看護師、整形外科への転職の注意点は？

整形外科では、運動器系統の機能に関する治療を行います。肩こりや腰痛、捻挫や打ち身といった身近な症状や怪我から、手術、リハビリ、より専門的な症状や特殊機能を必要とするスポーツ選手の診療まで、幅広く扱います。

審美を目的とした処置をする美容整形外科や、やけどや皮膚の瘢痕、母斑など身体表面の治療を担当する形成外科とは、全く異なる診療科目です。診療科名の掲示は自由であるため、まぎらわしい施設名もあり注意が必要ですね。

ここでは整形外科で働く看護師の仕事や給料について、また転職の際の注意点を確認しておきましょう。

1 整形外科の看護師、仕事内容・給料は？
2 整形外科の看護師に必要とされるスキル
3 整形外科への転職、どんな点に注意が必要？

整形外科の看護師、仕事内容・給料は？

整形外科ってこんなところ

遊びの中で怪我をしやすい子供、勤務中や事故、生活のなかで負傷が発生する大人、自然と運動機能が衰えていく高齢者と、男女ともに幅広い年齢層の患者さんが利用者します。生活に密着した、より身近な診療科といえるでしょう。

整形外科をおおまかに分けてみると、地域密着型で日常生活で起こる疾患を診療するクリニックや外来、一般的なものからより珍しい症状まで広く扱う専門病院、生活習慣病によって発生する関節炎など内科との連携が必要な総合病院や、より特化された専門知識で診療を行うスポーツ整形外科があります。

整形外科の看護師の仕事と役割

看護師の仕事は、一般的な症状の診察や処置、リハビリが中心なのか、オペ室での介助業務が多いのか、病棟でのケアも行うのかなど、先に挙げた施設の種類によって違いがあります。共通する仕事としては、手術の介助、術後のケア、リハビリや生活の介助、そして注射や点滴、採血といった基本的な看護業務です。

これらの仕事のなかで看護師が果たす役割のひとつが、患者さんの心身のサポートです。怪我を負った患者さんの多くは動揺し、不安を感じています。

診察時や処置の際には医師から症状や治療に関して説明が行われますが、これを補って、怪我の状況や今後の治療、予後について充分な情報を伝え、体だけでなく心理的なサポートも担います。

処置後、術後のリハビリも、整形外科が担う重要な治療です。リハビリ専門の療法士が主導しますが、看護師もサポートを行います。特に地域で利用するクリニック・医院などでは、リハビリにおいて看護師が果たす役割はより大きくなります。

リハビリの成果には、本人のやる気、意志も影響してきます。看護師がしっかり声掛けしたり話を聞いてあげることで、患者さんの気持ちがリハビリに対し前向きになれば、順調に改善を進めやすくなります。

怪我をした患者さんはうまく体を動かせず、日常生活に大なり小なり不自由さを抱えています。治療中には看護師がその不自由さをカバーします。処置、リハビリ時のサポートのほか、病棟での体位交換、移動介助などは、患者さんの体を支える力仕事になることを知っておきましょう。

リハビリ病棟では、オペ後の患者さんのADL（日常生活動作）の看護や、PT（理学療法）、OT（作業療法）、ST（言語聴覚療法）を看護師がサポートし、在宅支援との連携も行います。

整形外科の看護師の給料

整形外科での看護師の給与額は、看護師全体の平均収入とほぼ同じと考えてよいでしょう。地方では年収400万円程度、都市部も含めると平均は450～480万円程となり、看護師としては決して低くなく、むしろ高めの水準と言えます。

病床があって夜勤があれば、手当分がプラスされてきます。外来、クリニックなどで日勤の場合には月収20～25万円、夜勤ありの場合には25～30万円程度が相場です。

同じ診療科で知識とスキルを積み重ね経験を積んでいくことで、昇進、昇給を目指したり、転職時にはより高い給料の提示を受けられるケースもあります。

ブランクのある方、家庭との両立を目指す方などがパートや派遣として整形外科で働く場合の時給は求人先による幅が大きく、1,600円～2,600円程度、平均して2,000円ぐらいをめどと考えましょう。

整形外科の看護師に必要とされるスキル

まずは整形外科の看護師になるメリット、デメリットを確認し、そこから必要とされるスキルを探っていきましょう。

整形外科看護師のメリット

・患者さんの回復が見えやすくやりがいがある

内科の疾患に比べ整形外科での運動機能の治療は、オペによって正常な器官が形成されたり、繋がっていったりと、回復が目に見えて分かりやすいのが特徴です。特に若く健康な方では、みるみる回復し元気に退院されたりします。

