(写真はイメージです)
(東京都 35歳 女性)
転職前はどんな仕事をしていたか
3年間勤務していた病院を退職後、少しゆっくりしたいという思いから派遣会社に登録し、単発の仕事をメインに看護師として働いていました。
約半年間、「これがフリー看護師なのだ」という新鮮な気持ちで、採血や心電図などの健診業務、ツアーナース、入浴介助、クリニック外来業務など、様々な仕事を経験しました。
自分の体調や気分を優先させて出勤スケジュールを調整出来ることが最大の魅力であり、全く勤務しない週もあれば、月曜日~金曜日まで5日間フルで勤務する週、そして時には2泊~3泊の泊まりでツアーナースとして小中学校移動教室に参加する週もありました。
中でも、移動教室の引率はとても有意義な経験で、看護師としてだけではなく、一人の人間としての考え方の幅を広げることができるような側面を持ったお仕事でした。
学生や教員たちと食事・行事・睡眠・移動などのほとんどの時間を共有し、体調不良やケガ、内服管理などの対応に当たるため、学生達との心温まる交流が随所に散りばめられているほか、どこか懐かしい場面に触れたりすることも多く、終始涙腺が緩んでいるような感覚がありました。
医療業界という狭い世界から一旦距離を置くことで見えてくることが数多くあり、学びになると同時に、これまでの自分を見つめ直す良い機会にもなりました。
一方で、他人に対して気を遣い過ぎるところのある私にとっては、『いつも異なる勤務先』に『派遣看護師』として勤務することが予想以上の気疲れにつながり、はじめは自覚なく過ごしているものの、数か月間に渡って積み重なることで慢性的なストレスの芽となっていくような感覚を覚えました。
勤務先では、同じように働く派遣看護師との出会いもあったため、勤務の合間で仕事についての相談をしたり、情報交換をしたりしていました。お給料は時給2000円前後+交通費実費のことが殆どで、ツアーナースのみ日給1万円でした。
なぜ転職しようと思ったのか
はじめの2~3ヶ月はフリーとしての働き方に魅力を感じ、自由を満喫していました。
仕事内容や頻度を調整することで1~2週間単位で仕事を入れない期間を作り、それまで出来なかった長期の旅行や帰省を楽しむなど、まるで学生時代に戻ったかのような生活でした。
病棟勤務時は旅先でも仕事のことが頭から離れず、「あの患者さんは今頃どうなっているのだろうか」「戻ったら、あの仕事をやらなくては」などどうにもならないことを悶々と考え、どこか心から旅行を楽しめない自分がいました。
ですが、1日~数日完結型の単発の仕事では気持ちの切り替えが出来るため、休日のリフレッシュ度をはじめとする心の健康度が非常に高かったように思います。
しかし、4ヶ月を経過した頃から、次第に「そろそろ地に足をつけて、一つの勤務先で働かなければ」と漠然とした不安を抱くようになり、常勤としての勤務を考え始めました。
派遣看護師としての働き方は、自由度が高く、場合によっては時給換算で正社員よりも多くのお給料が頂けるなど長所も沢山ありますが、その反面、福利厚生が充実しているとは言えず、身分や収入が不安定、移動が多い、新しい勤務先でその都度業務内容を把握し臨機応変に動かなければならない緊張感や負担感など、短所と感じられる部分もあることを知りました。
また、私の場合、学校卒業後 約50年間同じ会社で勤め続け定年退職した親の元で育ったため、フリーで働くことに対する両親の理解が得られにくく、少々風当たりが強かったことも、本格的に転職活動を始める大きな要因となりました。
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どんな転職活動をしたのか
単発の仕事を週3~4回ペースで続けながら、以前に登録していた看護師転職サイトの担当者と連絡をとり、本格的に転職先を探し始めました。
また、同時に、今後の働き方について配偶者とも話し合いを重ね、看護師としてのキャリアを優先し、家族の協力の元で病棟勤務に戻るか、家庭と仕事の両立を考え、日勤のみのところで心身ともに余裕を持って勤務するかのどちらにするかを決めました。
結局、無理のない後者の働き方にしようということで話がまとまったため、希望の勤務条件として「自宅から電車等で30分程の通勤圏内」「日勤のみで、出来ればゆったりと勤務できるところ」「(可能であれば)月収25万円以上」を挙げ、内科外来や健診メインのクリニックなどを中心に探して頂きました。
担当者の方と連絡を取り始めて約1週間後、3件の看護師求人をご紹介頂きました。
