透析治療を受ける患者さんは毎日の生活の中での通院を一生続けることとなり、できるだけそのストレスや苦痛を減らすのが担当看護師の役目です。透析科に勤めていると「もっと勉強して患者さんをサポートしたい」と感じる方は多いでしょう。
そんなときには、透析認定看護師を目指すことができます。透析という専門技術に長けた人材である透析認定看護師の仕事や役割、認定を目指すための方法について確認していきましょう。
透析認定看護師の仕事と役割
透析認定看護師とは
日本での慢性透析患者数は実に30万人を超え、今後もますます患者数は増加していくものと考えられています。これに対し透析認定看護師の登録者数は2016年現在207名であり、今後認定者の増員が期待される分野のひとつです。
透析認定看護師は、2005年より日本看護協会による認定が開始された資格で、療養者に対しては豊富な知識と熟練したスキルで高水準の看護を提供すること、看護チームにおいては模範となって指導的役割を果たすことが求められます。
透析認定看護師の約90%は総合病院内の透析室や透析センター、もしくは専門チームの一員として活躍していて、そのほか透析専門クリニックなど施設に勤めている方もいます。
透析認定看護師の仕事
透析認定看護師は、施設内で透析治療を受ける患者さんを受け入れ、血液透析治療を管理し適切なケアを行います。専門知識・スキルをもとに安全でスムーズな透析治療を行うのはもちろんのこと、合併症の予防や早期発見にも留意します。
透析療養中、導入前の患者さんとその家族から治療法や生活についての相談を受けるのも、透析認定看護師の大切な仕事です。患者さんとその家族の不安をできるだけ軽減し、治療効果を引き出せるようサポートしていきます。
看護チーム内では、同僚スタッフや新人看護師に対する指導をし、相談を受けたりアドバイスをします。院内・院外で医療スタッフの透析スキル向上のための勉強会を実施したり、外来での腎臓病相談や、入院中の患者さんからの透析相談を受けるという仕事があります。
透析は通院治療であり、受付時間は日中が多くなります。退社後の方向けに夕方以降も受付する施設もありますが、残業はほとんどなく計画的に働くことができます。家庭との両立などプライベートの時間を確保したい方にとって、働きやすい職場です。
透析認定看護師の役割
透析治療を導入する際は、患者さんひとりひとりの病状や体調に合わせて、腎移植や血液透析、腹膜透析などの治療法を選択していきます。患者さんが望むQOLに十分配慮する必要がありますし、透析時間外の生活指導も重要です。
また高齢者の方、末期腎不全の方などハイリスク透析患者が少なくありません。透析認定看護師は、透析治療のみならず腎不全領域のスペシャリストとして、またより広い分野での専門知識を持つ人材として、最善の治療を提供するためのコーディネート力を発揮する役割を担います。
透析認定看護師の果たす役割の3つの柱は、療養者とその家族に対する高水準の看護実践、看護実践を通した他の看護職者への指導、他の看護職者に対するコンサルテーションの実施です。
活躍中の透析認定看護師からは「外来・病棟での透析看護サービスの質向上を目指したい」「看護職者間の模範となって良い変化をもたらしたい」「チーム医療をさらに推進したい」といった目標が聞かれています。
透析認定看護師を目指すには
透析認定看護師になるためには?
透析認定看護師の試験を受けるには、看護師免許を持っていること、看護師としての実務研修が通算5年以上で、うち3年は透析看護分野であり、5例以上の透析患者を担当している必要があります。
これらの条件を満たしたうえで透析認定看護師になるための教育課程を設ける大学に入学し、約半年間の教育を修了して初めて認定試験を受験できます。合格して登録すれば、透析認定看護師として活動することが可能です。
現在透析認定看護師のための講座を開設しているのは、東京女子医科大学の看護学部認定看護師教育センターのみです。
認定看護師に必要な知識を学ぶ共通科目のほか、末期腎不全患者の看護理論や腎不全の病態生理・治療法、透析患者の身体機能、患者とその家族の理解のための理論、リスクマネジメントなどを学ぶ専門基礎科目、血液浄化療法の技術、在宅透析技術、家庭教育技術、コーディネート技術などを学ぶ専門科目、実演、そして東京女子医科大学での実習を積みます。
これら計630時間のカリキュラムによって、透析に関する知識と技術を系統立てて学習することができます。
透析分野でステップアップしたいなら
限られた勤務時間のなかであっても、看護師としてさらにステップアップしたいと考える方にとって、透析認定看護師は条件に適った魅力的な目標です。その需要は今後ますます増え、活躍の場が広がると考えられます。
いざ資格取得を目指すときには、透析分野での実務経験と十分な症例を積める環境、修学支援がある環境に身をおく必要があります。
約半年間の修学期間中に病院への在籍が可能で、できればその間も給料の支給があり、学習費用などを援助してもらえれば助かります。すべての病院がこのような条件を備えているわけではないので、現在の職場では実現が難しい場合には、計画的に条件に合う職場を探し転職することが、透析認定看護師への第一歩です。
希望の地域で条件に合った求人を探すのには、看護師専門の転職サイトを利用できます。無料で利用でき、豊富な非公開求人の中から求人を選べるだけでなく、求人先の詳しい環境についてエージェントに聞けるのが魅力です。
- 透析患者数は30万人を超え認定看護師の増員が期待される
- 透析治療管理、家族も含めたコンサルティング、看護職者の指導をする
- 腎不全領域やハイリスク患者などより広い知識・スキルで応対する
- 通算5年、透析看護で3年、5症例以上担当のうえで大学で学ぶ
- プライベートと両立しつつステップアップ可能
- 実務経験が積め修学支援がある環境を整える
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