看護師の転職体験談(54):専門病院から企業への転職


(写真はイメージです)


東京都 32歳 女

転職前はどんな仕事をしていたか

大学病院から一般の200床程度の専門病院に1回目の転職をしてから、脳神経外科やSCUで働いていました。年収は500万程度でしたが、家賃補助なども高く給与面では満足していました。

脳神経外科系の知識をつけるには大変良い経験でしたが、中途採用で成り立っている病院のため、新入職員に対する教育体制が整ってなく、急性期疾患への対応経験のある職員に対して、重症患者やリーダー業務や入院対応などが集中してしまうような仕組みになっていました。

3年間働いていましたが、途中から疲労感が強くなり、夜勤に対してもいつ事故を起こしてしまうか、患者の安全を守れるだろうかという不安感にかられるようになりました。


なぜ転職しようと思ったか

元々、救急の認定看護師などになりたいと在学中から思っていることもあり、スキルアップの一段階と思い転職したのですが、3年間働くうちに何だか病院の都合の良いコマとして使われているような気になり、充実感を感じないようになりました。

一生こんな使われ方するのかと思うと将来が不安になり、体力的にも精神的にも一生続けられる職業じゃないのかもとさえ思うようになってしまいました。

感染委員会に入っていたこともあり感染の認定看護師をとったらという話を頂き、他の認定よりもエビデンスがしっかりあり答えがはっきりしているという利点を感じ受けようとも思いましたが、同時に認定をとったあとにもこの病院で働き続けなければいけないと思うと精神的に耐えられないだろうと思い、転職活動&一旦休息時間を作ることにしました。というと聞こえは良いですが、本当のところは今すぐこの病院をやめないと心が保てそうになかったという状況でした。

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どんな転職活動をしたか

最初は転職活動というよりも、何もしたくないという気持ちと看護師として働きたくないという気持ちの方が強く、その時同棲していたこともあって、夜勤のバイトを月に数回して過ごす生活を過ごしていました。

看護師を続けたくないと思っていながらも、では何で生計を立てて行こうかと思ってしまう葛藤を持ち続けながら9か月くらいは何もやる気が起きない無気力な生活でしたが、だらだらしているうちになぜ働けるうちに働こうとしていないんだろうと思うようになり、転職活動を始めようと決意しました。


しかし、看護師として一生働く自信はなかったし、結婚する予定があったので、結婚後も仕事が続けられるような生き方をしようと思い、未経験でしたが結婚前に最後のチャンスとして企業で働いてみたいと転職活動をすることにしました。

家で過ごす時間が多かったので、ネット上で転職をサポートしてくれる会社を調べて、片っ端から登録したところ、沢山登録すると途端に電話がかかってきて、でも紹介されるのは希望とは違う病院だとか介護施設だとかばかりでうんざりして諦めかけていたのです。私の希望は、未経験でも大丈夫な企業であること、できれば週3程度で働きたいこと、時給は1900円程度でした。


急ぐ必要はないと思っていたので、希望に合わないものに無理して了承せず、同時にネットで企業の求人を紹介してくれる会社を探していました。ネットで公開している求人は実際は電話すると締め切ったなどと言われることも多く、信用できないなと思ったりもしましたが、気長に待つことにしました。

1月頃にネットで週4以上の企業求人を見つけましたが、仕事内容がはっきりせず、不安もありましたが、電話で聞いてみることにしました。担当者さんは今まで応募条件に合う人材がいなかったため紹介したことがないとのことでしたが、条件が合致しているため面接に行きましょうとお返事を頂きました。

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企業での面接は初めてでしたが、今までの看護師の転職では受ければ受かると図々しいながら思っていたので、不安もありながら受かるでしょうという気軽な気持ちも一緒に面接に向かいました。

今まで看護部長のみ、もしくは人事部長のみの一人対一人で面接することが多かったので、紹介会社の方同伴で行くことに驚き、企業側は人事部の方と、部長の方と二人で対応されたため緊張感が増しました。


ニコニコ聞かれたことに答えていれば良いかと思っていたら、いきなり「ご自分の経歴のご説明をお願いします」と言われ、先制パンチをくらったかのように驚きました。そこからは緊張であまり覚えていないのですが、何とか対応し笑顔だけは保つようにし終了しました。

