看護師の平均年収は約470万円と言われ、女性の年収としてはかなりの好条件です。ただしこれはあくまで平均であり、ハードワークの割に給与額が低過ぎると感じている看護師や、平均以上の高収入を得ている看護師もいます。
転職の優先条件として「高収入」を挙げる方は少なくありません。そこで、高収入を得られる働き方、転職先の種類や、収入アップを目指した転職で注意したいことについてまとめます。
目次
看護師の転職、高収入な働き方とは
看護師の収入に強く影響を与える要素として「夜勤手当」「役職」が挙げられます。
夜勤手当でしっかり収入増
看護師が高収入になる背景のひとつが夜勤手当の存在です。病院によりますが1.5万円~2万円というところもあり、夜勤が多い病院ではそれだけ収入がアップします。1回2万円とすれば、夜勤が月に3回増えるだけで年収にして72万円の増加です。
さらなる手当増を目指すならば、日勤との組み合わせではなく夜勤のみで働く「夜勤専従看護師」という働き方を選ぶ方もいあります。勤務ごとに手当がつくこと、常勤であればボーナスもつくため、年収600万円以上も可能です。
管理職への転職
転職時にキャリアアップできるのは理想的です。施設によって呼称は違いますが、中間管理職としての主任看護師、管理職として師長、総師長などの役職があります。
役職つきの看護師として採用されるには、当然それに見合った看護師としての能力、実績、スタッフをまとめられる人間性、指導力が必要とされます。勤務年数の目安としては、主任看護師で臨床経験10年程度です。
施設の立地や種類、規模にもよりますが、主任看護師になることで基本給アップにプラスして役職手当が付き、30~80万円の年収増が見られます。ただし、役職が付くことで残業手当が出なくなったり、夜勤の回数が減ってくるため、手当分の収入減を覚悟しておく必要があります。
看護師の転職先、高収入なのは?
高収入が期待できる看護師の転職先として、私立系の大規模病院、美容外科・クリニック、製薬会社・医療機器メーカーの社員が挙げられます。
私立系大規模病院での年収は?
看護師の年収調査データから、私立系、つまり私立学校法人が経営する500床以上の大規模病院において、看護師の収入が高いことが分かっています。私立大の名前を冠した○○大学医学部付属病院、○○医科大学付属病院といった施設です。
目安として、勤続10年で570万円程度であり、夜勤が多ければ年収600万円を超える可能性があります。これは、推定年収平均490万円の医療法人系や100床以下の病院と比較して、80万円の収入アップです。
注意したい2点のひとつとして、私立系ではない有名大規模病院では、逆に相場よりも看護師の年収が低いという傾向があります。例えば看護学生の就職希望先として一番人気の聖路加国際病院では、看護師の給与は平均より低めです。
ただ、給料は低めでも教育環境が整っていて福利厚生が充実し、何より最先端のスキルを学ぶことができます。そのため、年収よりも働きやすさを優先して勤め続ける方や、5年ほど勤務して力をつけたところで、より条件のいい病院へと転職する看護師もいます。
もう1点の注意点ですが、公立病院では、少しずつでも昇給があり雇用が安定する分、長く勤めればある程度の年収増を期待できますが、短期間であれば民間病院の方が高収入になる傾向があります。
美容外科クリニック
美容外科や美容皮膚科、美容整形外科などの病院・クリニックでは、日勤でありながら比較的給与額が高く、年収600万円以上を期待することも可能です。
自費診療となる美容目的の施術は料金が高めであり、利益率の高い施設が多いこと、看護師に契約や販売ノルマがある施設では、営業成績次第で収入アップできる点が、高収入の背景となっています。
扱う診療・施術やオペの頻度によって看護師に求められるスキルは変わってきますが、余裕を持って働ける反面、病棟勤務のような看護技術の習得は望めず、またノルマを負担に感じてしまう方もいます。
製薬会社・医療機器メーカー社員
看護師としての知識や経験を活かせる仕事として、製薬会社や医療機器メーカーの社員として働くという選択肢があり、これも高収入を期待できる求人先のひとつです。
職種としては、新薬の臨床試験計画をとりまとめる治験コーディネーター(CRC)、医薬品の治験関連業務を行う臨床開発モニター(CRA)、医療従事者に医薬品情報を適切に提供するMR、医療機器の営業、コールセンターがあります。
例えばCRCでは勤続年数が増えるほど昇給幅が大きくなる傾向がありますし、全ての職種において、都市部の企業、外資系企業、大手メーカーなどでより高収入の求人が多くなります。
平均で400~600万円程度、条件や能力によっては1,000万円の年収を得る方もいます。転職面接時には、看護師としての臨床経験、英語力、コミュニケーション能力などが問われます。
そのほか、危険手当がつく精神科や心療内科、透析科、都心の人間ドッグ専用施設などからの求人でも良い給与条件が見られます。
収入アップのための転職、注意点は?
高収入だけに注目してしまうリスク
収入は高いに越したことはありませんが、転職の際、収入額だけに着目して選んでしまうと「こんなはずではなかった」という結果になりかねません。
求人で高収入を提示するのには、何らかの理由があります。業務時間や内容が極端にハードだったり人間関係がひどかったりで人材が定着せず、その結果給与額を高く設定してとにかく看護師を補充する、いわゆる「ブラック企業」なのかもしれません。
美容系クリニックでは、営業ノルマを達成できて初めて得られる最大限の金額を求人情報に掲載していて、実際に勤めてみると基本給は前職より低かった、という体験談が聞かれます。
給与条件以外に、残業や夜勤に無理がありすぎないか、手当額を含まない基本給はいくらなのか、人間関係が悪すぎないかなど求人情報の詳細を確認し、自分の目で環境を確かめることが大切です。
採用のハードルが高い企業看護師
一般企業から看護師求人は、日勤で仕事がハードでないうえに給与条件が比較的良いものが多く見られます。
しかし詳しく見てみると、保健師免許必須であることが多く、実際の選考では年齢制限を設けているケースが見られるなど、採用のハードルは決して低くありません。
看護大学卒業でない場合には高卒での基本給計算となり、都心部でも16~20万など低めの月収になることがあり、給与条件の精査が必要です。
勤務後の昇給にも注目
看護師は、新卒での給与平均が高いものの昇給の機会は少ない職業です。高収入に着目して転職し500万円の年収を得られたとしても、その後の昇給が全くなかったりペースが遅いようでは、転職の目的に適っているとは言えません。
転職サイトを通じて、求人条件の詳細だけでなく勤務後はどのぐらいのペースで昇給が期待できるのかを確認しておくことで、より良い求人を選ぶヒントになります。
- 夜勤を増やしたり役職付きになることで数十万円の年収増
- 私立系、500床以上の大規模病院で高収入求人が多い
- 美容系の施設は高収入傾向だが営業ノルマがある場合も
- 製薬企業や医療機器メーカーでは実力次第で高収入に
- 高収入だけで求人を選ぶのにはリスクがともなう
- 勤務後の昇給ペースにも注目
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