看護師の転職体験談(43):泌尿器科クリニックから保健師として企業へ転職

(東京都 35歳 女性)

転職前はどんな仕事をしていたか


(写真はイメージです)


都内の泌尿器科クリニックに看護師として約2年間勤務していました。

院長1名のほかに、スタッフは看護師3名、事務スタッフ3名、放射線技師1名と小さなクリニックでしたが、院長は診療時間外に執筆活動や講演活動も行うなど泌尿器科領域では有名な方でしたので、院内はいつも患者様で溢れかえっていました。


病棟勤務が長かった私は、はじめの数か月間 外来特有の忙しさや業務の幅広さに戸惑いましたが、これまで全く未知の分野であった腎~尿路疾患の診察、検査、診断、治療という一連の流れを学ぶことができ勉強になっただけでなく、病棟という特殊な治療空間に至るまでの患者様の葛藤や受け入れなどのプロセスについても学ぶことが出来ました。


一方で、患者数があまりに多いことで看護師は常に走り回り、休憩も十分にとれないまま残業時間を迎えるといったことが日常茶飯事で、身体的に非常にハードでした。


また、病棟勤務時と違って夜勤はないものの、土曜日の午前診療や平日の夜間診療があることで休日数が少なく、かといって有給休暇や振替休日の制度が整っているわけでもなかった(あったのかもしれませんが消化できるような状況ではない)ことから、いつも翌日に疲労を持ち越しながら仕事をしているような感覚でした。


さらに、院内の清掃や医療機器の滅菌、院長の趣味のコレクション磨きなどの日常業務もあり、看護師の他に看護助手や事務、秘書も兼ねているようなイメージでした。

収入に関しては、手取りの月収24万円+ボーナス2か月分で、ボーナスはクリニックの売り上げや院長の気分によって変動しました。

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なぜ転職しようと思ったのか

院長は、看護師それぞれの個性や技術、患者対応を評価しながら、足りない部分は育てていこうとする方針であり、「失敗してもいいからまずはいろいろ経験しなさい」と、厳しくも温かい目で見守ってくれました。

接遇面や迅速な対応、院長への報告・連絡・相談といった基本的なところは特に重要視されたこともあり、常に気を遣いながら患者対応に当たったことで、看護職における「ホスピタリティ」の精神はここでしっかり身についたと言っても良いくらい学びになったと思います。


しかし、週休1日や残業時間の多さ、毎日飛び回るようにして行う多忙な看護業務を続けていくうちに、身体の限界を感じ、転職を考え始めました。また、今後も勤務を続けていく上で重要な産休や育休の制度がないこと、昇給や退職金がないことなども、転職を考え始めたきっかけでした。

スタッフ間の人間関係はとても良く、休日には事務スタッフと看護師数人で食事をしに行くことも度々あったため、転職を考えていることについても率直に打ち明け、長く勤務するスタッフや既にクリニックを辞めて他の医療機関で働いている看護師などから色々な助言を頂いたりしました。


実際に退職するとなると、個人病院ならではの『伝え方』の大変さがあり、「退職理由についてどのように打ち明けることが、院長の気持ちを波立たせないか」ということを考えに考えた末、『旦那の転勤』が一番良いのではないかという結論に至り、院長にはそのように伝えました。3日間程話し合いを重ねて、なんとか納得して頂きました。


どんな転職活動をしたのか

まずは、転職サイトに登録し、「保健師として常勤で働くことのできるところを探している」「常勤が難しければ、非常勤や契約社員でも良いが、契約更新の可能性のあるところが良い」という2点を担当者にはっきり伝えました。

初めは、担当の方から「看護師求人の方が豊富にあり、勤務地や収入面などを比較して選ぶことができる。看護師としての勤務も検討してみたらどうか?」と言われましたが、「看護師ではなく、保健師求人を探しているので、少しでも条件にあてはまる求人があれば連絡してほしい」と、一貫して『保健師求人』の紹介をお願いしました。


約2ヶ月間で2件の保健師求人をご紹介頂きました。一つは契約社員としての企業内保健師の求人で、年収400万程度。もう一つは、学校の産休交代保健師の求人で、月収23万程度でボーナスなしの期限付き勤務という内容でした。

出来るだけ長く勤務したいと考えていたため、「契約社員からのスタートでも構わない。企業の保健師求人にチャレンジしたい。」ということを転職サイトの担当者に伝え、企業の面接を受けることにしました。


病院ではなく、企業での面接という初めての経験で不安や焦りもありましたが、転職サイトの方が企業の特徴や職場環境、受け答えのポイント、そして最終的には模擬面接まで、事前に電話でレクチャーしてくださったため、気持ち的にもある程度余裕を持って面接に臨むことが出来ました。