紹介会社の方は、「うちしか紹介してないから、多分受かるでしょう」と話されていましたが、緊張もあり手ごたえも感じなかったため自信はありませんでした。世の中を舐めていたなと実感し、世の就職活動生はこんな緊張の中、活動しているのかと思いました。無事受かりましたが、何度もこのような転職活動をしたいとは思えない緊張感でした。


転職後の職場の様子、感想

転職した企業は、健康管理室とかではなく医療安全に関する仕事を行う大企業のコンサルティング会社でした。時給は1900円で平日週5日のカレンダー通りで働いており、残業は最初は月5時間程度でしたが、仕事を任せられるようになって増えた場合でも月30時間程度です。企業で働くには、私の予想以上にPC操作のスキルが必要なんだと感じました。

他にも看護師が働いていたので、看護師はPCに長けていないことを理解されていたので、助かりました。私はPCの操作に自信がない方ではなかったですが、社会に出てみると井の中の蛙だったことを実感しましたが、皆さん優しく教えて下さり、多くの操作が出来るようになりました。


また、企業で働いてみて驚いたことが、労働基準法や男女雇用機会均等法や個人情報保護法などの法律を非常に厳格に守っているということです。病院で働いていたときには全く聞いたことのないコンプライアンスに対してもすごく厳しく、常に対策に追われています。

私は時給制で働いているのですが、勤務時間外で働いても30分~1時間などなら残業出す必要がないかと思い申請していなかったら、働いた分はちゃんと申請するように指導され、本当に驚きました。また残業が多く、それが個人の能力によるものでない場合は業務量の調整をしてくれました。本当に病院は、勤務実態の改善の必要性があると感じます。

また、体力的に非常に負担がありませんし、病院で働いた時は日勤のあとに予定をあまり入れることができないし勤務後はぐったりしていたことが多かったのですが、今は自分の予定を組めるようになったし、体力的にも軽登山くらいできそうな感じです。


これから転職する方へのアドバイス

企業で働くには病院とは全く違う働き方で、頭の使い方も全然違います。人をどうやって動かすかなど根回しが必要なことや、常にアウトプットとして何が出来るか、予算をどうとるか、何がお金になるかなどを考えなければいけないため、最初は頭が真っ白状態ですが徐々に慣れました。

ビジネス用語も意味がわからないものばかりで、話についていけないこともありましたが、それも徐々に理解できるようになります。人によるのかもしれませんが、他の医療者と医療者でない人の働き方を比べた時に、医療者はマルチタスク機能と責任感が多いと感じます。


企業で働き始めて、企業と病院とでの働き方の違いを的確に表現しているなと思った言葉があります。働き始めの頃に上司がかけてくれた言葉なのですが「どんなに大きい失敗をしたって、人は死なない」ということが大きな違いかと思います。

責任感は必要ですが、緊迫した状況でなく、多少の苦労は今までの大変さを思ったら大したことありません。もし、看護師として働く中で、自分の今後の人生設計に不安を感じたり、生活との両立を考えている方は、未経験で一歩踏み出すことに抵抗がある人でも、一回チャレンジしてみたら良いのではないかと思います。


ただ、私が働いている企業は看護師以外の専門職も多いため、専門職だからといって給料が上乗せされることはないので、その点は経験を買ってもらった気になれず悲しく思います。

しかし、今まで自分の働いている病院の中だけのことしか知らなかったのですが、企業で働くことによって全国の病院のためになるのかもしれないと思うと大変やりがいのある仕事だと思え、充実感があります。金銭面だけではない心の支えみたいなものがあることが嬉しいです。


今回の転職で、転職には運と期間も大事だということを感じました。たまたま正社員で働いていなかったため、時間がありネットでリサーチしたり、見つけた時にすぐ動けたことが良い結果につながったからです。また、年をとったこともありますが、転職紹介会社の方と話す時も、以前の転職の時よりも本音を話せていたと思います。

以前の時もこのくらいできていたら、より良いものになったかもしれません。是非、転職をお考えの方は、サポートしてくれる方にちゃんと思ったことを言って後悔のない結果につなげてもらいたいと思います。頑張ってください。

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