師が家庭の事情で契約社員となった際、以前の上司から聞いていた時給よりも300円安い契約内容になってしまって悩んでいる、という相談が見られます。
国家資格である看護師は給与水準が高い職業であり、パートや派遣の給与もほかの業種より高めですが、この看護師がもともと聞いていた時給が1,800円、契約時に提示された時給が1,500円です。この300円の時給の違いは、月収で5万円弱、年収では約60万円の収入低下を招きます。
経験ある看護師としての業務内容を期待されるにもかかわらず、新卒パート看護師と同じ時給しかもらえないこと、待遇改善を伝えてみても、慣れた職場のスタッフに「決まりだから」と言われればどうしようもないなど、悩み・ストレスにつながってしまっています。
何を優先したいのかを考える
正社員として、たくさんのスタッフとともに転勤ありの条件で働き、雇用の安定やキャリアアップを目指すのか、契約社員として勤務時間などの希望を優先しながら働き、契約更新の不安はありながらも看護師の仕事を続けていくのか・・・いずれにしてもメリット、デメリットが存在します。
バリバリ働きたいという方は正社員の方が向いているでしょうし、家庭を優先したいなど事情がある方には契約社員という選択肢を検討する価値があるでしょう。
転職に対する希望条件とその優先順位を明確にすることで、どちらの働き方がいいのかを考える材料になります。現在の事情だけでなく将来のプランまで見据えて、よく考えてみてくださいね。
- 詳細な契約書に基づいて働き、雇用期間が決まっている
- 採用のハードルが低めで勤務条件が明確になるメリット
- 雇用の将来的保証がなく、正社員より待遇が低くなるデメリット
- 契約は内容確認から交渉まで全て看護師本人が行う
- 低い待遇に悩むケースもあり、優先順位を明確にすることが大切
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