看護師の職場として最も多いのは病院であり、そのなかで役職についたり、専門的な知識やスキルを身につけて病院以外でもキャリアアップしていくことができます。
そんな看護師の種類として、病院内での役職ごとの特徴や役割、少し特殊な分野の看護師について、いくつか紹介していきます。
目次
看護師の役職とその役割
主任看護師
一般企業での係長にあたる管理職が「主任看護師」で、キャリア10年程度の看護師が就きます。職場内で選ばれることもあれば、主任看護師募集の求人が出されるケースもあり、転職でのキャリアアップが可能です。
主任看護師は、上司となる師長や副師長を補佐し、一般の看護師をサポートする役目を持ちます。病室や診察室の点検、維持や看護師計画の管理やアドバイスなど業務範囲は多岐に渡り、現場の統括・サポート全般と考えてよいでしょう。
主任看護師になるということは、管理される側から管理する側にまわるということです。いかに一般看護師が働きやすい職場をつくり、上司に「安心して任せられる」と評価されるかがポイントとなります。
看護師長
一般企業の課長に相当する看護師長は、各病棟に一人ずつ配置されます。受け持ち病棟をとりまとめ、上司である看護部長のサポート、看護師らへの指示や指導、相談対応、医師と看護師の仲介役を担います。
職場環境に与える看護師長業務の影響度から、「看護師長の働きに病棟の雰囲気が左右される」とも言われます。看護師長になると重労働や夜勤がなくなり体力的に楽になるかもしれませんが、その反面、気苦労はグッと増えることでしょう。
看護師長の収入は、首都圏の公立病院では700~800万円、一般病院では500~650万円程度となっています。
外部から看護師長を募集することはまずなく、職場内でコツコツと実績を積み重ね、信頼を得ていく必要があります。以前は独身で勤続した方が看護師長になるのが慣例でしたが、近年では出産・育休を経たママさん看護師でも看護師長となるケースが見られます。
看護部長
院内の看護師のトップは看護部長です。看護部代表として院長、副院長をサポートし、組織運営、環境整備を行うのが役割であり、看護業務を行ったり患者さんと接することはありません。
対外的な折衝のほか、看護師長に指示をして、業務計画や採用計画、教育方針などを決定していきます。大きな権限を持ちますが、それだけ責任も大きく、医療ミスや事故の際に謝罪を行うのは看護部長の役割です。
50歳前後の看護師が就き、年収650~800万円程度が一般的で、なかには1,000万円という看護部長もいます。内部昇進のみであり、しかも院内に一人であるため誰もが目指せるポジションではありません。人望や能力、論文の執筆だけでなく、院内外での人脈づくりがカギとなります。
- 院内での役職は主任看護師、看護師長、看護部長がある
- 主任看護師は一般看護師の統括、サポート全般を担当
- 看護師長は各病棟のトップで、病棟の環境を整える
- 院内看護師のトップが看護部長で責任も大きい
- 看護師長、看護部長は部内昇進のみで募集はない
以下では、看護師の種類についてまとめていますので、詳しくご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
看護師の種類に関する記事
- 男性看護師の「生き残り術」とは?
- 看護部長の役割と年収について
- 看護師長の役割と年収について
- エスコートナースとは?
- EPA看護師とは?
- 特定看護師とは?
- 主任看護師の仕事と役割
- リエゾンナースになるには?
- 男性看護師の転職先、おすすめは?
- 男性看護師の現状と将来性について
- 男性看護師の年収とか悩みとか
気になる○○看護師について!
特定看護師
これまでは医師にだけ認められていた一定の医行為の実践を認められているのが「特定看護師」です。医師不足解消や医師の業務負担の軽減、今後の医療ニーズの拡大に対応するため、2015年からスタートしました。
特定看護師には、専門看護師や認定看護師の役割を統合し、治療とマネジメント、両方面のスペシャリストとなることが期待されています。
特定看護師には、気管チューブの調整や心嚢ドレーンの抜去など38の医行為が認められていて、これまでは医師の判断を仰がねばならなかった緊急対応を特定看護師が迅速に行えるメリットがあります。
手順書は各医療機関において作成することや、研修受講のためのいくつかの条件から、特定看護師になるためには、支援体制が整い研鑽を積める職場にいることが前提です。転職を考える際には、条件を絞った求人探しに合っている転職サイトの利用が便利です。
EPA看護師
看護師不足解消、業務負担軽減のために設けられたのがEPA看護師の紹介制度です。EPA:経済連携協定に基づいて、2008年よりインドネシア、フィリピン、ベトナムから約1,000名の外国人看護師を受け入れ、日本での看護師免許取得を促進してきました。
しかしEPA看護師の試験合格率は約11%にとどまり、日本語習得、さらには日本の医療用語での受験の難しさが浮き彫りになりました。文化の違いや、患者やその家族の抵抗感も問題となっています。
EPA看護師の受け入れで見えた問題点から、今度は語学留学型の中国人看護師の受け入れが進められています。同じ漢字常用国出身ということもあり、日本人と変わらない合格率で日本の看護師免許取得が達成され、医療現場における中国人看護師の割合は増加中です。
リエゾンナース
リエゾンナースは精神科看護のプロフェッショナルです。精神看護における高い知識やスキルを活かすだけでなく、リーダーとなって他診療科と連携したり、看護師やスタッフのカウンセリングに応じます。
リエゾンナースになるための決まりはありませんが、多くの場合、精神科認定看護師や精神看護専門看護師の有資格者がリエゾンナースと呼ばれます。リエゾンナースになるには、精神科領域を究めるための向上心、看護師を導くリーダーシップ、カウンセリング能力が必要です。
ハードな看護師業務に心の健康を損なう看護師は少なくなく、リエゾンナースにはそんな仲間を支え、仕事復帰をサポートするといったやりがいもあります。
エスコートナース
搬送看護師とも呼ばれるエスコートナースは、海外旅行、仕事の出張、海外在住の日本人など、海外で病気や怪我になり看護が必要になった患者さんに付き添うのが仕事です。
行う業務としては、「海外で行う」という点を除けば一般的な看護業務と変わりありません。
海外旅行に行けること、外国の医療機関を体験できること、様々な看護を経験できるメリットがありますが、移動距離や付き添い時間が長く体力的負担や心理的ストレスも大きいこと、繁忙期と閑散期があるため仕事が安定しないのがデメリットです。
現地の看護師免許は必要なく、日本の看護師免許だけでなることが可能です。エスコートナースの求人探しでは、エスコートナースを扱う派遣会社に登録したり、外国人患者の診療やエスコートナースを派遣する医療機関へ勤めるほか、看護師専門の求人サイトに登録して求人をキャッチする方法があります。
- 特定看護師には38の医行為の実践が認められている
- EPA看護師では試験合格率が低く、中国人看護師の受け入れが進行中
- リエゾンナースは精神看護のプロとしてスタッフのカウンセリングも行う
- エスコートナースは海外で日本人の看護をし、付き添う