実際の面接では、人事担当者の男性1名と保健師1名から、これまでの業務経験について詳しく聞かれたほか、「産業保健に関する法律や制度を理解した上で、メンタル対応などの未経験分野にも即戦力として取り組んでもらう必要があるが、問題ないか?」といったことを繰り返し確認されました。


また、転職を考える上で重視していた契約更新の可能性について面接時に確認したところ、「契約社員から正社員となった前例はあり、1年間の勤務状況や実績を考慮して、更新時期にその都度検討していく」という回答でした。

面接時に、採用枠1名に対しすでに5名程の応募があり、今後も何名かの面接予定があるため、結果が出るまで2週間程時間を要すると聞いていたため、採用の見込みは薄いと感じ、面接の翌日から転職活動を再開していました。


2週間後、予想外の採用通知を頂き、嬉しさ半分・不安半分でしたが、この機会に是非チャレンジしてみたいと思い企業内保健師として働くことに決めました。

転職サイトの担当者の方がいなければ、企業内保健師求人の有無はもちろん、面接対策など事前にどのような事について準備すべきかがわからなかったため、今回の転職が成功したのは転職サイトに登録して活動したからだといっても過言ではありません。


転職後の職場の様子、感想

転職先の企業は、従業員1500人程の通信関連分野で業績を伸ばしつつある企業で、保健師は私を含めて2人。先輩保健師は40代で、社内の産休・育休制度を活用して仕事と家庭を両立しながら長年勤めている正社員です。

はじめの数日間は業務内容について学び、その後は一人で実践しながら分からない部分についてフォローを受けるという体制で進み、徐々に業務量を増やしていくという無理のない形でした。


主な日常業務は保健指導や健康相談、不調者や休職者への対応、メンタルヘルス不調予防活動、産業医との連絡や面談調整、職場巡視、健康診断の計画・実施・事後処理、健康教育などです。業務量は多いのですが、互いに協力し合って進め定時には帰れるようにするという意識が強く、規程の勤務時間の8時30分~17時通りで、残業はほぼありません。

産業保健やメンタル対応については、大学時以来久しぶりに関わる分野であり、一から学習し直す必要がありました。法律や制度は毎年のように変わるため、学生時代の教科書や参考書があまり役立たなかったことから、書店に足繁く通って新しい書籍を数冊購入し、休日などに時間を見つけて勉強しました。


当然のことながら、関係部署や機関とのやり取りの他、保健指導を行う際には様々な知識が求められるほか、パソコンが使いこなせないと全く仕事にならず、はじめは本当に苦労しました。

ワードやエクセル、パワーポイントなどを用いた文書作成や資料作成は良いのですが、エクセルを使った統計処理に慣れるまでは時間がかかり、悪戦苦闘している自分の姿が夢にも出てくるほどでした。また、初めのうちはデスクワークに違和感を覚えていましたが、次第に慣れるもので、今では自分のデスク周りをいかにして快適に整えるかが大きな関心事です。


転職活動を通じて感じたこと、学んだこと

看護師から保健師への初めての転職を考えている方には、転職サイトの活用をお勧めします。実際に転職サイトを介して転職をするかどうかは別としても、利用の価値は大いにあると思います。というのも、保健師の場合は特に非公開求人が多く、求人数も少ないため、タイミングと面接対策がとても重要だからです。

面接対策に関しては、未経験分野への転職を考えている場合には特に、何から手を付けるべきか見当もつかずに結局行き当たりばったりといったことにもなりかねませんが、転職サイトの方はこれまでの経験から「企業の面接では~について質問されることが多い」という傾向性を知っていたりするので、事前に対策を練ることができます。


ただ、転職サイトによって、保健師求人に強いところとそうでないところがあるようなので、いくつか登録した上で色々な情報提供をしてくれるところを選ぶと良いと思います。

今回の転職活動での反省点の一つとして、「契約社員から正社員になる」ということに対して、あまりに安易に考え過ぎていた点があります。最初に契約社員として採用されるということは、産業保健師としての能力が試されているからなのだということを、入職して早々に実感しました。


産業保健師として働くということは、病棟の1看護師として働くのとは大きく異なり、企業内の数少ない看護職として、様々な判断を求められ、年齢や所属、役職を超えて仕事をして行かなければならないということです。

そして時には、法律や社会の流れにそった形で、会社の体制づくりをしたり、問題点を明らかにし、上層部を説得したりしながら、新しいことを取り入れていかなければなりません。


仕事を通して社員から絶大な信頼を得ている先輩保健師の姿を見て、「正社員への道は、それだけの実績や信頼があって初めて開けるものなのだ」ということを改めて感じました。産業保健師は狭き門であり、非常にシビアな世界ですが、その分だけ仕事のやりがいもあります。

今後、看護師から保健師としてがんばってみたいと考えている方は、それなりの準備と覚悟をした上で、是非チャレンジしてみてください。応援しています。



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