看護師、精神科への転職、注意点は?



精神科は看護師の給与レベルが高く、待遇面でもメリットがある診療科といわれています。その反面、男性看護師の比率が高いことからも分かるように、心の強さや体力が求められる科でもあります。

ここでは精神科で働く看護師の仕事や必要とされる看護スキルについて紹介しています。併せて精神科の看護師に向いている人、精神科への転職の注意点などもまとめてみました。


精神科で働く看護師の仕事



精神科という診療科の特徴と、この科で働く看護師の仕事内容は以下のとおりです。

精神科とは?

精神科は不安や抑うつなどの精神疾患を主として扱う診療科です。いわゆる心の病気を診療する科で、原則として一般的な内科や外科のような体の疾患の治療は行なっていません。

主として精神科が診療する疾患の例としては、うつ病、統合失調症、適応障害、躁うつ病、不安(パニック)障害などが挙げられます。薬物依存症、アルコール依存症、自閉症、摂食障害、不登校、家庭内暴力などの診療も担当します。

心療内科・神経科等との違い

一般の人が精神科と混同しやすいのが、診療内科や神経科といった診療科です。精神科は心の疾患を扱うのに対し、心療内科ではストレスが原因で起こる身体疾患の患者を扱います。また神経科では精神科と同様に心の病気を扱う場合と、脳や脊椎などの疾患を扱う場合があります。

この違いは医療機関の考え方によるもので明確な定義はありません。神経内科といった場合は、脳や脊椎などの疾患を扱う科、神経外科や脳神経外科は脳や脊椎などの外科的治療を行なう科です。

精神科と似た分野の診療科として精神神経科という科を設けている医療機関もあります。精神神経科は脳が原因の精神疾患とストレスが原因の不調を診療する科です。

看護師の主な仕事内容



精神科の患者が抱えているのは心の疾患です。一般的な外科や内科では体の疾患を治療するのに対し、精神科では心の疾患の治療を行ないます。そのため精神科の診療の内容は一般的な内科や外科とは多少の違いがあります。

・外来受付
外来患者の受付業務は精神科の入口ともいうべき仕事です。患者本人とのコミュニケーションがむずかしい場合は、付添いの家族などへの問診で症状の聞き取りを行ないます。急性の病状への対応も受付の重要な業務です。

・診療介助
医師の診療介助を行ないます。各種検査や投薬、注射などが主な看護業務です。患者が円滑に診療を受けられるようにサポートするのも看護師の仕事です。服薬指導や生活指導、付添い家族などへの説明も併せて行ないます。

・病棟看護
服薬管理や検査介助、症状の観察と対応、身体管理などのほか、患者の日常生活の援助を行ないます。食事の介助や排泄の誘導、清潔ケア(入浴、整髪、ひげそり等)などが主な業務です。

ほかにリハビリのためのレクレーションの介助、セルフケアの援助、適切なコミュニケーションなども看護師の仕事のひとつです。患者のために買い物や金銭管理等の代理行為をする場合もあります。

・社会復帰の援助
患者の症状が改善してきたら、退院準備や社会復帰の援助を行ないます。生活のリズムを整える、復帰後の不安を取り除く、再発や再入院を防ぐ準備をする、復帰後の生活(職場・学校・家庭等)で不利益を被らないための援助なども看護師の仕事のひとつです。担当医師の指示のもと、医療スタッフと連携して社会復帰を援助します。

・同伴外出、自宅訪問の介助
社会復帰や退院準備の一貫として、患者と同伴して外出したり自宅訪問の介助などを行ないます。一般的な外出としては買い物や散歩、理容(美容)店での調髪などが挙げられます。自宅訪問では退院後の生活維持のための援助を行ないます。

・ネットワーク作り
患者の社会復帰のためのネットワーク作りを支援します。家族との話合いや地域の医療施設との調整、職場や学校との調整、保健所や福祉関係との調整なども看護師の仕事のひとつです。患者がスムーズに社会復帰できるように、積極的に生活支援や調整を行ないます。

こうした仕事は看護師個人で行なうのではなく、担当医師や看護師、医療スタッフと連携しながら進めていくものです。精神科ではチーム医療が重要とされており、患者の尊厳や権利を尊重したうえで業務を行なうことが求められます。


精神科で求められる看護スキル・向いている人



精神科の看護師に求められるスキルと、どんな人が向いているかなどの情報を紹介します。

精神科の看護スキル

1.精神疾患に関する知識
精神科で扱う疾患は広範囲に及びます。単なる心の病といったレベルの知識だけでは良い看護を行なうことはできません。外来では緊急性の高い患者を扱うこともあり、瞬時に適切な対応を取ることが必要な場合もあります。

病棟でも患者の症状に合わせた緊急的な対応が求められるシーンも数多くあるため、常に勉強が必要な診療科といえるでしょう。


2.心の病気に対する理解
疾患に関する知識とともに心の病気に対する理解も必要です。精神科の患者は「何となく眠れない」といったレベルから、日常生活を営めない、周囲に被害を及ぼす可能性があるというレベルまで幅広いものです。

