災害看護とは?



地震や台風、大雨など様々な自然災害にはなす術がなく、直接的な被害や二次被害によって負傷者や発病者が増加します。

天災だけでなく大規模火災や事故、遭難やテロ事件、伝染病発生時などの災害時に、現地で行われる看護を「災害看護」、災害時に駆けつける看護師を「災害支援ナース」と呼んでいます。

災害看護とはどのような仕事なのか、災害支援ナースになるにはどうすればよいのかをまとめますので、興味がある方は参考にしてください。


災害看護とは

災害が起こったとき、必要に応じて災害支援ナースが招集され、緊急時のための看護知識・技術を活かして災害看護に当たります。

対象としては、災害で直接被害を受けた方、二次被害にあった方のほか災害支援や救助活動に当たっている人々も含み、必要な手当てや処置、健康維持のための予防や衛生管理を行います。

経過時間による災害看護の変化



災害発生からの期間に応じて、必要とされる災害看護の内容は変わっていきます。

急性期

災害発生直後(当日~2日目)は、非常事態のなかで看護活動を行うことになります。人手や物資が足りず指揮系統も定まらないなかで、医療チームの一員として、時にはいち看護師としてフレキシブルで迅速な判断をし、救命救急に当たる必要があります。トリアージ担当がいればその指示に従って処置をします。

亜急性期

災害発生から3日程度経過したあと~1ヶ月の時期は、被災者の方は医療施設や避難所で過ごすこととなり、災害看護はこれらの施設に拠点を移します。

医療施設では重症患者の治療・看護、術後管理、外傷処置、新たな患者さんの受け入れを行います。避難所では、透析患者や常備薬を必要とする方へのサポート、PTSDの予防・ケアを行います。必要な医療器具や薬剤、備品類の管理や発注なども看護師の仕事です。

中長期

災害発生2ヶ月目以降には、より活動範囲を広げて災害看護が継続されます。避難所や仮設住宅での生活を続ける人々には、生活環境の変化に対して精神的・肉体的に様々な症状が現れる可能性があります。

慢性疾患への対応や感染症対策のほか、メンタルケアも災害看護のなかで重点を置くべき項目です。十分な聞き取りを行い、必要と思われる看護を提供していきます。

災害看護を担う災害支援ナース



災害発生時に、災害規模に応じて災害看護のスペシャリストである看護師を派遣するのが、日本看護協会が実施する「災害支援ナース制度」です。

都道府県看護協会に災害支援ナースとして登録している看護師は、災害看護の知識とスキルを身につける研修などを受けながら、普段は病院などで勤務しています。


災害発生時にはその規模に応じて、看護協会からの要請を受けて、被災地の医療機関、避難所や社会福祉施設などへ派遣されます。派遣先では適切な医療・看護を提供し、被災者の健康レベル維持を目指します。

被災規模の小さなものから順に、被災県の看護協会に登録する災害支援ナースのみで対応する単独支援対応(レベル1)、近隣県看護協会にも派遣を要請する近隣支援対応(レベル2)、全国の看護協会から派遣を要請し活動の長期が見込まれる広域支援対応(レベル3)という区分があります。

災害支援ナースの活動実績

2011年3月の東日本大震災では、死者15,000人余り、行方不明者3,000人以上、避難者は7万人にのぼりました。日本看護協会ではレベル3の対応として、岩手県、宮城県、福島県の各避難所、医療施設へ、40都道府県から召集した938名、延べ3,770名の災害支援ナースを派遣しました。

そのほか、2014年8月の広島県の集中豪雨による被災では、死者74名、負傷者44名、2,354名が避難をしましたが、広島県看護協会から被災支援ナースが派遣されています。


災害支援ナースになるには


災害支援ナースになる方法

災害支援ナースになるための条件として、都道府県看護協会の会員であり、看護師の実務経験が5年以上であること、勤務先所属長の承諾を得ていること、災害支援ナース養成のための研修を受講している必要があります。

さらに望ましい要件としては、年に1回程度、看護協会開催の災害看護研修もしくは合同防災訓練への参加が可能であること、災害看護支援活動を補償対象とする賠償責任保険に加入していること、任務からの帰還後看護協会主催の報告会へ参加することが挙げられています。

条件を満たしたうえで各都道府県の看護協会に登録すると、災害発生時に必要に応じて派遣要請を受けることとなります。被災地での災害支援ナースの活動期間は、おおむね災害発生3日目以降~1か月間が目安ですが、そのうち個々の看護師が派遣される期間は原則3泊4日(移動を含む)です。登録後は、規定に沿って定期的な登録更新を行っていきます。

<災害看護とは?・まとめ>

  • 知識やスキルを活かして災害看護に当たる
  • 被災者だけでなく救助活動者や支援者も看護対象に
  • 急性期、亜急性期、中長期で看護の場所や内容が変わる
  • 各勤務地の看護協会に登録し、災害時に派遣される
  • 看護協会会員で実務5年以上、研修を受けて所属長の承諾を得る必要
  • 派遣期間は3泊4日、全体の活動は1ヶ月程度が基準

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