1つ目は、自宅から程近い徒歩約20分のところにある内科クリニックで、月収24万円+ボーナス、比較的忙しく有休消化率は40%程度というA医院。
2つ目は、施設健診と内科外来を行い、自宅から電車で約40分、月収30万円でボーナスなし、有休消化率90%以上のB内科クリニック。
3つ目は、通勤時間約40分の総合病院健診部門で40代のママさんナースが中心、残業時間はほぼなく、月収27万円+ボーナスで、午後は健診業務がないため保健師業務を手伝ってほしいというC病院。
お話を頂いた際、1番条件が良いと感じたC病院のみ面接を受けさせて頂きたいと担当者に伝えたところ、「3箇所とも実際に面接に行ってみた方が良いのでは」という助言を頂き、結局3箇所全ての面接を受けました。
どの医療機関の面接も、非常に和やかな雰囲気で行われましたが、最も重視していた「余裕を持って家庭と仕事の両立ができる」勤務先はB内科クリニックかC病院であると判断し、どちらか内定を頂いた方に決めようと、家族とともに少し緊張しながら結果を待ちました。
接後1~2週間でB内科クリニックから採用のお知らせを頂いたため、すぐにそちらに決めました。
後日、C病院からも採用のお電話があったのですが、面接時に感じた雰囲気や実際の業務内容を熟慮した結果、「やはりB内科クリニックに」ということで自分の気持ちは固まっていました。
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転職後の職場の様子、感想
転職先のB内科クリニックは、都心のビルの2フロアで施設健診と外来診療を行うアットホームな医療機関です。院長1名のほか非常勤医師3名、看護師3名、検査技師2名の全員女性スタッフで、巡回健診部門にはさらに10~20名のスタッフがいます。
看護師は主に血圧、採血、計測、視力、聴力などの健診業務と、外来患者への処置(点滴、注射、採血など)を行います。検査機器や実施方法は多少異なりますが、基本的には経験のある健診業務でしたので、慣れるまでにそう時間はかかりませんでした。
院長を含めたスタッフは30~40代の子育て中の方が中心なので、「仕事は(良い意味で)ほどほどに、のんびりやりましょう」というスタンスで、まさに自分が理想としていた雰囲気でした。
また、規程で残業代は支給されないのですが、実際に残業するようなことは殆どなく、皆 終業時間ぴったりにタイムカードを押して帰るような形なので、心身ともに余裕を持って勤務することができています。
予想していた以上に恵まれた環境であり、家族にも「良い職場に巡りあえて良かったね」「早めに帰宅できて、家の事をやって貰えるのがとても助かる。
食事を楽しみにしている身としては、毎日ちゃんとした夕食を作ってもらえるのが一番」と評価され安堵している半面、「もうこれまでのように、仕事を言い訳に家事を疎かにできないな」という危機感も生まれつつあります。
転職活動を通じて感じたこと、学んだこと
今回の転職活動を通じた一番の学びは、「紙面上の勤務条件や担当者からの話しだけで判断せず、気になるところがあればまずは面接に行ってみることが大切」ということでした。
もちろん、業務内容や給与、勤務地など、事前に判断できる条件からある程度は絞っておくべきですが、職場の雰囲気や労働環境などに関しては実際に面接に行ってみてはじめて垣間見える部分があります。
私の場合、面接前はC病院が第一希望で「比較するまでもなく、すぐにここに決めたい」という気持ちの焦りがあったのですが、実際に3箇所の面接を受けてみると、穏やかで柔軟な雰囲気が伝わってくるB内科クリニックが大変好印象で、C病院と同じくらいの関心度になっていました。
数多くの転職希望者をサポートされている担当者の方は、求人情報だけではわからないことを面接時に確認する重要性を知っていたからこそ、あの時「3箇所全ての面接を受けてみるべき」とアドバイスしてくださったのだと後になって理解しました。
当然のことながら、実際には勤務してみてはじめてわかることが多く、予想以上に恵まれた労働環境に転職できたというケースは少ないかもしれません。
やはり、全てが完璧という職場はありませんので、ご自身が最も大切にしたい部分を最低限しっかり実現できる職場であるかという視点で転職活動を行い、入職後は自ら主体的かつ前向きに、職場環境の改善に取り組んでいくという姿勢が求められているのではないでしょうか。
この記事を読んでくださっている皆様が、良い転職先に巡りあい、新しい職場でご活躍されることを祈っています。
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