一見、症状が改善されたように感じられても、社会復帰まで時間が掛かるというケースも少なくありません。単純な理解ではなく深い理解が必要になる仕事といえます。


3.内科の看護スキル
精神科では投薬や注射などの看護業務が中心になります。穏やかな状態の患者の看護だけでなく、さまざまな精神状態の患者への看護が必要になる場合もあり、基本的な内科の看護技術は欠くことができません。

相手の状態に合わせた投薬や注射、薬剤管理、服薬指導などが行なえるようスキルを身に付けておく必要があります。


4.コミュニケーション能力
患者とのコミュニケーションも精神科看護師の重要な業務です。単に相手の話を聞くだけ、一方的にこちらが話すだけというのではなく、患者の症状や状態に合わせたフレキシブルなコミュニケーションのスキルが必要とされます。

しっかりと相手の状況を観察し、焦ったりあわてたりせず相手のペースでコミュニケーションが取れる技術や能力が求められるわけです。


5.患者の身体管理スキル
精神科には自傷行為や自殺企画などをする患者もいます。なかには他の患者に対して暴力的な行為をする患者もおり、看護師には安全を確保するための身体管理スキルが必要になります。外来・病棟を問わず、常に患者の身体管理を行なうには相応の知識や技術が備わっていなければなりません。

精神科に向いている人

1.目的意識がある人
精神科は一般的な内科や外科などの診療科とは、看護師の仕事内容も職場の雰囲気も異なっています。業務内容や職場の雰囲気に馴染めず、退職してしまう看護師も少なくありません。精神科で仕事を続けていけるのは、自分なりの目的意識を持っているタイプの人です。


2.心身ともにタフな人
現在の精神科の現場は明るく開けたものになっていますが、それでも他の診療科とは違う独特の雰囲気があります。心の病気を抱えた患者を治療する精神科では心身ともにタフでなければ看護師として続けていけないという面もあるのです。精神力・体力ともに自信がある人は精神科に向いているといえるでしょう。


3.発想力や向上心がある人
精神科の看護師の仕事は決まり切ったものではありません。投薬や注射といった看護業務もあるものの、仕事の中心となるのは患者とのコミュニケーションや、患者や周囲の人の安全を守るために身体管理を行なうというものです。

精神科の仕事は看護師の裁量に任せられている部分が多いので、発想力や向上心がある人が適しています。


精神科への転職、注意点は?



看護師が精神科に転職する場合の注意点は以下のとおりです。

1.求人先の診療科を確認しよう

精神科は心の病気を治療する診療科ですが、心療内科や神経科などと混同してしまう人もいます。転職に際しては、自分がどのような看護業務をしたいのかを考えたうえ、求人先の診療科と診療内容をよく確認するようにしましょう。

2.メンタルクリニックは精神科?

最近、増えているのがメンタルクリニックの看護師求人です。メンタルクリニックは心の問題を扱う診療科ですが、まだ明確な定義はされていません。精神科への転職を考える際は、メンタルクリニック=精神科と決め付けず診療内容をよく確認してください。

3.給料や年収だけで判断しない

各診療科のなかで給与レベルが高いのが精神科ですが、給料や年収の金額だけで転職を決めると後悔することもあります。極端に高給与の求人先は仕事が大変だったり、退職者が多いというケースも見られるので事前の情報収集が重要です。

4.女性看護師も精神科に転職できる?

一般の診療科に女性看護師が占める割合は95%超ですが、精神科の看護師は男性が主流であるという現実があります。これは心身ともにタフであることが求められるためで、まだまだ女性看護師が転職しやすい職場とは言い切れません。

精神科の求人先を探す場合は、女性看護師の先輩が活躍している職場かどうかをひとつの目安にしてみてはどうでしょうか。

5.向き・不向きを判断しよう

精神科の看護師に転職しようという場合、知識やスキルだけでなく向き・不向きも重要になります。例えば自分の感情がコントロールできるか、心の病を持つ患者に対応できるか、目的意識を持ってモチベーションを保てるか等は判断材料のひとつです。もし不安があるなら、転職前に職場見学をしてみるという方法もあります。

6.精神科からの転職はむずかしい?

ある程度の期間、精神科に勤務した看護師は、他の診療科への転職がむずかしいといわれています。2~3年程度なら大きな問題はないものの、5年・10年…と継続して精神科に従事した場合は他科への転職がしにくくなるようです。

精神科以外でも心の病気に関わる看護の仕事をしたいと考えているなら別ですが、それ以外の科への転職はむずかしくなる可能性があることを知っておきましょう。


精神科への転職で後悔しないためにも、事前に求人先の詳細な情報が得られる看護師専門の転職サイトを利用してみてはどうでしょうか。転職サイトを活用すると看護師の仕事内容だけでなく、職場の雰囲気なども事前に知ることができます。登録は無料ですので、経験豊富なリクルーターのいる転職サイトを活用してください。

<看護師の精神科への転職、注意点のまとめ>

  • 心の病に関する知識や理解が必要となる職場
  • 精神科と診療内科、神経科は別の診療科である
  • 主な看護業務は投薬や薬剤管理、注射など
  • 患者とのコミュニケーションも重要な仕事
  • 生活援助や身体管理も看護師が行なう
  • 男性看護師が多い職場で女性看護師は少ない


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