精神的、体力的都合のほか、家庭の都合、個人的な事情などで夜勤に就くのが難しいときでも、護師として働くことを諦める必要はありません。そのような場合には「日勤常勤」という選択肢があります。
しかし、いざ夜勤ありから日勤常勤へと転職するとなると、「実際どうなんだろう?」と不安に感じる方もいると思います。そこで、日勤常勤の特徴のほか、選べる求人先の種類、転職の際に注意したいことをまとめます。
目次
日勤常勤看護師の特徴は?
日勤常勤のメリット
1.夜勤がない
病床のある病院では、必ず交代制で夜勤に就くことになります。夜勤の後には十分な休息をとって次のシフトに入るのが理想ですが、人手不足の医療現場ではなかなかそうもいかないことがあります。
日勤で残業の後、ほとんど仮眠をとれずに夜勤に就くことも珍しくなく、不規則な生活リズムで体調を崩したり、精神的にストレスを抱えたり、集中力を欠くことで医療ミスのリスクが懸念されます。
日勤常勤は、このように「心身的に夜勤が辛い」という方にとって嬉しい働きかたです。子供がまだ小さかったり介護中で夜間に家を空けられないという方、趣味の時間を確保したい方にとっても、夜勤なしの勤務条件が助かります。
2.ワークライフバランスの充実
夜勤がないことで、プライベートの時間、家族と過ごす時間を確保することが可能です。なかでも土日・祝日に休める職場なら、子供の学校行事に参加したり、家族でのお出かけや友人との約束がしやすくなります。
少人数スタッフでこなす夜勤に比べ、日勤は看護師・医師の数が多いため落ち着いて対応、処置が可能です。心身ともにゆとりが生まれると、家事や育児にも余裕をもたらします。
3.正社員として働ける
日勤の看護師求人で多いのはパートやアルバイト、派遣など非常勤としての雇用です。非常勤では雇用が安定せず、ボーナスがもらえない、福利厚生が十分に利用できないというデメリットがあります。
日勤常勤ではこれらのデメリットが補え、夜勤なしの勤務でありながらボーナスが支給されますし、福利厚生や育児支援なども利用可能です。
日勤常勤のデメリット
1.収入減
看護師が高収入である背景のひとつに、夜勤手当があります。施設によりますが1回の夜勤につき平均1.5万円の手当がつき、1ヶ月に5回夜勤をするとその手当だけで7.5万円収入が増え、1年では90万円となります。
全国平均で見てみると、日勤常勤の年収は夜勤ありの場合に比べ、100~150万円減少します。
もちろん地域や施設によっても違いますが、日勤常勤を選ぶなら、年収が下がったとしても心身のゆとりがあった方がいい、事情のため仕方がないと割り切る必要があります。とはいえ日勤常勤でも、働く女性の収入額として看護師は好条件であることに変わりはありません。
2.求人先が限られている
日勤のみでかつ常勤という条件の求人は以前よりは増えているとはいえ、決して多くはありません。特に病院からの求人はかなり限られます。自宅近くで日勤常勤の求人が見つからない、希望する診療科での求人がない、というケースは多いでしょう。
日勤常勤看護師、どんな求人があるの?
