新人看護師の悩み、退職したい



看護学校を卒業し免許を取得して初めて就職する「新人看護師」からは、「辛い」「辞めたい」といった相談の声が多く聞かれます。

新人社会人は「社会人として」「その職場において」2つの意味での新人ですが、看護師の場合さらにもうひとつ、看護師としても新人です。3つも初めてのことが揃っていて、しかも人の命に関わる仕事となれば、悩みが生まれるのは当然のことです。

そうはいっても「もう退職したい」という看護師の気持ちはすぐに消えるものではありません。実際に新人看護師からはどのような悩みが聞かれるのか、新人看護師が退職したい理由、そして新人での転職はありなのかどうかについて考えます。


新人看護師から聞かれる、悩みの声


勉強ができず人間関係になじめない

急性期病院の救急病棟に配属されて3ヶ月目ですが、3~4日の在院で目まぐるしく患者さんが入れ替り、病態の勉強が追いつきません。毎日7時半~20時頃まで勤務して、自宅に帰ると疲れて眠ってしまいます。

専門卒の先輩に「大卒なのにこんなこともできないの?昨日勉強したものを提出して。なんで無いの?」と責められますが、教科書を読んだり振り返りをするのに精いっぱいで、提出できるほどのレポートを作成できないことがあります。


プリセプターの方とはぎくしゃくしていて、朝挨拶をしても返事もなく、悩みを相談できる人がいません。

やらなければいけないことがたくさんあるのに勉強が手につかず、寝ても疲れがとれません。毎日が憂鬱で辞めたくて仕方がなく、うつ病になるのではと不安になりますが、今仕事を辞めたら何も残らないのでは、という気もします。1年はこの病院で我慢すべきなのでしょうか?

仕事に慣れることができない30代新人看護師

新卒で入職した30代の新人看護師です。3ヶ月経ちましたが、未だに仕事の要領がつかめずオロオロしてしまいます。分からないことがあっても怖い先輩には聞けず、聞きやすい先輩を捕まえるのに時間を取られています。

自分は重症度の高い部屋を受け持ち、対応に時間を取られて部屋にこもりきり。一方で同期の子は優しいプリセプターさんと楽しそうに笑顔で働いています。


元社会人の新人看護師は風当たりが強いことは聞いていたし、指導に感謝し勉強に努めてきたつもりですが、他の同僚には笑顔のプリセプターさんも私には冷たく当たります。

自分の不器用さが嫌になり、看護師には向いていないのではないかと思います。以前はそんなことなかったのに、今は自分に自信を持てないダメ人間になってしまいました。


・・・このほか新人看護師からは、「先輩看護師から仕事を教えてもらえない」「仕事が分かりづらく、いつまでたっても覚えられない」「交代制の勤務に慣れず体力的に辛い」「医療ミスをしてしまいそうで不安」「ずっと目指してきた看護師の仕事なのに、魅力を感じることができない」といった悩みが聞かれます。


新人看護師が退職したい理由は何?


自分に自信が持てない

厚生労働省の調査では、新人看護師の退職理由の約8割が「自分は看護師に向いていない」「看護師を続けていく自信が無い」というものであったそうです。

このような気持ちになってしまう背景のひとつとして、「看護学校と医療の現場とのギャップ」が挙げられます。何年も教育を受け、国家試験に合格したという自負に対し、実際の医療現場ではさらに高い能力が求められることでギャップがより大きなものとなり、現実に打ちのめされてしまうのです。


医師不足の負担軽減のため、看護師の業務範囲を拡大しようという病院側の傾向や、看護師不足による教育制度の不十分さなども関係しています。

新人でなく複数の医療現場を経験した看護師であれば「この仕組みはおかしい」「これはやったことがないからできないだけ」ということが分かりますが、新人は他の職場を経験していないために自分の尺度を持つことができず、先のような自信喪失につながっています。


新人看護師でも転職はありなの?


新人はそれほど期待されていない

自分では「1日も早く一人前の看護師になって役に立たなければ」と思っているかもしれませんが、病院側では新人看護師にそれほど大きな期待はしていません。

よほど大きな医療事故でなければ新人の失敗は想定内であり、必ず誰かがフォローするものですし、社会的責任を負わされるようなことはありません。

逆に新人時代に失敗を経験していないと、中堅の立場になって新人のフォローするのが難しかったり、分からないことをそのままにして先輩看護師になってしまう方が怖いという面もありますので、失敗したからと言ってすぐに退職や転職を考えてしまうのは得策ではありません。

転職で視野が広がる可能性

だからといって一概に「辛い状況を我慢をすべき」ということではありません。新人看護師の自信を奪い、悩みをより強くするのは、周囲のスタッフの対応です。その場合、環境、つまり職場を変えるだけで、自分の働き方を大きく変えられる可能性があります。

実際に、新人の辛い境遇から体調を崩して職場に行けなくなり転職をしたところ、次の職場では楽しく仕事を覚えることができた、といった転職の成功談は多く聞かれます。


自分は看護師に向いていない、とすぐに判断し看護師そのものを辞めてしまうのではなく、前向きな気持ちで転職を考えてみましょう。

いったん看護師を離れて再度戻る場合には、さらにそのハードルは高く辛いものとなります。まずは他の職場も経験し、本当に看護師を離れるのかどうかはその後で判断してみてください。


自分の辛さをできるだけ客観的に捉えて、その改善ができる転職先を探してみましょう。例えば「仕事を教えてもらえない」ことが悩みであれば、教育体制が充実した病院を探すようにします。

転職サイトを利用して、看護師転職のプロであるエージェントに相談することで気持ちが軽くなることもあるでしょうし、希望に合う転職先の紹介を受けることができます。

<新人看護師の悩み、退職したい・まとめ>

  • 忙しい毎日で思うように勉強できず、先輩から責められる悩み
  • 30代の新人で風当たりが強く、自分が嫌になってしまう悩み
  • 学校と現場のギャップに「看護師に向かない」と自信を失ってしまう
  • 環境の悪さが新人看護師の自信を奪っていることがある
  • 職場を変えることで楽になるのであれば新人での転職もあり


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