「平成26年度診療報酬改定で受ける病院経営への影響度」でも書いた通り、今後は急性期病院の数が少しずつ減らされ、代わって介護施設や療養施設、訪問看護ステーションが増えていくと思われます。
こうした背景には、2025年には団塊世代が75歳以上になるため、2025年に向けて国はこれまでの病院医療から在宅医療にシフトさせていきたいという考えがあります。
高齢患者は今後もますます増えていくが、それに伴って医療費も急増しているため、これ以上病院を増やすのは難しい。であれば、これまで一律に病院で医療を引き受けるという発想を捨て、より重症度の低い患者は病院以外の施設(自宅を含む)で受け入れていこうという発想です。
こうなってくると、今後いっそう必要とされるのが訪問看護師で、ある経済紙の推計によると2025年にオランダ並みの在宅看護を整備するとなると、17万人の訪問看護師が必要になると試算しています。現在の訪問看護師が約3万人ですので、実に5倍以上に増やす必要があることになります。
訪問看護師は看護師の間でも不人気?
では、訪問看護師は今後順調に増えていくのでしょうか?今のままだと難しいかもしれません。ある看護師求人支援会社によると、訪問看護師の求人数に対して応募者数は1/10程度だそうです。あまり人気が高いと言える状況にはありません。
訪問看護師が不人気の理由ですが、看護師の応募先がどうしても病院になってしまうことが一つあります。看護師の職場といえば病院と考えている方が多く、訪問看護ステーションで看護師を募集していることを知らない人すらいます。
やりがいという点でも、訪問看護師は病院看護師に較べて介護の部分も少なくなく、病院看護師よりも一段下に見られていることもあります。加えてお給料も、夜勤勤務がない分少なくなります。
その一方で、訪問看護師は夜勤が少なく(職場によってはない所も多い)、仕事自体の大変さも病院ほどではないので、病院看護師に較べて家事・育児との両立がしやすいというメリットもあります。
訪問看護師が今後増えていくには
今後、訪問看護師が増えていくにはどういった取組みが必要なのでしょうか?もちろん、病院看護師の数が少しずつ減っていけば訪問看護師のなり手も増えていくでしょうから、少しずつ増えていくことは予想されます。
ですが、2025年に今の5倍以上に増やそうと思ったら、もう少し積極的な取組みも必要でしょう。
そのためには、政府・自治体の支援が不可欠です。訪問看護師の仕事の周知徹底や、待遇改善に向けた支援策など環境整備が必要で、こういった取り組みは民間だけでは手に余ります。
こうした取り組みの一つとして、平成25年に東京都が始めたのが、東京都訪問看護教育ステーション事業です。
これは2年限定のモデル事業ではありますが、訪問看護師に多少は興味はあるけど仕事内容がよく分からず、就業に不安があるという看護師向けに、就職相談やアドバイス、勉強会・研修会の実施、さらには実際に訪問看護ステーションに仕事体験をしてもらうという試みを提供する事業です。
また、看護師の資格を持っているものの現在は看護師の資格をしていない、いわゆる「潜在看護師」の数は70万人にも上ると推定されており、こうした人材の掘り起こしも急務です。
<関連サイト>
東京都訪問看護教育ステーション事業
今後も訪問看護師が増えていくためには、こうした行政の支援が求められています。
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