訪問看護師、転職先選びのポイントは？

介護業界ではさまざまな場所で仕事を行いますが、訪問介護はその名の通り、要介護者の自宅を訪問して介護を行います。

訪問看護師も同様で、介護施設の看護師が行う仕事を要介護者の自宅で行いますが、訪問介護は対象が要介護者に限られているのに対し、訪問看護師はさまざまな疾患をもった患者の自宅を訪れて介護を行うという点に大きな違いがあります。

最近は訪問看護を必要とする人が非常に増えてきており、訪問看護師の需要も年々高まってきているようです。

1 訪問看護師の仕事や役割、収入について
2 訪問看護師に求められるスキル
- 2.1 コミュニケーション能力と気配り
- 2.2 正しい医療知識と判断力
3 訪問看護師の求人先選びのポイントは？

訪問看護師の仕事や役割、収入について

訪問看護師は、病院や介護ステーションなどに所属をした上で、要介護者の自宅を訪問します。患者の年齢層や患って疾患には実にさまざまですが、脳梗塞や心筋梗塞の患者、末期がん患者などが多いです。

全体的にはやはり高齢者の患者が多いようですが、精神疾患者などでは小児でも訪問看護を必要としている人もいます。

仕事内容

訪問看護師は、病気などで寝たきりとなっている、自宅で日常生活を送ることに不安がある、またはその他の理由で通院できない患者の自宅を訪問して、医療的業務をはじめ、健康管理まで行います。

具体的には血圧測定注射、服薬指導、リハビリなどが挙げられ、介護施設で働く看護師と行う業務自体に大きな差はありません。

介護施設の看護師と違うのは、介護施設では必ずしも医師が在籍していないケースがあるのに対し、訪問の場合は要介護者に必ず担当の医師がいますので、担当医と連携を取りながら業務を行うという点です。

訪問看護師は担当医の指導のもと業務を行い、都度業務内容を医師に報告することも重要な業務になります。

訪問を要する要介護者は、何らかの形で医療管理を必要としていますので、要介護者によっては理学療法士やリハビリ療法士などとの連携を取りながら看護を行う場合もあります。

訪問看護師の勤務時間は、所属する病院や看護ステーションによって変わってきますが、24時間体制のところではナースコールならぬ『オンコール』というものがあり、オンコールが出たら急いでその患者のもとを訪問し、看護を行わなければなりません。

訪問看護師の役割

訪問看護師は、医療的業務を行うのはもちろんなのですが、どちらかというと生活することへの支援を行うことが大きな役割です。

そのため、ただ動けないから患者のもとを訪問して看護をする、という意識ではなく、患者が生活しやすい環境を提供するという認識で看護を行わなければなりません。

また病院の看護師でも『看取り』を経験することがあるかと思いますが、訪問看護師の場合は末期がん患者などが多いこともあって、訪問している患者の看取りはかなり多いです。

合間合間の看護をするのではなく、その人の人生を支える役割を担っているといっても過言ではなく、業務に入る上でそういった意識は必ず持っておく必要があります。

収入

訪問看護師の収入は、夜勤などを含め同じフルタイム勤務の場合比較的高めなところが多いようです。

ただ、訪問看護は嵐の日も雪のでもスケジュール通りに患者の元に行かねばならないですし、オンコールが入ればやはりどんな悪天候でもすぐに駆け付けなければならないため、勤務看護師と比べるとかなりハードですし、きついこともたくさんあります。

収入が高い理由はこうしたことが影響しているのではないでしょうか。収入については看護ステーションによっても差がありますし、夜勤の有無、オンコールの有無によってもかなり変わってきます。

訪問看護師でも納得のいく収入を得られていないという人もいるようですので、転職を検討している人はしっかりと求人情報を吟味する必要がありそうですね。

訪問看護師に求められるスキル

コミュニケーション能力と気配り

訪問看護師において、高いコミュニケーションスキルは基本です。患者のテリトリーに入って業務を行うのですから、失礼がないように患者の性格などを加味しながら、気持よく看護を行う必要があります。

患者とのコミュニケーションだけでなく、医師や理学療法士など、おおくの人と関わりながら看護を行いますので、お互いが不快感なく業務を遂行できるよう、最低限の気配りは必須です。

また前述しましたが、訪問看護師は患者の看護を行うことよりも、患者の人生を支えていくことが大きな役割ですので、ただ決められた医療的業務を行えばいい、ということではありません。

血圧を測り、投薬指導をして終わり、というのではなく、患者が自宅で不自由なく生活できているかをヒアリングし、実際に目で見て判断し、足りない点を補うという心配りが非常に重要になります。

時には洗い物や食事介助などの介護業務を行なうことだってありますし、排泄補助をすることも。患者が必要としているものを瞬時に把握し、補うことができるような心配りができるよう努めましょう。

正しい医療知識と判断力

訪問看護は、医師と同伴でいくこともあれば1人で患者の自宅に行くこともあります。1人で看護をしている時に患者の容体が急変したら、医師の指示を仰ぐ時間がないことも考えられますので、その時瞬時に正しい判断をし、処置や対応を取れるような判断力と、正しい医療知識はとても大切です。

医療知識については、先輩訪問看護師に教えていただいたり、自分で勉強して身に付けることができますが、緊急時の対応については頭で分かっていてもなかなか行動に移せないこともあるでしょう。

こうした技術については、看護師としてのキャリアがものを言います。ブランクがあっても訪問看護師として立派に働いている看護師は多いですが、ある程度のキャリアがある人のほうが、ご自分も安心して業務に臨めると思います。

そのほか、訪問看護師は保険など書類関連の知識も必要としますし、オンコールで夜中に対応をしても次の日に仕事が入っていればそのまま勤務に入らなければならないなどかなりハードな仕事になります。

こうした業務に集中して取り組めるよう、心身共に健康であることも、立派なスキルのひとつであるといえるででしょう。

訪問看護師の求人先選びのポイントは？

（１）収入を選ぶか、勤務時間を選ぶか

訪問看護師の仕事は、正社員でフルタイム勤務の募集もあれば、パートタイムの募集もあります。当然ながらフルタイム勤務のほうがオンコールなどのイレギュラーが発生しやすい分収入も高くなりますが、ハードさも比例して上がっていきます。

パートタイムは、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を選ぶことができるメリットがありますが、収入はフルタイムと比べると時給換算してもかなり低くなることは否めません。

残業などのイレギュラーが発生する場合もありますが、家庭の事情から日勤のみで働きたいという方はパートタイムのほうが自分の望む勤務時間で働ける可能性が高いです。

このように、自分の希望する収入や勤務時間に合わせて応募先企業を選ぶとよいと思います。

（２）多方面から自分の適性を見極める

訪問看護師は訪問するという手間がある分収入が高いという印象がありますが、前述したように看取りも多いですし、仕事内容も多岐にわたります。看護師の仕事はただでさえハードですが、それに輪をかけて大変なことが増えてきますので、ご自分の適正を加味した転職先選びが重要です。

また、訪問看護師はオンコールで自宅から患者の自宅まで行かなければならないこともありますので、自宅から近い看護ステーションを選ぶなど、ご自分の環境に応じた転職先を選ぶことも意識するとよいでしょう。

（３）転職サイトを活用

求人情報をチェックしたいときは、転職サイトを活用すると一度にたくさんの求人情報を確認し、比較検討できるのでとても便利です。
会員登録することで非公開求人を見ることができるサイトもあるようですので、ぜひ利用してみては。