日勤常勤看護師の求人先として、病院の外来や手術室、各種クリニック、企業看護師、学校看護師や高齢者福祉施設、製薬会社などが挙げられます。
病院の外来、手術室
病院でも外来であれば、日勤常勤の看護師募集が見られます。患者さんと医師とを結ぶ架け橋的な存在として診療をサポートするのが、外来看護師の仕事です。基本的な看護スキルがあればOKで、痛みや不調に不安を抱える患者さんを支えるコミュニケーション力も大切になります。
手術は基本的に日中に行われるため看護師は日勤常勤です。緊急時にオンコールがある職場もあります。器械出しを中心に、チームスタッフや他部署との連携をスムーズにするのが仕事であり、スキルアップも期待できます。
各種クリニック
内科や胃腸科、循環器科、産婦人科、耳鼻科、皮膚科、美容外科、透析科、精神科、心療内科など、病床を持たないクリニックでは看護師の多くが日勤常勤です。いくつかの診療科を併設する施設も多いですね。
産科ではお産がいつになるかわからず産後の入院もあるので夜勤ありの求人があること、透析科では遅番や準夜勤といったシフトがあること、美容系のクリニックでは営業ノルマがあるところも多いことに注意が必要です。
施設によってカバーする業務は様々ですが、スタッフ数が少ないため看護以外の業務をすることも多く、スキルアップを希望する方には物足りなく感じられるかもしれません。
企業看護師、学校看護師
企業内の医務室に勤務して社員の健康管理、メンタルヘルスケアを行うのが企業看護師であり、学校看護師ではケアの対象が生徒、教師になります。忙しいことはなく、突発的な怪我や病気では手当てを行い、病院などに付き添うことになります。
好条件なうえ、パートでの採用が多く常勤雇用は少ないこと、長く勤める方が多いため求人がなかなか出ないこともあり、求人の人気はかなり高くなります。
高齢者福祉施設
高齢化の進行にともなって看護師求人の増加が見込まれる分野です。提供する医療レベルは施設によって様々で、訪問型、常駐型のほか、オンコールがある場合もあります。急変時には看護師自身が判断しなければならないことがあり、ある程度の臨床経験がないと難しい職場です。
製薬会社のMR、CRC、コールセンター
一般企業社員として看護師資格も活かせるのが、製薬企業でのMR、CRC、コールセンターといった職種の求人です。直接の介護は行いませんが、その知識を活かしデスクワーク中心の日勤で働きます。かなりの高収入を提示する求人も見られます。
日勤常勤への転職で注意したいこと
年収減は本当に大丈夫?
基本給がそれほど変わらなくても、夜勤手当の有無によって毎月の給与、そして年収は大きく変わってきます。年収が100万円下がれば、ライフスタイルも変える必要があるでしょう。
生活が可能かをよく考え、もしも転職希望条件のなかで収入額の優先順位が高いのであれば、美容系クリニックや製薬企業など比較的高収入が可能な日勤常勤の求人を探したほうが良いかもしれません。
キャリアアップは難しい
看護師としてのスキルを伸ばしたい、より幅広い知識を身につけたい、管理職に昇進したい場合、働ける場や時間帯が限られてくる日勤常勤では難しくなります。
病院やクリニック以外の施設では看護の機会が少なくなり、看護師としてのやりがいは感じにくいことを覚悟しておく必要があります。
日勤の方が楽とは限らない
夜勤は辛いというイメージがありますが、人によっては日勤のみの方が辛く感じられるケースがあります。
夜勤があれば夜勤明けでゆっくり休むことができますが、日勤では平日5日間連続して出勤し週末には体が重くなる、という意見も。夜勤がある生活に慣れていると、日勤のみに転職したことで生活リズムが崩れて体調が悪くなる、という看護師もいるのです。
日勤の方が人間関係が厄介、という意見も多く聞かれます。日勤はスタッフが多いためにうわさ話や人付き合いが多くなり、逆にスタッフ数の少ない夜勤では、心地よい緊張感のなか看護に集中することができるといいます。
日勤常勤で採用しておきながら、勤務後になって「今後は夜勤をしなければ給与をカットすることになる」などプレッシャーをかけられた、という体験談が聞かれます。
「夜勤が辛いから」と日勤常勤の求人に飛びつく前に、自分が転職に求める条件と日勤常勤の特徴が矛盾しないかどうか、看護師として望む働き方と求人内容が合っているかどうか、よく考える必要があります。
悩んでしまうときには、看護師専門の転職サイトでエージェントに相談してみると、客観的なアドバイスをもらうことができます。
- 夜勤がないことでプライベートが充実する、ボーナスがもらえる
- 収入が平均100万円減ること、求人先が限られているのがデメリット
- 外来やクリニック、老人福祉施設ほかの求人先がある
- 年収減、キャリアアップが難しくなる
- 日勤常勤が働きやすいとは限らない
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