急性期から回復期、退院後はリハビリ通院など、罹患から回復までトータルに看護ができるのも、やりがいを感じさせる背景のひとつです。

・明るい雰囲気のなかテキパキと働ける

骨折や腰痛、肩こりなどがあっても、ある程度健康な方、そして若々しい患者さんも多いために、体調が悪く空気が沈みがちな他の診療科に比べ、整形外科の院内には明るい雰囲気があります。特に地域の医院では、命に関わるような患者さんはみられず、そこまでの緊迫感がありません。

また、幅広い世代の、様々な症状を持った方が処置やリハビリ、手術などで来院するため、整形外科はいつも忙しいのが普通です。

このような明るい職場環境で、忙しいなかテキパキと看護をこなしていける点をやりがいに感じ、メリットに挙げる看護師が多いですね。

整形外科看護師のデメリット

・元気な患者さんからクレームを受けることも

体調を崩してしんどそうな方が多い内科などと違い、整形外科の患者さんの多くは、精神的には元気な方たちです。その分、混雑で待たされたり、看護師の対応や処置に対して納得してもらえなかったり、多少の行き違いでクレームを受ける機会が多くなります。

クレームを受けるのも看護師の仕事のうちであり、クレームが発生しないように混雑時の声掛けや処置時の十分な説明、コミュニケーションが大切です。

・忙し過ぎてストレスが過剰になるケース

医療機関の規模を問わず、整形外科は常に混雑しがちです。特に未経験で整形外科に入る方では、対応する患者数・処置の多さや、日々身につけなければならない知識、スキルの多さについていけず、ストレスや疲労を溜めてしまうケースもあります。

整形外科看護師に求められるスキル

これらのメリット・デメリットから、整形外科の看護師に求められるスキルとして、下記が挙げられます。

・子供から大人まで幅広い患者さんに対応できるコミュニケーション能力
・新しい知識やスキルを前向きに身につけていける上昇志向
・テキパキと仕事をこなしていける遂行力

一人一人の患者さんの看護に、時間をかけてじっくり取り組みたいという方よりは、どちらかといえばサバサバとした体育会系の雰囲気の中、多くの患者さんのサポートをしていきたい、という方が合っています。

忙しい中でも、患者さんとのコミュニケーションを楽しく感じることができるに越したことはありません。特にオペ室や病棟勤務がある場合には、医師や同僚の看護婦などスタッフ間の充分なコミュニケーションも重要になります。

整形外科とひと言でいっても、骨格、関節、筋肉、神経など、全身の器官についての知識や技術を身につけることができ、看護師としてキャリアを高め、やりがいを感じることができます。

整形外科への転職、どんな点に注意が必要？

看護師からの人気が高く、いったん整形外科を離れても「また戻りたい」といった声も聞かれる診療科です。また「未経験歓迎」という求人が多いこともあり、整形外科へ転職してみたい、と考える看護師は多いでしょう。

同じ整形外科でも、扱う診療や患者さんの傾向によって仕事の内容が大きく変わってきます。オペの有無や頻度、回復期のリハビリはどこまで扱うのか、どんな年齢層、症状の患者さんが多いのかを確認することで、仕事内容をある程度イメージすることができます。

オペがある場合、1日何件ほど行うのかは要チェックポイントです。外来だけでも忙しい整形外科ですから、オペ件数は多ければ多いほど忙しい職場だと考えられます。

あまりにも忙しい職場は避けたいという方もいますが、スキルアップしたい方にとっては、色んな症状を経験できるオペ件数の多い職場が合っています。オペ内容だけでなく、オペ後の管理や合併症予防といったスキルの習得も期待できます。

オペ件数以外に、残業時間もチェックしておきたいポイントです。あまりにも忙しすぎて疲れやストレスが溜まってしまう・・・ということのないよう、在職の看護師が月にどのぐらい残業をしているのか、実情をチェックしておきたいところです。

患者さんの属性傾向によっても、必要となるスキルや仕事内容が変わってきます。若い男性患者の多い病院と高齢者が多い病院とでは、職場の雰囲気もまた変わってくるでしょう。

必要な情報を得て勤務状態をイメージし、自分の希望によりマッチする求人を選ぶことで、勤めてみてから「理想と違った」と後悔するリスクを減らすことができます。

患者層や現実的な残業時間などは、求人内容や面接などではなかなか確認しにくい、具体的な情報です。だからといって確認せずに転職先を決めてしまうと、それだけリスクが高まります。

そんなときに看護師専門の転職サイトが役に立ちます。人気のある整形外科求人も、情報をより多くいち早くチェックでき、具体的な職場環境や待遇については、コンサルタントに質問して事前確認することができます。スタッフ間の雰囲気なども聞いておくといいでしょう。

このような便利な機能を、転職を成功させるためのツールとしてしっかり活用したいですね。転職サイトとの相性もあるので、2～3のサイトに無料登録して試しに利用してみることをおすすめします。